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「未来か過去どちらか片方を見せてやろうって言われたとき、先輩どっち選びます?」
突然の質問はこれから私が哲学と抽象の只中に突き落とされることを暗示しているようだった。未来か過去どっちが良いかなんてアイスブレイクでもギリ聞かないだろ。
「エー……未来? 歴史別に好きじゃないし、自分の過去は自分が覚えてるし」
「未来見てどうするんです?」
せっかく答えてやったのに詰められてはたまらない。両手を上げて肩をわざとらしくすくめてみせると、ポエマーティーンは明らかに落胆した様子だった。
「未来を見ることってつまりは運命の覗き見じゃないですか。そこで見たことは絶対に覆らないんです。だって、『未来を見て何かをした自分』が未来で見た自分なんてすから」
「ほらでも、予言とか夢あるじゃん?」
「いや、その未来があるなら予言してもその程度だったってことですよ。例えば何年に大地震なんて言っても、大地震が起こらないわけじゃないし、信じなかった人は死ぬ。結局それって承認欲求じゃないですか。自称未来人と何も変わらないんですよ」

珈琲もどきを一口傾けて、息を吐く。
「……じゃ、君は過去が見たいってこと?」
「え? いや全然。私が見たいのは今だけですよ」
こんな仕事してる時点で分かるじゃないですか、と夜職ポエマーはふはふは笑った。
【もしも未来を見れるなら】2024/04/20
私は歴史が好きなので紀元前くらいが見たいですね。

4/19/2024, 3:44:34 PM