遠野 水

Open App
6/29/2025, 8:24:11 PM

明けない地平線を持つ娘へ

満天の空は青く夜なのに青く存在していて落とした目の先の闇は深く遠く果てしなく
見えて実はその先なんて無いのかも知れない
其処の地が一足進んだら森の闇に私の悲鳴と共に響き体を叩き付け森の闇に深く深く深く滑り落ちて行くのかもしれない
何てヒカンテキ、クスリと笑う
「星と言うのは良いだろう?」そんな娘の思いとは裏腹な感に満ちた父の声
『何故、ココに連れてきたの?
アナタの見せたかったのは本当は満天の星ではなく地平線の闇ではないですか?』
たまたま帰った家に迎え出た父
外出先ではクスリで飛ん出るって知ってるんだよね
脳内の満天の星を見ながら暗闇へ墜ちてるのと同じなんだと教えたいの?
現実と脳内で繰り広げられる空の青、地平線の闇
「どちらが怖い?」と突然聞く
父の顔は暗闇では見えない
「今…」そう答えた私に
「そう思うだろ…父は舞衣の闇を知らないけど
今はとても怖いよな、だけど朝になればこの闇を救う地平線から太陽は出て周りを明らかにする、地上を喜びに照すんだ
舞衣の闇は明けた後、舞衣を喜びにしているのか?
もし見ているのが孤独なら
抜け出せるうちにその闇から抜けて欲しいと
思う。
世の中はツマラナイサ
だからって捨てる程 酷くもないよ

舞衣…この満天の星空の美しさと
地平線の暗闇の深さの怖さを
覚えておいてほしい
そして人生はその先は無いのかも知れないと言うことを
みんな命の保証はこの一瞬にしかない
それでも次の一瞬をチェーンの様に繋いで生きている、父も舞いも。
父と舞衣の違いは
ツマラナイ人生を楽しくする方法が違うだけなんだ
父には明ける地平線はあるけど
舞衣にはあるのか?


【夏の気配】
一般的に夏の気配って雲の形だったり木の葉が黄緑色だったり空が薄い青だったりだんだん空気が淀んで来ると言うか……それは湿度が高くなっているのか、だけどその淀んだ空気の中に
在るのは本当に物質的な物だけなんて言いきれないよううな、、、そんな時は肩を払ってみてや…
そうそうサラッとでいいよ、
パンパンと手を叩いてもいい…そう神社にお参りの時にする
2回パンパンて……神様のオワストコロニハする事に意味が有るんやて……

6/27/2025, 11:39:36 PM

ハレルヤハレルー

制服のスカートも捲れ上がり脚なんか見えるのも気にしないで自転車をかっ飛ばしながら
ずっと頭の中で呟いている
『ハレルヤハレルーハレルヤハレルー』どこかで聞いた事のある言葉、意味なんか知らない
知る必要もない、ただ今だけ私の頭の中は
その言葉を呟いている
一番空に近い場所へ行きたかった
両手を高く広げてあの無限に広がる青空に向かってただ手を伸ばしたかった
私の行きたい未来も自由も全て油まみれの弁当屋に縛り付けられている
それを思い知らされた……高校を卒業したら
母親が営む弁当屋の手伝いではなく二代目の下働きになる…みんなが言う都会さ行きたかった…渋谷とか山手線とかそういう中で暮らしたかった…小学生の時から貯めたお金もいつか夢の為に使おうといつか夢の為に使おうと思っていた。その夢は今は叶えられないし、まだ弁当屋になりたくないまだ弁当屋になりたくない私がここに居る……この思いの丈を一番空に近い場所からぶつけたかった、空に拾って欲しかった、悔しい思い、母を助けたい気持ちを全て預けたかった……私は弁当屋二代目になる
『ハレルヤハレルーハレルヤハレルー』
未来はそう捨てたもんじゃないと誰か言ってくれ

6/26/2025, 11:01:07 AM

イレギュラー

「戻ることにしたのよ」……
うつむいた移住組み最年長の里美は言った
「横浜に?」
「そう」……
秋帆が気乗りのしない移住に、ここがどんなに素晴らしいかを語って聞かせていたのは他でもない里美だった「もう主人も私も両親がいないし思い切って移住を決めたけど本当に良かった」と本心だと思っていたけど意地を張っていたのか?もしかして病気になりやはり都会で治療を受けたいとか?でもそんな個人的な事情を私からは聞けない
東京から旦那の地元に移り住んでから二年の秋帆は『何か言わなくちゃ』と焦るが
唇まで出かかっている騒がしい言葉達は
我先にと言おうとする
『それは言ってはいけない言葉だよ』心の中で叱りつける
「寂しくなるな……元気でね』やっと言えた
「いつ、行くの?」
「来月……遅くなってごめん…」
まだまだ東京が大好きな未練大洪水の秋帆には言いにくかったのだろう
「今日会えて良かったよ」「何か手伝うことある?」と言う秋帆に里美は「ごめん」と泣きそうになりながらうつむいて言う
『ほんま、代わりになりたいわぁ』なんて
今軽口を言っても里美と秋帆の背中を滑って行くだけだろう
「良いなぁ、横浜か
私も東京戻りたいわ」正直な気持ちを秋帆は
左窓から見える山しか見えない、この果てには山しかないのではないかと思える景色を見ながら里美の顔を見られずに言った
移住組み…嫌でもここに住んだのは自分が決めたこと、私の人生だ
「ここが恋しくなったらおいでよ
泊めてあげる、飲みに行こ」秋帆はやっと
里美の顔を見て言えた
唇に集まった言葉達を珈琲で胃に流し込んで
から「私も東京遊びに行くからさ、またランチしよ」東京へ遊びに行く予定も余裕も無い
だけどこの時間をやり過ごすには机上の空論しか無いではないか……
里美が顔を上げた
二人は下手な作り笑いで…それでもこの別れを永遠だと分かっていても「また、会おうね」と言葉を交わした
里美は最後まで理由を話さなかった
それだけ正直で居てくれたのかも知れない
里美が横浜へ戻るのは『イレギュラーだな』と心の中で呟いた

6/26/2025, 12:47:14 AM

ステタハズナノニ

日本に帰って真紅の口紅は捨てた
鏡に映った私は魔女の様だった
そう…白雪姫に食べさせる毒リンゴを
1つ作るのに大きな釜で煮えたぎる毒の中でゆっくりゆっくりのの字に混ぜているあの魔女だ
そんな煮えたぎった中にリンゴを入れたら
茹で上がるだろうとのご指摘もあるでしょう
だけど…大きな釜も煮えたぎる毒リンゴも
これは白雪姫の美を妬んだママ母のオモイ…
若さへの嫉妬…老いていく自分を許せない怒り…そんなオモイの毒リンゴを作る魔女の顔をしている
旅行先で買った真紅の口紅、写真にも魔女が写ってた……外国の女性モデルに影響を受けて買った。
鏡に映る自分の顔は嫌いになった
徐々にだけど決定的になったのは60歳になってからだ…「これが今の私なのよ」ふと呟いていた、笑いがコミアゲテキタ…何を言っているんだろう、
だけどまだモガイテイル、若い時の自分を捨てきれない、思いのままにメイクをして着飾って視線を浴びた日々を…似合った髪型もブラウスもスカートの丈も諦めたのに、捨てきれないあと3%…その3%の気持ちでメイクをする
もうナチュラルに見えるメイクなんて
塗った顔ではナチュラルに見えない
良いのよ、仕方ないのよ、あと3%の捨てきれない気持ちでメイクをする……白雪姫を殺した魔女の顔にならないように…ベージュ系の口紅を塗った。

今日のお題は【小さな愛】なのかな?
システムが解らないまま書きました
はじめまして、遠野 水です。
【小さな愛】と聞いて
直ぐに思い出すのは、子供が苦手…否人が苦手な私はどんな場面でも何を話して良いのか解らずにただ佇んでいる、
幼稚園バッグを母親の肩に預けたまま
私の所に来て「あげる」と言って
小さな手に握られたシロツメクサを差し出す
小さな女の子はニッコリと笑って、こぶしに力を込めた手を広げて私の掌にハラハラと落とす
私はハラハラと落ちる花を見つめる女の子の顔を見ていた
女の子の全身から優しさを受け取った
シロツメクサの花言葉は【幸運】
忘れられない優しい思い出だ
きっと忘れられないのは小さな女の子から
人を思いやる愛を感じたからだ