かなで

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5/5/2024, 11:02:07 AM

君と出逢って 

 
視線で追う日が増えた  

何処かでバッタリ遭遇しないか ソワソワした

早くお昼にならないか ヤキモキした   
 
帰宅しても 考えるのは 君のこと 

夢で逢えたらと 祈るように眠りにつく 
 
キミが好きな色、食べ物を知ると 私も更新されていく
 
自然と自分をよく見せようと 変化を求める 

服もメイクもヘアースタイルも体型にも気をつけるようになった 

少しでも その他大勢から抜け出すために 
 
君と出逢ってから 一歩一歩 階段を上がる

いつもと変わらない事をするにしても 苦にならない 
 
新しいことを取り入れることが こんなにも楽しいなんて 

どんどん変わる自分自身に 追いつかない自分  



「綺麗になったね」 


皆が振り返る 

君も振り返って手を差し伸べる 

ようやく 横に並べた。 
 
毎日が愉しくて 優しくて 急速に 君色に 染まっていく  

君の理想のお嫁さんになるために  

今日も君のオーダーに果敢にチャレンジする。

共に歩んでと嘆願されて 夢にまで見たリングの輝き  

これはあらかじめ定められた運命だったんだ。 



だから こんなにも頑張れたんだ。 



なのに、 




「……もうちょっと、ふくらはぎは細いほうがいい」 



「このデザインは合わない」 



「これは、要らないだろう」 


「こんなこともわからないのか」 


「料理教室に行ったらどうだ」
 


今日も合格点に届かなかった。 


……私がなりたかったものは、何だったのだろう。 

ただ、君の傍に居たかったはず。 

なのに

この現実は、「君に似合う理想の人形」になるため。  

君が、良しとする「私」となるため。
 
  
 


もう、逃げられない 今宵も試験が始まる  









5/2/2024, 12:03:35 PM

優しくしないで 


これ以上私のテリトリーに入らないで 

折角、一大決心したのに それが萎れてしまう 
 
窓から眺めているだけで幸せだった    

貴方の声は聴こえないけれど 笑顔で相手を思いやって車椅子を押していた 

別の日は廊下で気乗りしないお爺さんの歩行訓練に付き添っていた
 
初めて 貴方の声が私に届いた  

私の中で 何度も何度も 眠るときでさえ、貴方の声が往復する  

あの時から 貴方に捕われたんだ 

人間は欲深いもので 毎日、ひとめ見たいと無意識に探している 

生憎、私と貴方との接点は叶いはしなかった

すれ違い様に挨拶する程度の位置関係  

常に貴方の周りには人という壁がそびえていた

悶々としてる間に 私の転院の話が早まった

もう、すれ違い様に挨拶することも、 

窓から見つめることも、声を聴くことも出来なくなる 

私は担当のナースに車椅子に乗せてもらい、いつも見ていた景色の場所を散歩に出ていた 

突然、突風が吹き上がり、膝のブランケットが攫われる  

飛ばされたブランケットの先には、恋い焦がれた貴方の足元 

私より先に、「あ!◯◯さん、ありがとうございます!」とワントーン高くなった声を発した担当のナースが駆け寄り、ブランケットを手渡されていた

そこは見たくない景色に一変した  

貴方の声に耳障りな音が混じったから混濁して届いた 

私だけ切り離された空間に取り残されていた 

ワタシの目の前で 他の人に 優しくしないで  

心に秘めて 静かに終わりを待つ 

願うなら きれいな片思いの形で想い出にしたかった 

こんな ドス黒い感情を生み出して終わりたくはなかった 
  
誰かと誰かの始まりを

目の当たりしたのが貴方との最後だなんて  

これから先 ワタシは私に戻れるの? 








 
 

 





4/30/2024, 10:35:18 AM

楽園 

 
自分にとって居心地のいい場所 

自分の都合のいい事が起こる場所 

自分が傍にいて欲しい人たちがいてくれる場所 

自分の身の周りを害するものが一切ない場所 

辛いことや悲しいこと、苦しいこと、怖いことを恐れることなく飛び回れる場所 

あるのなら、覗いてみたい
 

 
だけど、 



きっとつまらないんだろうな 

決まったハッピーなシナリオ 

自分は絶対に不幸にならないという縛り  

いざこざやすれ違い、仲間割れ、喧嘩や事件は起こらない  

会う人、皆、笑顔、笑顔、えがお…… 

どれが、自分に向けた本当の笑顔か判別できない

本音をぶつけ合う機会すらないのかもしれない  

自分なのに、片割れの自分だけを演じているみたいな気分なんだろうな 


楽園は人の欲に溢れた蜜の世界 

楽園を探してはいけない 

楽園を渇望してはいけない  

今の自分の身の回りで 探せ 

小さな幸せを  

今の自分を見つめ直せ
 


「楽園」に、たどり着いた時、 

最期に持っていけるのは、きっと「それまでの想い出たち」だけなのだから。



  

4/22/2024, 11:18:49 AM

たとえ間違いだったとしても 

 
あの会話の最後に閉じ込めるかのように抱きしめられた 

目尻にひとすじ流れていた


親友の話を聞くたびに 

何度も何度も心の中を抉られる 

  
 
今日も 忍耐が試される


「もう、どうしようもないでしょ?」とため息混じりに語る 
 
ドラマの総集編みたいにノンストップ 

感想を聞いているフリをして 

少しも挟ませてはくれない 

前屈みがキツイのか座り直す  

困ってる仕草で笑う幸せそうな顔

私の眼の前で 今日もそれは開演する 



あの日 あの時 

私が貴女の代わりにシフトに出なければ 

あの場所には 私が 居たはず 

いや、よそう 

いくら「タラレバ」を思い描いたって 
過去には戻れない 

あの日をやり直すことは 二度と叶わない  
 
交差しない運命だったのだと思うしかない 


でも、 

未だに信じられない  



彼は お酒が一滴も飲めない 



なのに、あの過ちは起きた  



彼には記憶がいっさい残っていなかった 

でも、隣に居たのは親友だけだった 
 

私は彼の彼女でも婚約者でもない 

だから、奪われたわけではない


ただ、お互い、距離が少し近づいていた 

「今度、◯◯を一緒に観に行かないか」

その先を 私は少し 勝手に夢見てしまったから 

この感情が成仏できないでいる





ただ、私の親友と私の気になる彼が結ばれただけ


「……おっそい!」

ワンクッションおいて 私の鼓膜を揺らすあの声

無意識に聞き漏らすまいと集中してる自分が滑稽だ



たとえ、間違いだったとしても  

彼は このまま全てを受け入れるだろう 

逃げも隠れもせず 

策略だとしても 利用されたとしても


たとえ、間違いだったとしても

この、現実からは 私も彼も 逃れられない 


私は 今日も 静かに仮面をかぶる 

「◯◯の親友」役として 


「……お疲れ様。◯◯くんが来たから、私はもう行くね」 

残念そうな顔を向けて「またねー」と手を振る親友   

振り返った彼と視線が一瞬合うだけで 

呼吸を抑制していた事に気が付いた 


今日も無事に 演じきっただろうか
 
仮面は ズレていなかっただろうか 

 
この舞台に 終演は訪れるのだろうか


 
 

4/12/2024, 3:25:00 PM

遠くの空へ 


近くにも寄らず、声も手紙も届けなかった 

ここに貴方への想いを置いて行くのも 
 
今、気持ちを曝け出して行くのも 

何だか整列しきれていない、

言葉の渋滞でしか生み出せそうもなかったから


 
貴方はここで 

私は向こうで 

それぞれの道を

また歩み出す  

貴方への想いは、私の「原動力」そのものだから  

まだ、大事に傍に持っておきたい 
 
この、蒼い空に眩く咲く桜と貴方の笑顔 

貴方の声は忘れない 

遥か遠い空の向こうでも 

幾つもの歳月が流れても




再び 成長して同窓会や集まりで会えたら 

一人の人間として 一人の女性として 

真正面から

全力で

挑みますから 
 

そのときは覚悟しておいてくださいね、 


 
◯◯先生っ!! 





   

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