空鈴 ss

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「おまたせ、ほいこれ。」
彼から渡されたのはココア。少し冷ましたのか湯気が出ていた。
「ありがとう」
「いいって。俺が飲みたかっただけだし。寒いだろ?」
こういう少しの気遣いでもオレは胸が苦しくなる。
期待してしまう。彼にとっては何気ない出来事なのだろうが、こっちを思ってくれた行動だというのが嬉しく感じられる。
今日はクリスマス。どこもかしこもクリスマス色に染っている。このマンションのベランダから見下ろす街もクリスマスで染まっていた。
「綺麗だな、」
彼が街のイルミネーションを見ながら言う。遠いせいか少しぼやけて見える。
「明日行ってみるか?」
「いや、いいや。人多いだろ。」
確かに今日にちらと見た感じ、昼なのに人が大勢集まっていた。
「もう、クリスマスだなぁ、なんか欲しいなー。」
彼がこぼす。
「もう俺達もあげる側だもんな」
「うるさいバカ!!サンタさんは俺にもプレゼントくれるよ!!」
「お前今年で34なったんだろ、、諦めろよ、、」
彼は頬をふくらませた。そんな所も好きなのだが。
「じゃあ、」
ふわと冷たいものが頬に当たった。
「お前が欲しい。ダメか?」
「は」
彼はオレの頬に片手を添えた。
「なぁ」
本当に此奴のこういう所が気に入らない。
「、、、好きにしろ」
彼は少し微笑んで俺とココアで濡れた唇を重ねた。

#イブの夜

12/24/2022, 3:16:38 PM