血の巡りが悪くなったのを感じる。息苦しさに耐えかねてマスクを取っても、脳は異常を訴えている。酷いときは視界が紫に染まって必死でベンチを探すんだ。
吸って、吐いて。
結局のところ肺も回らなくなるんだ。首を吊っても紐は千切れる。
だから僕は[読めなくなっている]。
『酸欠と相成る』
「酸素」
「めでたし、めでたし」
いつだって結末はそうだ。
だから読者は問うた。
何故バッドエンドを書かないのか。
作家は答えた。
せめて虚構の中では夢を見ていたい。悪は等しく裁かれるべきだし、善は等しく報われるべきだ。
現実では到底叶わぬ夢を託す。
故に、彼女たちは彼らの手を取るのだ。
『Dream born/Dreambone(夢現を組み上げて)』
「ただ君だけ」
「そう、だよな。いや、良いんだ……お前が幸せなら、それで」
愛する彼女の元に戻ったが、一足遅かったらしい。新たに心を寄せるだけの相手が見つかったらしい。
彼はそれを恨まなかった。ずっと何処にいるかもわからない。周りは死んだものだから諦めろと囃していた。そんな環境に置かれれば気がおかしくなるのも当然だろう。諦めずに奮闘していたことも知っていたが、心が折れてしまったらしい。壊れた心は二度と元には戻らない。だからこそ、今度は自らの意思で姿をくらまそうとした。
「どうして……そんな、俺はまた、お前の前から……」
本当は辛かった。揺らぐ気持ちは押し戻されたのだと。
「……ごめんな、今度はもう、離してなんかやれないから」
(※wipかつメモ)
『三度の離別の果てに結ぶ鎖は』
お題
もう二度と
「律」
「ん?」
振り向いたその一瞬を逃さない。路地裏にシャッター音が響く。
「撮った?」
「あぁ。綺麗だったから、つい」
雨上がりの澄み切った空気。
満月に掛かる虹は弧を描いている。
濡れた銀糸は月明かりを受けて煌めく。
「そっか。確かに夜の虹って珍しいよね」
「だからお前が映えるんだよ、律。誰にも見せるつもりはないが」
廉の言葉を理解し、律はそっと目を逸らした。
『WallPaper』
お題
君と見た虹
(Over 1000♡!Thanks!)
魔女の箒に乗せてもらうということ。それは最高の名誉、相手が異性ならば求婚ともなる。
「……」
ディートリヒは何度もエレオノーラと空の旅を共にしていた。最初は手も背中も震えていたが、練習に付き合っているうちに上達し、今はこうして星空を眺める余裕もある。
『命を預ける』
お題
夜空をかける
※wip