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1/23/2026, 8:42:14 AM

【タイムマシーン】
愛媛県公式『インターネット安心安全ガイド』内、子どものための、家庭でのスマホ利用ルールの例から抜粋。
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・学校のルールを守る。
・知らない人からの着信やメールは無視し、返信しない。
・SNS等に書き込むときは、悪口やうそなど無責任なことを書き込まない。
・自分や友だちの名前や住所など個人情報は書き込まない。
・インターネットで知り合った人と実際に会わない。
・夜の9時以降はスマホを使わない。
・食事中や人と会話しているときに、メールしたりネットを見たりしない。
・困ったときはすぐに相談する。
など
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パッと見て、多くの危険を防ぐことができる良いルールに思える。言葉の定義を厳格にすれば、穴も塞げそうだ。反面、このルールに則ってインターネットを使っても、少しつまらないような気はする。
1項ずつ見ていく。

>学校のルールを守る。
実質は意味のない条項かもしれない。学校の顔を立てて設けた項目のようにも思える。

>知らない人からの着信やメールは無視し、返信しない。
迷惑メール、勧誘等の電話への予防と思われる。
少し修正したい。
知らない人から着信やメールがあった際には、インターネットで検索、または保護者に照会し、安全な連絡先であることが確信できる場合のみ応答、返信をする。
なお、知らない人との電話、メールで発信可能な内容は、下記、「SNS等に書き込むことができる内容」と同様とする。

>SNS等に書き込むときは、悪口やうそなど無責任なことを書き込まない。
少し追加したい。
SNS等とは、「SNSおよび自分以外の他者が閲覧可能な場」をいう。「投稿時には自分のみが閲覧可能であるが、今後他者の閲覧ができるようになる可能性がある場」も、「自分以外の他者が閲覧可能な場」に含む。
なお、SNS等に書き込むことができる内容は、下記の条件を全て満たすものとする。
・個人情報を含まないこと。個人情報とは、「自分、または他人の、住所、氏名、電話番号、サービスのパスワード、年齢、性別、およびそれらを推測できる情報」のことを指す。
・悪口を含まないこと。
・意図的な嘘を含まないこと。なお、ハンドルネームを使用することは嘘に含まれず、むしろ必須である。また、楽しむことを目的とした創作など、明らかにフィクションと分かるものについては、嘘とは別物であるとする。
・いかなる契約についても、結ぶ旨を含まないこと。特に、金銭や財物の受け渡しを行う旨を含まないこと。

>自分や友だちの名前や住所など個人情報は書き込まない。
上記、「SNS等に書き込むことができる内容」に記したことと重複する。

>インターネットで知り合った人と実際に会わない。
下記の文を追加したい。
「なお、自らの保護者が同伴する場合は、保護者の判断のもとインターネットで知り合った人または「知らない人」と会うことができる」

>夜の9時以降はスマホを使わない。
幼い子にはそのままでよさそう。
個人的には、「スマホの使用は、夜間に8時間以上の睡眠時間を確保できる範囲で行う」としたい。

>食事中や人と会話しているときに、メールしたりネットを見たりしない。
それぞれの家庭で譲れないルールというものがあるだろう。このルールもその一種だといえる。

>困ったときはすぐに相談する。
ルールに穴があったときの救済措置として有効だと思う。なお、困ったときかどうか自分で判断がつかないときは、困ったときであるとする。

全項目見終わったけれど、もうふたつ、項目を追加したい。
・このルールは必要に応じて、またスマホ使用者の年齢に応じて改正する。
・このルールは、ある年齢(成人に達したときなど)において完全に撤廃し、その後は自己の判断により行動する。

ちょっと厳しすぎるなー。

1/19/2026, 2:55:11 AM

【閉ざされた日記】
『雨の玉川心中』という手記がある。小説家の太宰治と心中した女性の日記だ。

その記述は昭和22年3月27日から始まり、昭和23年6月13日に終わる。期間にして、1年と2箇月半の記録だ。6月13日はその女性と太宰治が心中した日だから、この日記は命日にも書かれたことになる。

この手書きされた日記は、本来、本人以外は読むことのできないものだが、後の人の手により公開され、今は青空文庫などでも読むことができる。

勝手に読んでごめん。そう思いながら結局、読んでいる。

1/13/2026, 2:48:22 AM

【ずっとこのまま】

学校からの帰り道でのことだ。

黒い影が僕の前方を、右から左へ横切るように飛んでいった。

見たことのない鳥だと思った。実際にはそれが鳥であるかどうかも定かではなかったが、直観的には鳥だと思った。だから、仮に鳥と呼ぶことにする。

青光りする黒い鳥だった。黒い鳥だが、カラスとは違う。胴体と翼の境がなく、胴体の一部が平べったくなっているという様子だった。凧の中心線部分が膨らんだような形、という印象だ。

それが、滑空し、微かに羽ばたきながら、目の前を横切った。

この鳥は僕にとって未知のものだ。もしかすると、僕以外の多くの人にとっても。

後を追ってみたいと思った。




鳥を追って、道を脇へ逸れた。視界の奥で小さく見える鳥を追い続ける。導かれているように思えた。

建物の間をすり抜け、植え込みをくぐり、道なき道へと進んでいくと、開けた空間に出た。周囲を木に囲まれた、半径5メートルほどの空間だ。

その中心に孤立した木があり、鳥はその木に留まっていた。いや、貼り付いていた。鳥には足がなく、全身を枝に巻き付けるようにして留まっているのだ。

ゴミ袋か何かだったのだろうか。そう思いながら、近づいていく。あと2、3歩で手が届きそうな場所まで来ると、鳥が自ら動いてめくれ上がった。露になった腹側の面には、2つの目がついている。目が合った。

反射的に「しまった」と思った。

12/22/2025, 4:00:34 AM

【降り積もる想い】
横断歩道を渡る。右足から入り、白線のみを踏んで渡る。14歩で渡り切る道である。

清滝潔(きよたききよし)は道路舗装会社のライン工である。

彼は降り積もった雪の上からでも、白線の位置を把握することができた。寸法を覚えているのだ。

対岸へと渡り切り、来た道を振り返る。学生らしき女性が横断歩道を渡ろうとしている。

清滝はそれとなく彼女を見守る。そう、右足からだ。その位置でいい。女性が4歩ほど歩いたところで、清滝は異常を察知した。歩幅が合わない。このままでは女性は黒いアスファルトを踏んでしまう。彼女には雪の下に隠れた白線とアスファルトの境目が見えていないのだ。

「危ない!」

清滝は横断歩道を走って戻り、女性を突き飛ばした。女性は後ろ向きに転んで雪の積もった地面に手をついた。女性は震える足でなんとか立ち上がり、脇目も振らず逃げていく。

清滝は女性を追わなかった。自分は当然のことをしたまでだ。お礼を言われることでもない。

翌日、清滝は傷害罪の疑いで逮捕された。

12/19/2025, 5:27:57 AM

【心の片隅で】
※ホラーの要素があります

朱肉は人の血ではない。そんなことは誰でも知っている。では何の血か。それは市役所前の石像脇に打ち捨てられたマスコットキャラの成り損ない、その血だ。
○○市には他の多くの市と同様に、市の鳥というものがある。○○市の鳥は文鳥だ。それをもじって、マスコットキャラの名前はブンチッチ。ブンチョウの頭三文字のブンチをとってブンチッチ。その残りはョウ。市役所脇には成り損ねたョウが倒れている。

ョウは半端なところで切られて血を流しているが、まだ生きている。ドクドクと流れた血を市役所の職員が回収する。職員と言っても短期のバイトだ。この仕事は正気で長くは続けられない。マスクをしても、腐った柿に酢を混ぜたような臭いに中ってしまうから。

回収された血は、煮沸消毒された後、濾されて朱肉となる。これが全国に出荷される。○○市だけで全国の朱肉の90%を賄っている。

市役所の前を通る度、心の片隅でョウのことを考える。

婚姻届に捺印する。うっかり人差し指の先に朱肉をつけてしまった。酸が鼻腔を突いた気がした。

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