【あの日の景色】小学生編
私の育った小学校は田舎の奥まった山々に囲まれたひっそりとした村にあった
校門に施錠無しグランドを挟んで建つ中学校にも施錠なし、どころかグランドの周り
小学校から見て右は細木、左はプール
向かいは教員住宅と不法侵入て何ですか?のレベル、どこからでも入って来られる
ある日、小学校のグランドへ降りる土手に
大きな外国人が大の字で寝ているのが見えた
ガリバー旅行記の大きな人みたいだった
さながら私達、小学生は小さな国の人で
初めて見る外国人に興味津々だった
今、思うと何故先生達はこの外国人に気付かなかったのか不思議だ
小人達である私達小学生は外国人にそっと近付き「どこから来たの?」と尋ねた
ヨーロッパ辺りの国の名前だった記憶がある
「何しに(この村に)来たの?」と小人達は遠くから聞く
「旅行なんだ」と大きな外国人はにこやかに答える
理解出来たと言う事は日本語を多少話せたのだろう
「良い所だね」的な事を言っていた気がする
私の初外国人は土手に大の字で寝ている
無精髭のガリバーだった
【あの日の景色】
20歳で出会った友は男性の気を引きたい可愛がられたいそして、それが「困っている」と友に相談の様に話したい女性で
40歳になっても口癖の様に話す
そんな自分でいたいのかな?と意地悪な気持ちで見るようになった
60歳になっても言っている
否否、その気にさせている
そして、もっと上を行く無意識にそれをしてしまう友よりもちょっと若い女に
周りの男の気を全部持って行かれて
友がその若い女の仕草や話し方を細かく説明して罵詈雑言
生まれ持った性格って死ぬまでなんだろうなぁと思って聞いていた
その若い女が私のサークルに入ってきた
『あ〜なるほどね~
女も凄いけど、このニヤけた男性の顔が嫌だと
弄んでいると言っていたな〜』と思いながら真面目にテーマをミーティングしていた
『友よ…この女性がうわてだったね〜』と心で呟いていた
あの日の午後、窓から見える新緑の綺麗な静かな景色
【願い事】
サイボーグになる事が普通になる未来か
早く来てほしい
【空恋】
いつだったのか……手の隙間からサラサラと砂を取りこぼすように、手の平の全ての砂を空にした私へ
その時その時を一生懸命に生きていたら
そこに居るのに見えない景色がある
本当は見ておくべきなのは自分の心の外にあったのに
大学受験が卒業後も続いた私は気が付いたら
好きなクラスメイトの想い人がその後、どうしたのか知らなかった
誰に聞いても伝えてないらしい
仲良さそうに笑っていたクラスの男子も
付き合いは希薄だったという
未だに、消息不明
町を出たのは確か……こんな小さな町なら飲みに出たら直ぐに分かる
私は大学を出たら町にUターンして帰ってきた
君がこんなに連絡の取れない人なんて
思いもよらなかったの
きっと町に残る男子だと漠然と思っていた
「打ち明けておけば良かったな」
それが空中分解してきっとフラレていても……
町を誰にも告げずに消えたんだもの
一切の自分を消したんだもの
空恋……最初から空っぽの恋
そんな君をたまに思い出します
【波音に耳を澄ませて】
砂浜に二本立てたサイダーが倒れそうに傾いている
君と僕は波音を聴いている
ずっとずっとそれだけを聴いている
ザブンザーザーザー
ザブンザーザーザー
耳を澄ませてみてよ
本当の気持ち教えてよ
アイツを好きになったの?
止められない気持ちを責めたりしない
泣くなよ
(泣きたいのは…泣きたいのは俺だよ)
いいよ
大丈夫だよ
鞄を持ってサイダーを思いっきり波に向かって投げた
「あー!!チクショーーー!!」
涙が溢れ出てきた
見られたくない、君に涙なんか見せるもんか
そのまま一人家路を歩く
追いかけて来ないんかーい
わかってるけど
今日くらい追いかけてきてよ
【青い風】
「くるくるとリボンを操る君は本物の妖精の様だった
長いリボンを動かして青い風を呼び起こす
青い風の妖精
高く放ったリボンが落ちて来るまでの
見つめる君の目に映る光景は君の一生のどれくらいの時間なんだろう
一緒にリボンを追いかける僕の目にしっかりと君を焼き付けた
それが一瞬でも僕の胸に永遠を残した
僕は君と二人、高校生のままで居たかった
幼馴染みという僕の立ち位置は余りにもあやふやで不安定で
きっときっと高校という枠から出たら
僕を見ている君の目を捕らえられなくなると
分かってて怯えた
自分は未だ大人じゃない
腕力、頭脳、経済力、経験値
全てにおいて敵わない
じゃあ何なら勝てるのだろうと思いを馳せても
何もない、この想いしかない
この想いを持ち続けると神に仏に誓う」
僕はマイクの前に立って緊張していた
「これから読むのは僕が
高校三年の秋に書いた新婦へのラブレターです
夢のような日が僕に訪れたら
あの日から続くこの気持ちを伝えたいと
思っていました」