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4/19/2024, 3:44:34 PM

「未来か過去どちらか片方を見せてやろうって言われたとき、先輩どっち選びます?」
突然の質問はこれから私が哲学と抽象の只中に突き落とされることを暗示しているようだった。未来か過去どっちが良いかなんてアイスブレイクでもギリ聞かないだろ。
「エー……未来? 歴史別に好きじゃないし、自分の過去は自分が覚えてるし」
「未来見てどうするんです?」
せっかく答えてやったのに詰められてはたまらない。両手を上げて肩をわざとらしくすくめてみせると、ポエマーティーンは明らかに落胆した様子だった。
「未来を見ることってつまりは運命の覗き見じゃないですか。そこで見たことは絶対に覆らないんです。だって、『未来を見て何かをした自分』が未来で見た自分なんてすから」
「ほらでも、予言とか夢あるじゃん?」
「いや、その未来があるなら予言してもその程度だったってことですよ。例えば何年に大地震なんて言っても、大地震が起こらないわけじゃないし、信じなかった人は死ぬ。結局それって承認欲求じゃないですか。自称未来人と何も変わらないんですよ」

珈琲もどきを一口傾けて、息を吐く。
「……じゃ、君は過去が見たいってこと?」
「え? いや全然。私が見たいのは今だけですよ」
こんな仕事してる時点で分かるじゃないですか、と夜職ポエマーはふはふは笑った。
【もしも未来を見れるなら】2024/04/20
私は歴史が好きなので紀元前くらいが見たいですね。

4/18/2024, 12:05:46 PM

無彩色の世界に少女が居た。
少女は計略的な結婚をし、合理的に成功した。
この世界は直線的な都市とホログラムで構成されている。ホログラムが無くなればどこもかしこも剥き出しのコンクリートだ。
何も求められず、楽しむこともない。

極彩色の世界に少女が居た。
少女はセンセーショナルな恋をし、運を武器に博打的に成功した。
この世界は曲線と気分で構成されている。世界中にきらびやかなネオンが輝いている。
他人の悪意が蔓延り、非合理な慣習が並列し、感情に行きずりになる。

果たしてどちらが幸福なのでしょうね。
【無色の世界】2024/04/18
あとで書き直します。今日ではないですがインフルが治りました。

4/17/2024, 12:15:20 PM

新学期と春ボケと、セーラー服と。
春の香りはさやかに、されど強烈に少女を呼び起こす。新学期の必死さに取り残された一人は、通学路の晩春を踏みつけて歩く。
「はっ」
過ぎる視界を横切る桃色。
「はっ」
のろのろと進んだ通学路を、破竹の勢いで引き返している。
「はっ」
視界を縦横に交錯する桃色がうるさい。
……桜?

絨毯を見下げていた少女は顔を上げる。絨毯の母親が、葉を混ぜながら揺れる。
春が終わる。まざまざと意識させられたことだ。
桜の開花をニュースにするような奇妙な国ジャパンで、彼女は一人花降らしの予報を望んだ。
【桜散る】2024/04/17
雰囲気すぎますね。新学期が嫌いな学生が走って帰宅していたときに、葉桜を見上げ、永遠のように感じる春の終わりを感じたってだけの話です。

4/15/2024, 12:11:13 PM

実は思いって、口に出しても伝わらないんですねえ。
思いって、まず貴方が言葉にする時点でろ過されて、相手が聞いて理解するときにもろ過されるんですねえ。つまり、あなたが口下手なら言葉から溢れる思いは多いですし、相手が貴方に何らかの悪感情バイアスを抱いてる時は理解するときに溢れる思いが多いわけですねえ。
え? ああ、悪感情バイアスは悪い先入観のことですねえ。嫌いな相手からの言葉は内容によらず結構何でも苛々するって意味ですねえ。
言葉で伝わるものってそう多くないんですねえ。
いい小説家は、その文の秀逸さに思いが掠め取られることもあるんですねえ。
「現にあなたは私の口調に辟易している」
名言として括られる締まりのいい言葉の本意を全員が理解しているかと聞かれれば微妙なんですねえ。

だから本当に思いが伝わる関係は、自分の思いを言葉を尽くして説明できて、相手にそれを聞こうという貴方を尊重する意志がある理想的な関係に落ち着くんですねえ。
つまりそれは好き同士なんですねえ。

何が言いたいかっていうと、片思いで告白なんて逃亡なんですねえ。
【届かぬ思い】2024/04/15
私の思想を喋るキャラ二人目、ですねえちゃんです。思想キャラ一人目の夜職のポエマー後輩の姉です。

4/14/2024, 11:55:17 AM

※エセ関西弁アレルギーの方は閲覧をお控えください
 思想の垂れ流し

「どうかマコトくんと付き合えますように」
少女は賽銭を投げ入れる。もちろん五円玉だ。御縁がありますよう――
「――マコトに言わんかい!!」
五円玉が木枠に阻まれて砂利道に落ちた。
「え」
「マコトに告白もせんで何がツキアエマスヨウニーやねん! 付き合えるかアホ!」
あまりに口汚く罵られるものだから少女は黙っていられなかった。告白はこの後、願掛けの後にするつもりだったのだ。それをこんな風に怒鳴られて不愉快――
「してから来いや! なんっやねんお前、縁結びを何や思っとんねん! 無い縁結べるか!」
「すっすみません!」

「どうかマコトくんが私に振り向いて――」
「振られたやん。無理やで!」
「神様っ!」
少女は憤った。告白の前に何らかの加護をくれたならこんなことにはならなかったんじゃないか、こんな仕打ちはあんまり――
「何の努力もしてへんくせに何をお怒りなん……初対面で好きですって叫ぶ奇行を告白とは呼ばんのやで」

……縁結びの神は言いました。
告白って秘めた思いを告げるってことやねん。あんたは全然秘めてへんし、マコトからしたら初対面で自分のことが好きな女で、それって何の魅力もないねん。
あと努力ってこーゆーことやないねんな。あんた神社に来て賽銭投げてみて、なんか自分がやり遂げたみたいに思っとるみたいやけど、それって恋の成就に貢献せんし。神よりマコトにお膳立てするべきなんよ。あのあと賽銭ねじ込んでったけど、財布の中身ひっくり返してマコトに積んだら良かったんちゃう?

「……」
少女は放心した様子で賽銭箱に有り金を突っ込んだ。
【神様へ】2024/04/14
ぶりかえしました。長くてまとまってない文を読んてくださったならありがとう

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