君にはたくさんの迷惑をかけた
僕のそばで眠っている猫の君
僕が幼い頃君のひげを切ったことがあったよね
あの時は本当にごめん
僕はそこから決めたんだ
もし君が還らぬ人となった時
後悔しないようにこれから世話をちゃんとすると
でもやらない時が多かった
そんな君は就寝するときに毎夜来て隣に座ってくれる
こんな世話をしていない僕の隣でも
来てくれるんだ、と思いもう一度思い直した
僕はこれから悔いのないように世話をする
次、君の目が覚めたときには
この僕の姿はどのように君の目に映っているのだろう
太陽の光が窓から差し込み
窓から時折風が吹いてくる
気持ちいい朝を迎え
星が輝く夜を迎え
ここで過ごす1日はとても早い
動かない足 弱々しく動く腕
ずっと想像していた
いつか僕の足や腕が動くようになって
ずっと見上げていたここを歩いて日差しを浴びたい
今願ってももう遅いだろう
ここの名前、何か忘れてしまった
意識がもう遠い
ここ、病室で僕の体は動かなくなった
嗚呼、最期に一度だけでも病室を歩いてみたかった。
明日は大嫌いな花見の日
理由はちゃんとある
花見自体は楽しいけれど
大嫌いな人がいるからだ
大嫌いな人と花見をするのは嫌だろう?
逆に大好きな人や親友などと
一緒に花見をできたら幸せで楽しいだろう
明日の約束は無しにして
友達たちと花見をしよう
場所が同じだったら空気が悪くなるから
違うところで楽しもう
明日の天気は雨だった
室内でも楽しめるじゃないか
明日、もし晴れたら本当の花見をしよう
人間、楽しむことが一番じゃないか
人間って、いいな。
『明日、もし晴れたら』
僕の存在は要らない
必要とはされていない
こんな僕を必要とする者は
頭がおかしいんじゃないか
もう救われないと、思い込んでいた
よく考えると僕は皆から見て邪魔な存在じゃないか
たとえ救われたとしても
今の生活が染み込んでいるから
恐怖を感じるだろう
ならばいっそ何処か遠く離れた山奥でも暮らそうか
そして一人で孤独に死ぬとしよう
もうやめてくれ、僕に干渉するのは
必要とされていない僕のそばにいても
嘲られ、笑われるだけなんだから。
だからもう誰にも迷惑はかけたくないんだ
『だから、一人でいたい』
僕はそう言った。
澄んだ瞳
ある朝、僕は起床して鏡を見た。すると昨日まで黒く澄んでいた瞳が、闇に呑まれたかのように黒く濁っていた。そして、明日も、その次の日も。瞳は黒く濁ったままだった。
僕はその気分を詩に表した。
僕の瞳はみんなと違う
みんな澄んでいるのに
どうして僕だけ濁っているのだろう
もしかしたら
自分の心が瞳に現れているのかもしれない
澄んでいれば澄んでいるほど
心が綺麗な人で
濁っていれば濁っているほど
心が穢れている人
いつか、この穢れた心を綺麗に洗い流して
綺麗な心の持ち主になりたい