新学期と春ボケと、セーラー服と。
春の香りはさやかに、されど強烈に少女を呼び起こす。新学期の必死さに取り残された一人は、通学路の晩春を踏みつけて歩く。
「はっ」
過ぎる視界を横切る桃色。
「はっ」
のろのろと進んだ通学路を、破竹の勢いで引き返している。
「はっ」
視界を縦横に交錯する桃色がうるさい。
……桜?
絨毯を見下げていた少女は顔を上げる。絨毯の母親が、葉を混ぜながら揺れる。
春が終わる。まざまざと意識させられたことだ。
桜の開花をニュースにするような奇妙な国ジャパンで、彼女は一人花降らしの予報を望んだ。
【桜散る】2024/04/17
雰囲気すぎますね。新学期が嫌いな学生が走って帰宅していたときに、葉桜を見上げ、永遠のように感じる春の終わりを感じたってだけの話です。
4/17/2024, 12:15:20 PM