月日が経つ毎に、思い出とか、大事なものとか、どんどん記憶が薄れてしまう。こんなに大切にしていたのに、いつの間にか消えてしまう。
「さみぃなぁ。」
隣にいる、彼だって。いつか僕を忘れてしまうかもしれない。
「明日どっか初詣いくか?良いとこ知ってるぜ。」
「いや、寒いからいいや。お前と一緒居たい。」
「ふは、なんだよそれ。」
こうやって笑い会うことも、全部、全部。
「なぁ、」
「ん?」
「来年も、ずっと、ずっと一緒にいたい。」
「え」
「お前が良いならずっと一緒がいい。お前が拒んでも多分僕会いに行っちゃうと思うけど。」
彼は優しく頷きながら僕の話を聞く。
「お前が離れちゃうのが怖い。やだ。一緒にいたい」
柄にもない。こんな年になってまで駄々をこねるとは。
ふと顔を上げると彼は微笑みながら僕の顔に手を添えた。
「当たり前だ。絶対離さねぇ。」
その言葉だけで良かった。
「ありがとう、、。」
彼の背中に手を回すと彼もゆっくりと、優しく、僕を抱きしめた。
「すげぇ、、大好きだ、、。」
「何分かりきったこと言ってんだ、、馬鹿、、大好き」
これからも僕たちはずっと一緒に歩いていく。
どっちがが死んでしまっても、多分どちらも後を追う。
ずっとずっと、隣で。
「何年経っても、一緒に居よう」
君に捧ぐ言葉。
「何年先も、ずっと」
#良いお年を
お題フル無視です、、。
少し早いけどHappyNewYear!!
もう、今年もこれで終わり。
読んでいた本を閉じ、寝室へと向かう。
ベッドの上には静かに寝息を立てている彼がいた。
「相変わらずだな、、。子供みたいだ。」
彼の頭に手を乗せて、そっと撫でると、少し体を揺らして、声にならない文字を発していた。
「今日、頑張ってたもんな、おつかれさん。」
聞こえていないことを願って少し呟く。
気のせいか、彼の顔は優しく笑っているように見えた。
彼と出会ってほぼ3年がたった。
最初は戸惑いも悩みも怒りも悲しみも、色んなことがあった。でも彼がそれを全て笑顔に変えてくれた。
閉じ込めていた気持ちも全部彼が救い出してくれた。
だから、俺はこの人と今、共にいる。
その事実に涙がでる程に、嬉しかった。
ただ、その言葉だけだった。
「おやすみ。」
また、明日になったら明日の彼が明日の俺にしか見せない顔をする。その事実に変に嫉妬する自分もいる。
それだけ好きなんだ。
「来年も、よろしく。」
次も、次も次も、その時が来るまで俺はこの人と歩き続ける。
戸惑いも悩みも怒りも悲しみも全てを笑顔にする。
来年も、また、隣で。
#1年間を振り返る
セリフ少ないので少し読みにくいかもしれません、、。
あと少しで2023!!2022、最後まで駆け抜けます!!
「美味しいなこれ。」
彼は口いっぱいにみかんを頬張りながら言った。
「やっぱ高いの買って良かったな。甘さが違う。」
それから評論家のように語り出した。
「そうだな。明日も買いに行こうか。」
彼のいるこたつに向かい、彼と肩を並べてこたつに入る。
「うわ、あったか、、」
じわじわとくる熱気が何ともたまらない。
みかんに目をやるともう半分ほど無くなっていた。
「ごめんなぁ、つい美味しくてよ。」
みかんを見ていた事がバレたのか、気を使ってなのか、彼はこっちを向いて謝った。
「そんなに美味しかったか。食べてみたかったな。」
ちょっと揶揄うように言ってみると、彼は明らかにオドオドとした。
「くっ!今から買いに行く!!!」
そう言って彼はこたつから出るが
「さっむ!!!」
キッチン辺りから直ぐに戻ってきた。
「おい、もう8時だろ。寒いに決まってる。」
「うっ、確かに、、。」
彼はまたこたつに入り直した。そこで一つ零す。
「今日は仕事も同窓会も断ってこっち来たんだよ。ちょっとくらい、、」
そこで言葉は止まった。ふと隣を見ると
彼は微笑みながらこちらに顔を向けていた。
「なにそれ。そこまでして俺に会いたかったの?」
その言葉に小さく頷く。
「嬉しい、、大好きだ。」
彼は優しく俺を抱きしめて呟いた。
#みかん
後半みかん全然関係ないですね、、、。
「ほら!こっちこっち!!」
彼は俺の腕を引いてキラキラとした街へと誘う。
2人で訪れた場所は冬のデートスポット、イルミネーションが輝く街だった。
「ちょっ、おい!」
彼の方が少し力が強いのか、俺か引っ張られる感じになってしまう。
溶け残る雪上を滑るように歩く。
「ほら、見て。」
彼が指さす方を見つめる。そこには月のあかりをもかき消すようにイルミネーションがきらきらと輝いていた。
「うわ、、やべぇなぁ。」
「だろ!!これ見せたかったんだよ!」
そう言って彼は俺と手を絡める。
「お前、最近忙しいじゃん。会えねぇのすげぇ辛かったんだぜ。だから、こうして会えるのめっちゃ嬉しいの。」
くる、と振り返って笑う彼はイルミネーションの明かりよりも輝いていた。
「、、、馬鹿。」
「なっ!?」
彼の肩に頭を預け、彼の大きな手を取って零す。
「俺だって出来ることなら毎日会いたいよ、、。」
そう言って彼の顔を覗く。彼は微笑んで
「何それ。誘ってんの?」
俺に顔を近づけた。
「じゃあ、後で、な?」
俺は静かにその言葉に頷いた。
#冬休み
「おまたせ、ほいこれ。」
彼から渡されたのはココア。少し冷ましたのか湯気が出ていた。
「ありがとう」
「いいって。俺が飲みたかっただけだし。寒いだろ?」
こういう少しの気遣いでもオレは胸が苦しくなる。
期待してしまう。彼にとっては何気ない出来事なのだろうが、こっちを思ってくれた行動だというのが嬉しく感じられる。
今日はクリスマス。どこもかしこもクリスマス色に染っている。このマンションのベランダから見下ろす街もクリスマスで染まっていた。
「綺麗だな、」
彼が街のイルミネーションを見ながら言う。遠いせいか少しぼやけて見える。
「明日行ってみるか?」
「いや、いいや。人多いだろ。」
確かに今日にちらと見た感じ、昼なのに人が大勢集まっていた。
「もう、クリスマスだなぁ、なんか欲しいなー。」
彼がこぼす。
「もう俺達もあげる側だもんな」
「うるさいバカ!!サンタさんは俺にもプレゼントくれるよ!!」
「お前今年で34なったんだろ、、諦めろよ、、」
彼は頬をふくらませた。そんな所も好きなのだが。
「じゃあ、」
ふわと冷たいものが頬に当たった。
「お前が欲しい。ダメか?」
「は」
彼はオレの頬に片手を添えた。
「なぁ」
本当に此奴のこういう所が気に入らない。
「、、、好きにしろ」
彼は少し微笑んで俺とココアで濡れた唇を重ねた。
#イブの夜