空鈴 ss

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「美味しいなこれ。」
彼は口いっぱいにみかんを頬張りながら言った。
「やっぱ高いの買って良かったな。甘さが違う。」
それから評論家のように語り出した。
「そうだな。明日も買いに行こうか。」
彼のいるこたつに向かい、彼と肩を並べてこたつに入る。
「うわ、あったか、、」
じわじわとくる熱気が何ともたまらない。
みかんに目をやるともう半分ほど無くなっていた。
「ごめんなぁ、つい美味しくてよ。」
みかんを見ていた事がバレたのか、気を使ってなのか、彼はこっちを向いて謝った。
「そんなに美味しかったか。食べてみたかったな。」
ちょっと揶揄うように言ってみると、彼は明らかにオドオドとした。
「くっ!今から買いに行く!!!」
そう言って彼はこたつから出るが
「さっむ!!!」
キッチン辺りから直ぐに戻ってきた。
「おい、もう8時だろ。寒いに決まってる。」
「うっ、確かに、、。」
彼はまたこたつに入り直した。そこで一つ零す。
「今日は仕事も同窓会も断ってこっち来たんだよ。ちょっとくらい、、」
そこで言葉は止まった。ふと隣を見ると
彼は微笑みながらこちらに顔を向けていた。
「なにそれ。そこまでして俺に会いたかったの?」
その言葉に小さく頷く。
「嬉しい、、大好きだ。」
彼は優しく俺を抱きしめて呟いた。

#みかん

後半みかん全然関係ないですね、、、。

12/29/2022, 1:24:48 PM