遠くの空へ
近くにも寄らず、声も手紙も届けなかった
ここに貴方への想いを置いて行くのも
今、気持ちを曝け出して行くのも
何だか整列しきれていない、
言葉の渋滞でしか生み出せそうもなかったから
貴方はここで
私は向こうで
それぞれの道を
また歩み出す
貴方への想いは、私の「原動力」そのものだから
まだ、大事に傍に持っておきたい
この、蒼い空に眩く咲く桜と貴方の笑顔
貴方の声は忘れない
遥か遠い空の向こうでも
幾つもの歳月が流れても
再び 成長して同窓会や集まりで会えたら
一人の人間として 一人の女性として
真正面から
全力で
挑みますから
そのときは覚悟しておいてくださいね、
◯◯先生っ!!
エイプリルフール
今日一日は、ネットニュースやSNSも
家族LINEでさえも一瞬、疑心暗鬼フィルターが
自然発動する日
SNSがない時代の、
必死で前夜考えたであろう友人の、
クスッと笑えるエイプリルフールネタが今は、
ただ、ただ、恋しい。
ハッピーエンド
「ハッピーエンド」の物語りより、
「アンハッピーエンド」寄りの物語りに私は惹かれる。
「ハッピーエンド」の枠から少し外れた人物の方が謎めいていて印象に残りやすく、私には魅力的だったりする。
「ハッピーエンド」
私にとっては、高嶺の花だ。
ゲームでいうと、「ハッピーエンド」を迎えるためには、分岐点が何よりも大事だ。
レベルが足りていなかったり、選択肢をひとつでも間違えると辿り着けない。
でも、ゲームだから、やり直しがきく。
セーブデータがあれば、そこからやり直せる。
しかし現実世界の人生で、過去に戻ってのやり直しは一切出来ない。
その時々のルート変更は可能だが、まさに一瞬一瞬は一発勝負だ。
どういった人生を歩めば、「ハッピーエンド」と言えるかは誰にも分からない。
個人個人で何が幸福だと思えるのか、基準が違うからだ。
私は「ハッピーエンド」の方より「アンハッピーエンド」に少し傾いたくらいの人生が似合うと思っている。
幸福の頂点のあとが何かいつも怖いから。
目の前が緩やかな登りかも?くらいが私には丁度いい。
「見つめられると」
信号が赤に変わった。
交差点の向こう側に、見覚えのある姿が目に入った。
特徴的な外見だから、すぐに分かった。
……何故、この確率を疑わなかったのだろう。
見るわけない、分かるわけない。
なのに、
視線が交わった。
貴方に見つめられると、途端に緊張が走る。
息を呑んだ。
知りつくしている視線だった。
貴方に見つめられると、あの頃の熱が甦りそうで怖い。
今、私の表情を映し出すモノは何も無い。
どうか、どうか、浮き上がっていませんように。
貴方の視線は簡単には避けられない。
この距離の無意味さが身に染みる。
何故、無駄に視力がいいのよ。
ただ、最後に見かけれたらいいな、くらいだったのに。
信号が青に変わった。
目を逸らし、あたかも何でもないかのように人混みに紛れて、そのまま直進する。
距離が近づいてくる。
斜め前方から鋭い視線を感じる。
……別の痛すぎる視線もあえなく喰らう。
迂回せずに慣れたルートで帰ればよかったのに。
自分の微かな欲求に忠実に従ってしまった罰なのか。
貴方の香りに混じって、知りない芳醇な香水の香りが届いた。
貴方は、もう私の手の届かない位置にいるのだから、そろそろ自覚してください。
いや、わたしもか。
……見つめたって、もう無邪気な頃の私たちには戻れない。
貴方の隣りに近づくことすらも叶わない。
貴方の見つめるべき相手は、貴方のその真横に居る。
振り向くな、わたし。
今日にさよなら
何気なしに起きた朝
いつもの、ルーチンをこなす
今日までの期限がないかチェック
そろそろ冷蔵庫を伺い、中を盛るために買い出しへ
ようやくコーヒータイムかと思ったら
デスクの上は 娘からのこれみよがしなラブレターの山
赤ペンと付箋が踊り出す
人をダメにするソファに埋もれた息子
読書の世界に旅立って帰還拒否
反対側を見渡せば
あちらは宿題と称してタブレットで何やら開拓三昧
「 今日」という日も、もうじき役目を終える
何気ない日常の「今日 」に
心からの「さよなら」と
平穏に終えることが出来た「ありがとう」を
でも、願ってもいいだろうか
「明日」への「少しばかりの希望(期待)」を