空鈴 ss

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1/30/2024, 8:08:45 AM

「好きだなんて」
彼はそう言って僕を見つめる。たった数十秒。
その言葉の先には何も紡がれなかった。
別にその先を期待していたわけじゃないが、
少々残念というか、なんというか。
彼は照れくさそうに僕から目を逸らし始めた。
照れてるな、そう思うには彼の目は泳ぎすぎだった。
僕は彼の赤くなった頬を包み込み、
「好きだ」
そう言ってやった。
彼は顔を真っ赤にした。そのタイミングを狙い
「なんて、言ったらどうする?」
ここからは君の番だよ。

#I LOVE…

5/4/2023, 1:55:41 AM

「ありがとう」
浮ついただけの軽い言葉、なんて思ってた。
相変わらず酷い性格をしている。どうしてマイナスとしか捉えられないのだろうか。
素直になれない。自分の気持ちを伝えられない。
恥ずかしいとかそれ以前の問題だった。
「バカみたいだ…」
素直に感謝くらいしていれば

彼は轢かれた。
俺を庇った。
ほんとに馬鹿みたいだった。
なんでこんな俺が生きて彼が死ななきゃならないんだ。
「ごめんなさい…ごめんなさい…」
ただ謝った。頭の中はそれでいっぱいだったから。
彼は息さえしているが、目を離したら死んでしまいそうで。
「謝るなよ、俺が悪いみたいじゃん」
何言っているんだ。
「守ってやったんだから、感謝くらいしてくれよ」
本当に馬鹿なのだと思う。自分が何をしたかも知らずに
「あー、しんどい…帰りてぇな…」
「ごめん……俺が…」
「だからもういいって!辞めろ!」

「先逝ってごめんな」
最後に謝ったのは彼だった。
やっぱり俺が悪かったんだ。

たまに自己暗示に陥る。
彼の顔を思い浮かべる。
自分がどんどん嫌になる。
何も言えていなかった。そういう状況だったとかじゃなくて、ただ、紡ぐ言葉すら出てこなくて。
「ありがとうとか…感謝とか…」
よく分かんねぇよ。

今はまだ、彼に会えないから、会えたその時は
人生で最後の感謝を伝えたいなんて。

#タイトル忘れましたごめんなさい

2/24/2023, 11:46:49 AM

一つ、また一つと命は枯れ、
一つ、また一つと命は生まれる。
今、俺の目の前に居る彼は紡がれた命の一つ。
そして俺も紡がれた命の一つ。
その二つは、どこか似ていて、でも何もかもが違う。

俺たちは命を紡げない。
解ってた。辛かった。
彼は笑ってくれただけだった。
知らないフリをしたかった。
こんな俺が縋りついている彼が不憫で仕方ない。
分かっているつもりなのに。

「何泣いてるの、」
「何でもない…」
「なら泣かないでよ。」
彼は俺の手を取り応えた。
その手は暖かくて、大きくて。
「…本当は、女が、良い、とか思ってんの?」
「は?」
「子供も、結婚も、出来ないよ、こんな俺じゃ」
止まらない。いつの間にか目から涙も溢れていた。
「…ばかかよ、」
彼はふ、と笑うように言う。
「そんなおまえだから、愛したんだろ。」
彼が笑って唇を落とす。
それだけで幸せで。
俺の命の道はここで終わる。でも
どこか、幸せなような。このままでいたい。

#小さな命

2/3/2023, 3:43:43 PM

「いつか居なくなっちゃうんだよね」
そうだ。彼も俺も、いつか消えてなくなる。
「そんな悲しいこと言うなよ。俺の心の中でお前はずっと生き続けてるから」
柄にもなく馬鹿なことを言う。
彼はいつもの顔を崩さず
「でもいつか忘れるでしょ。」
と呟く。コイツは何処までマイナス思考なんだ。
「俺のことが信じられないのかよ!」
軽く突っ込んだつもりだったが、彼は大きな目から少しずつ涙を零していた。
「忘れないで、、ずっと隣で笑ってて、、」
縋るように泣いてくる。彼が何かを抱え込む姿は幾度も見てきたが、泣くほどでは無かった。
ただ、それと同時に俺は彼の特別になれたような気がして、少し嬉しいような、そんな感じだった。
「馬鹿だな。ずっと一緒だよ」
彼を抱きしめ、頭に手を置く。
「お前もずっと隣で俺を笑わせてくれよ」
彼が嗚咽を漏らしながら泣く。
「何歳だよ馬鹿。心配症だなぁ」
はは、と笑ってみせる。
彼と俺、どっちが先に死ぬかなんて俺たちには決められない。神様が気に入った方を遺してく。
そんな輪廻の中で俺たちは生きている。仕方の無いことなんだ。
いつか死ぬ、いつか居なくなる。
いつか、誰からも忘れられる。
それでも
「ずっと一緒だよ」
そう思えるのは、君だから。

#1000年先も

浮上できてなくてすみません、、。スランプですごめんなさい許してください

1/23/2023, 2:05:04 PM

「彼は居なくなったんだよ」

誰かからの強い言葉にハッとし、目を覚ます。
また、不吉な夢。人が死ぬ夢。
そろそろ悪い事でも起きそうだな、なんて軽く流しながら、朝の支度をする。
俺には彼がいる。だから、こんな事も些細な事なんだ。
ゆっくり寝息を立てる彼の頬を撫でる。
いつもはあんなに冷静で、キビキビしているのに、寝た途端に、少しした子供らしさを覗かせる。
「…….何してるの」
「うお、起きた。ごめんごめん」
頬を撫で続けていると彼は起きた。
そして頬を撫でていた俺の手をとって起きる。
「おはよ」
「ん、はよ」

「めっちゃ変な夢見ちゃったんだよね」
「え?偶然だな。俺も」
「え嘘、まじ?人が死んじゃう夢なんだけど」
「うお、一致すご。怖いよな」
「ほんと、まぁ信じてないけど。」

ほんとに些細な会話だし、馬鹿みたいな話だと思ったんだよ。

「は?」
彼が車に跳ねられた。
「は?え?なんで?え?」
まだ生死をさまよっているらしいが、生きる確率は低いらしい。
こんな言葉が脳裏をよぎる。
「彼は居なくなったんだよ」

そんな事ないよな
まだ、頭が働かない、動かない、動けない。
「死んだんだ。」
俺の夢が些細なことなんかじゃなくなった。
「まぁ、信じてないけど」
静かに流した涙は重力に逆らわず、カーペットに染み込む。
「俺も死んだら、お前の夢も」
人が死んじゃう、そんな夢。

#こんな夢を見た

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