御蔭

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5/17/2025, 5:43:45 AM

執着との境界線は何処にあるのだろうか。
ずっと考えていた。物語を描く昼時、眠る前の深夜。
誕生日も命日も何もない日も。答えはまだ出ない。
「大丈夫、彼はいつも君の傍にいる」
目線の先には、真っ白で皺のない制服。胸は生前より多くの勲章が飾られている。ならば、前を向いて歩くほかないのだ。

『錨を揚げよ』
お題「手放す勇気」

5/14/2025, 10:58:20 PM

血の巡りが悪くなったのを感じる。息苦しさに耐えかねてマスクを取っても、脳は異常を訴えている。酷いときは視界が紫に染まって必死でベンチを探すんだ。

吸って、吐いて。
結局のところ肺も回らなくなるんだ。首を吊っても紐は千切れる。
だから僕は[読めなくなっている]。

『酸欠と相成る』
「酸素」

5/13/2025, 12:56:55 AM

「めでたし、めでたし」
いつだって結末はそうだ。

だから読者は問うた。
何故バッドエンドを書かないのか。

作家は答えた。
せめて虚構の中では夢を見ていたい。悪は等しく裁かれるべきだし、善は等しく報われるべきだ。

現実では到底叶わぬ夢を託す。
故に、彼女たちは彼らの手を取るのだ。

『Dream born/Dreambone(夢現を組み上げて)』
「ただ君だけ」

3/24/2025, 2:59:40 PM

「そう、だよな。いや、良いんだ……お前が幸せなら、それで」

 愛する彼女の元に戻ったが、一足遅かったらしい。新たに心を寄せるだけの相手が見つかったらしい。
 彼はそれを恨まなかった。ずっと何処にいるかもわからない。周りは死んだものだから諦めろと囃していた。そんな環境に置かれれば気がおかしくなるのも当然だろう。諦めずに奮闘していたことも知っていたが、心が折れてしまったらしい。壊れた心は二度と元には戻らない。だからこそ、今度は自らの意思で姿をくらまそうとした。

「どうして……そんな、俺はまた、お前の前から……」

 本当は辛かった。揺らぐ気持ちは押し戻されたのだと。

「……ごめんな、今度はもう、離してなんかやれないから」


(※wipかつメモ)

『三度の離別の果てに結ぶ鎖は』

お題
もう二度と

2/22/2025, 12:29:19 PM

「律」
「ん?」

 振り向いたその一瞬を逃さない。路地裏にシャッター音が響く。

「撮った?」
「あぁ。綺麗だったから、つい」

 雨上がりの澄み切った空気。
 満月に掛かる虹は弧を描いている。
 濡れた銀糸は月明かりを受けて煌めく。

「そっか。確かに夜の虹って珍しいよね」
「だからお前が映えるんだよ、律。誰にも見せるつもりはないが」

 廉の言葉を理解し、律はそっと目を逸らした。

『WallPaper』
お題
君と見た虹

(Over 1000♡!Thanks!)

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