今日も私は「書く習慣」というアプリを開いた。内容は毎日七時に変わるお題に合わせ文章を書き、それを投稿するというものだ。拙い文章でもハートが付くから、評価されるのが嬉しくて飽き性の私でもちまちま投稿し続けてもう一年になる。
さて、本日のお題は……『秋恋』?うーん、秋恋ね。まず秋といえば食欲の秋でしょ。それにスポーツ、読書……秋に恋ってイメージはあんまないかも。そもそも日本における秋って三日ぐらいだし。ちょっと過ごしやすい日が続くなーって思ってるとすぐ肌寒くなるんだよね。
そもそも、現実の世界じゃ九月の下旬だっていうのに暑すぎる!残暑どころじゃない。セミだってミンミン鳴いてるし、夕方の日差しはオーブンに焼かれたようだし、街行く人の服装は大半が半袖だ。ああ、こんなこと考え出したら『秋恋』なんてお題じゃ書けなさすぎる!
……そうだ、この気持ちをそのまま文にしちゃえばいいんじゃない?ほら、キーボードを打てばスラスラ文章が出てくる。お題はちょっと無視しちゃったけど……良いよね。ルールとかないし!じゃあ、今日はこれで投稿!
『秋恋』
「イチゴちゃん、ご飯おいしい?」
まるでハートがつきそうなほど甘い声で男は話しかけてくる。
別にいつも通りだ、と伝えると大きな手のひらで頭を撫でられた。
「じゃあ、お風呂に入ってくるね」
え、と驚嘆の声が漏れる。
今帰ってきたばかりなのに!ご飯を食べる私を置いてお風呂に入りにいくなんて!
まだいかないでと男の体に擦り寄る。
「も〜甘えてるの?かわいいなあ」
「でも明日も仕事だからごめんね」と悲しそうな目で頬を撫でられる。
そう言われては仕方が無いので諦めることにした。
男が風呂に入り終わるのを待ちながらご飯を食べる。メニューは特にいつもと変わらないが、用意してくれた男の愛情が感じられる。
30分ほど経った後、男が髪を乾かして洗面所から出てきた。
「食べ終わったかな?じゃあもう寝よっか」
いつも2人で寝るのがルーティンだ。
ベットの中に男と入る。いつも通り、素材にこだわったふわふわの毛布、頭にフィットする枕。そして目の前には大好きな人の顔。
「おやすみ、イチゴちゃん。良い夢が見れますように」
男は眠りにつく前に私を撫でてから目を閉じた。
私の大好きな目。愛おしい目。優しい目。
その目で私だけを見つめていてくれるなら、ずっとあなたのものでいるのに。
あなたはいつまで経っても分かってくれない。
この思いはどうすればいい?
ずっと問いかけているのに。
好き。大好き。はやく気づいてと思いを募らせながら眠りについた夜だった。
____目が覚めた。昨日の夜から天気が悪く雨風の音がうるさくてよく眠れなかった。
ふと腕の中を見てみればそこには愛しい存在がいた。つぶらな瞳はこちらを見つめている。
「おはよう、イチゴちゃん。今日もかわいいね」
毎朝日課になっている言葉をかける。
するといつもとは打って変わって少し悲しそうな様子で返事をされる。
「ニャー」
いつも聞いているのにも関わらず思わず笑みが浮かぶほど可愛い声だと思いながら問いかける。
「ふふ、風の音で眠れなかったかな?」
「朝ごはんの準備をしてくるね」と言って寝室を後にする。
イチゴちゃんのペットフードも用意して、自分は昨日の残り物のシチューを温め皿によそった。
「イチゴちゃ〜ん!ご飯できたよ〜」
そう呼びかければイチゴちゃんはすぐに寝室から出てきた。
「それじゃあ、いただきます」手を合わせてシチューを食べ始める。
するとイチゴちゃんはご飯を食べずにテーブルの上に乗ってきた。
「どうしたの?イチゴちゃん。お腹空いてない?」
イチゴちゃんはそのつぶらな瞳でこちらを見つめてくる。まるで綿毛のようなふわふわのしっぽを揺らせながら上品に座っている。
その瞳。その目。なんて綺麗なんだ。
いつまでもそうやって見つめていてくれたら仕事だってなんだって全力で頑張れる。家に帰ったら君がいるから。
そんな思いを胸にしながら毛並みにそってイチゴちゃんを撫でた。
「いつまでもイチゴちゃんが幸せに過ごせるよう頑張るからね」
イチゴちゃんはどこか物憂いな目を細めた。
『見つめられると』
「桃ちゃんはね、おばあちゃんにとっていちばん、特別な存在なのよ」
__5歳の誕生日、おばあちゃんにそう告げられた。
実際私も自身のことを世界で1番特別な存在だと信じて疑わなかったし、周りが異常なまでに可愛がるので勘違いをしてしまった。
でも、小学校に入ってからは違った。
「ねえねえ、あの子可愛くない!?」
「3組のこはねちゃんでしょ?男の子たちもみんなあの子のこと可愛いって言ってるよね!」
ショックを受けた。
私が1番可愛いと本気で思い込んでいた。
でも実際は違った。周りの環境が変われば人も変わるし、自分より可愛い子がいっぱいいた。
井の中の蛙大海を知らずとはまさにこの事。
それでも、おばあちゃんの言うことは変わらなかった。
「桃ちゃん、あなたがこの世界でいちばん特別よ」
そう言うおばあちゃんの声は優しくて、嘘偽りなかった。だからまだ、心が折れたりすることはなかった。
2年生になりクラスが変わった。
隣の席に座っていたのは学年で1番可愛いとウワサのこはねちゃんだった。
「よろしくね、こはねちゃん」
本当に可愛い子だった。外見はもちろん、立ち居振る舞いや持ち物まで。きっと街を歩けばみんな彼女のことを見るだろう。
「はあ……ヨロシク」
彼女は私の姿を下から上まで値踏みするように見たあと、冷たく言い放った。まるで話しかけないでと言うように。
なんて感じの悪い子なんだろうと思った。その一瞬でこはねちゃんの事が嫌いになったし、今まで生きていてそんな対応をされたのは初めてだったのでかなり落ち込んだ。
__2年生になってから数ヶ月が過ぎた。
今日は遠足の班決めだった。班は男女に分かれて決められる。
私は1年生の頃からの親友と絶対に一緒の班になろうと決めていた。
だが、こはねちゃんが自分の班に親友を誘った。
「ねえ、こはねちゃん!桃ちゃんもこの班に入れていいよね?」
「はあ?イヤだけど」
「え?……なんで……?」
「だってあの子、」
「可愛くないし」
空気が凍りついた。女子の間でタブーとされるそれ。本人のいる前で絶対に言ってはいけないそれ。
「……えと……」「あはは……」クラスのマドンナ的存在であるこはねちゃんに逆らえない女の子たちは乾いた笑みだけをこぼしていた。
「いいよ、こはねちゃんの班に入りなよ」
「……え?でも、桃ちゃん……」
「私はいいから、ね?」
一刻も早くこの場を収めたくて親友にこはねちゃんの班に入ることを進めた。
ひどく心が傷ついた。こはねちゃんもクラスの女子たちも!みんなみんな私の事バカにして!
もう何も信じられない。信じたくない!
__その後の事はぼんやりとだけ記憶に残っている。ただクラスから逃げたくて保健室に行ったら仮病が上手くいって早退することができた。
今クラスでは私がこはねちゃんに可愛くないと言われたことを気にして早退したんだろうと話されている事だけは分かる。
「桃ちゃん!大丈夫なの?随分体調が悪そうだったから早退させたって先生が仰ってたけど」
家に帰るとおばあちゃんが出迎えてくれた。
「…………うん、大丈夫」
学年で1番可愛い子に可愛くないと言われてサボったなどとおばあちゃんにはとても言えない。
「そう?桃ちゃんはおばあちゃんにとっていちばん特別な存在なんだから、健康には気をつけてほしいの」
__また、その言葉で私を縛る。
分かってる。これはおばあちゃんの優しさ。嘘なんかじゃない。私もおばあちゃんが好き。
孫が可愛くて可愛くて仕方ないんだろうと、子供ながらに分かっていた。
だけど、今だけはその優しさが苦しかった。
おばあちゃんじゃなくて。親じゃなくて。近所のおじさんじゃなくて。
クラスの子たちから認められたい。あの子は可愛いって。
おばあちゃんの言葉に微笑を浮かべた。
『特別な存在』
___バカみたいだ。
青春なんて、うるさく騒いで将来なんの役にも立たない思い出にしか過ぎない。放課後友達とカラオケに行ったり、制服でテーマパークに行ったり。そんな事をしている暇があったら勉強をする方がマシだ。
休み時間、読書をしながらクラスのどの女子を彼女にしたいかという話で盛り上がる男子達を横目にそんな事を考えていた。
なんてくだらないんだ。そのうち自分は選ぶ側ではなく選ばれる側だということを認識させられるだけだというのに。
「委員長ー!何読んでるんですか?」前の席の宇佐美信長が話しかけてきた。
「…………ハリー・ポッター」
「ええっ!以外!夏目漱石とか読んでそうなのに!」
「別にいいだろ!」
「ちなみに何作目ですか?」
「5作目、不死鳥の騎士団だ。……それより、ずっと前から気になってたんだが、なぜ宇佐美は俺に対して敬語なんだ」
「だって委員長ってクールでカッコイイし……ぼくよりずっと年上のお兄さんって感じだから」……意図してクールにしていたわけではないが、褒められるのは満更ではない。
「そういう宇佐美は無邪気というか、可愛らしいな」
「か、かわいい!?カッコイイが良かったけど……でも、そうですよね。ぼくって信長っていう名前のわりに弱々しくて織田信長に申し訳ない……委員長みたいにもっとクールになれればいいのに」
「別に無理に変わろうとしなくていい。宇佐美には宇佐美の良さがある」
「……も、も〜!委員長ったら!そんなこと言われたら勘違いしちゃいますっ!」宇佐美が顔に手を当てて体をくねらせる。
「あっはは!なんだそのノリ」
「……あ!そうだ、もうすぐ夏休みですけど委員長は予定はありますか?」
「予定?特に……図書館に行って勉強をしようと思っていたが」
「さっすがマジメ!でもそんな委員長には少し休息が必要じゃないですか?」
「休息?」宇佐美は誇らしげに手を腰に当て口を開いた。
「ぼくと一緒に行きましょう!USJ!」
「は」
_____________________
「……着いたー!!」
「来てしまった……」
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン。USJ。ユニバ。世界でも大人気のテーマパークに俺は宇佐美と遊びに来ていた。
「やっぱり夏休みだから人が多いですね!」
「ああ、そうだな……」
「委員長は初めてでしたっけ?USJ!」
「ああ。テーマパーク自体まだ小さい弟がいてなかなか行くことができない」
「そうなんだ!じゃあ、今日はいっぱい楽しみましょうね!」
初めはハリー・ポッターのエリアにきた。
「委員長のこと連れてきたかったんですよね!ハリポタ好きなんでしょ!?」
「いやまあ、好きだが……」
「あ!あそこ、魔法が使えるとこですよ!行きましょ!」
「あ、おい、走るな!」すみませんとわざとらしく舌をペロっと出す宇佐美は、いつもより活き活きしている。
「委員長!まずはぼくがお手本するので見ててくださいね!」
そう言うと宇佐美は慣れた様子で杖を動かした。真っ白の雪が降る。
「どうですか〜!?すごいでしょ!」
「ああ、凄いな!慣れてるんだな」
「ふふん、委員長もどうぞ!」
杖を借りて見よう見まねで動かす。少量だが雪が降った。
「……降った!」「さすがです委員長〜!!」達成感で心が躍る。街並みもさることながら、実際に本の中の世界にいるようで夢見心地だ。
「前に買った杖持ってきて良かったです〜!」
「ああ。助かったな」
「このあとは……やっぱりアレですね!」
「アレ?」
_____________________
「ぷは〜!」「思ったより甘いな」
美味しいですねと宇佐美が笑顔を見せる。バタービールを飲みに来ていた。
「あ、委員長泡のヒゲついてますよ〜!ギャップ萌えってやつですね!カワイイ!」
「かわいいって……そういう宇佐美もついてるぞ」
「え!ちゃんと舐めたつもりだったのに〜」
アハハと2人で笑い合う。宇佐美といると心地いい。雰囲気が明るくなる。
___散々楽しんだ後、帰り道。
「は〜、楽しかったですね!特にジェットコースター乗った時の委員長には笑っちゃったな〜!」
「宇佐美こそ、乗る前は緊張で吐きそうだったじゃないか」
「あ〜!もう!それ禁句です!」
「あはは、ごめんごめん……今日は連れてきてくれてありがとう。宇佐美のおかげで忘れられない日になった」
「ぼくも楽しかったです!委員長も楽しめましたか?」
こんなに胸が高鳴るのはいつぶりだろう。また楽しい時間を過ごしたいと、期待している自分がいる。
「ああ。宇佐美といると楽しい。また俺と遊んでくれるか?」
「わ……!もちろんです!今度はディズニー行きましょう!!」
__青春なんて無駄だ。遊んでいる暇があったら勉強する方が将来のためになるのに。
知らなかった。好きな友達と遊ぶことがこんなにも楽しいなんて。
「まったく……」
宇佐美の眩しい笑顔を見ながら口を開く。
「バカみたいだ!」
『バカみたい』
USJに行った事がないのに話のネタにしたのを激しく後悔しています。間違いがあったらすみません。
__世界は終末を迎えていた。
30XX年、大規模な戦争により人類は滅亡に追い込まれていた。
元々少子高齢化などの社会問題があり、それに今回の戦争が追い討ちをかけこのような悲惨な状況になってしまった。今現在安全な暮らしをできているのは政治家や富裕層の人間のみであり、政府はこの状況に為す術もなく、退廃していった。
街中のビルや電灯などはほぼ全てが崩落し、瓦礫にツタやツルなどか巻きついている。四季折々の自然の美しい景色は消え去り、のびのびと生きていた様々な生物たちは衰退してしまった。
「マスター、このあたり一帯には人体センサーの反応がありません」
「そうか。ありがとう、ロイド」
少し落胆しながらも感謝を告げる。
私はこの世界で相棒であるアンドロイドと共に探偵をしている。戦争によって生死や行方が分からなくなった人達は多く、また彼らを探す人達も多い。
政府は働かなくなり私のような存在は必要不可欠なようで、ありがたいことに仕事は増えてきている。
そんな私を手伝ってくれるのがこのアンドロイドだ。
機体識別番号P–S73。数年前に私が開発したサポートアンドロイド。
番号で呼ぶのはあまり気が進まないのでアンドロイドからとってロイドと呼んでいるが、やはり安直すぎるな。
__今日は子供の捜索をしていた。男女の双子で年齢は12歳、戦争から逃げる際にはぐれてしまって以降行方が分からないとの事だ。
もう3週間は捜索を続けているが、一向に手がかりは見つからない。
「ロイド、都心部へ向かおう。崩れた瓦礫の影などに隠れているかもしれない」
「了解しました。マスター」
薄暗い灰色の空の下を相棒と共に歩き続ける。
もうここ何年かは澄み渡る青空に輝く太陽を見ていない。
「はあ……双子は大丈夫だろうか」
「今の状況から推測するに、安全な場所にいる可能性は低く、生命メーターが低下していると思われます」
「……ああ、いや、私もそう思うが……もっとほら、寂しい思いをしていないか、とか」
「私はアンドロイドです、マスター。ヒトの気持ちは分かりません」
「ああ、そうだよな。分かっている……」
無機質な性格は時に寂しくなるが、一方で冷静にさせてくれる。
「きっと、双子たちは二人ぼっちだよな。この絶望的な世界で、親と離れて生き延びなければならないのは辛いものだろう。早く見つけてやらなければ」
「そうですね。マスター」
「しかし、互い以外に頼れる存在がいないとは、なんとも悲しい限りだ。鬱々してしまうな」
「ええ。マスター」
「……フ、何も考えてないって感じの返事だ。私も昔から研究や開発ばかりで人と会話することは得意ではなかったがお前程ではなかったよ」
「……では、マスターが教えてください。私はあなたのサポートアンドロイドです。あなたのために生きます」
「……ああ、お前にはもっと感情が必要だ。そうだな、お前には……愛の言葉を教えてやろう。」
「愛?」
「ああ。大好きな人や大切な人に贈る言葉だ」
「教えてください」
「あなたに会えて良かった」
「あなたに会えて良かった……」
「いつかお前に大切な人ができた時に言ってやれ」
「はい。マスター」
そんな話をしながら15分程度歩いていると都心部についた。あたりは閑散としている。
「ツバキくん、ユキちゃーん!いたら返事をしてー!」双子の名前を呼ぶ。冬生まれだろうか。
「マスター。この方法は非効率的です」
「これしか方法がないんだ。いいからお前もやるんだよ」
2人で名前を呼びながら捜索を続けるが、ロイドの人体センサーにも反応がないし何より人の気配がしない。
「ここにはいないかな……」
「…あ、あの!」子供に呼び止められる。
「もしかして君は……」
「ぼ、ぼく、ツバキです!」
「ああ、良かった!無事だったんだね」
「はい、それであの……こっちに来てもらえますか?ユキの具合が悪くて……」
ツバキくんに連れられてユキちゃんの容体を見てみると発熱しており意識が朦朧としているようだった。
「ロイド、ユキちゃんに治療をしてやれ」
「了解。マスター」
「ユキ……」ツバキくんが心配そうにユキちゃんの手を握る。
「大丈夫、ロイドはサポートアンドロイドだから、人を治癒するのが得意だ。すぐに良くなるよ」
「うん……実は、ユキとは本当の兄妹じゃないんだ。赤ちゃんの頃に引き取られて、ずっと一緒に暮らしてる」
「そうか……ツバキくんは今、幸せか?」
「……うん。戦争のせいでこんな事になっちゃったけど、ユキと一緒にいれるならどこにいても幸せ。血は繋がってないけど、お父さんたちも、ほんとうの家族だよ」
「そうだな……」
そう告げるツバキくんの声には迷いがなかった。まるで冬の厳しい寒さの中で咲き誇る椿のように凛とした瞳だった。
ユキちゃんの治療を急いで終わらせたあと、ツバキくんも連れて近くの総合病院へ連れて行った。都心部という事もあり人が多いのでまだ機能している病院があって良かった。
「マスター。愛、とは先程ツバキくんが仰っていたことですか?」
「ああ、そうだな」
今も昔も、愛は争いの元にもなりうるもので、また人々の希望で原動力でもあった。いつの時代も、本気で愛する人のことを思ってしたことが罪であったり、また誰かの救いになることがあった。
「マスター。お伝えしたいことが」
「なんだ?珍しいな」
「あなたに会えて良かったです」
「…………フフ、アハハハ!会うも何も、お前を作ったのは私だろう!」
「……使い方が間違っていましたか?私にとってマスターは大切な人です」
「いや……私も、お前に会えて良かったよ」
この殺伐とした世界で、お前となら希望を忘れないでいられる。誰かの救いになろうと動くことができる。
たった二人ぼっち、私たちが行動することで誰かの愛を救える。
「これからもよろしく頼むよ、相棒」
「はい。マスター」
『二人ぼっち』