遠野 水

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12/18/2025, 9:34:42 PM

心の片隅で
いつも愚痴を言っている君に
しがみついてないで手放しなよ、と言う僕だって君を手放せてないじゃないか
こんなに言っているのに「テキトウにがんばる」って言う君に
僕もテキトウに君をながめていれば良いって事かな?そんな事は無いよね、ヤキモチも焼いてくるし君の彼氏というプレートも下げて暮らしてる
ずっとその愚痴を聞く生活を僕もしなくちゃならないの?
たまに楽しい事に付き合ってもいいけどさ…
僕の心も疲弊していっているんだ
弱いんだよ…だからさ
君から離れられない僕は覚悟を決めなくちゃならない
君の愚痴を聞くのも僕の人生の今は一部なんだって
いつかは解き放たれる時が来るさ
来なくてもいいか…
君が選んでる人生なら
その先…闇が待っているかも知れないけど
自分がどうなるかなんて思わないもんな
それを言ってるのにさ
変わりたくないなら今を生きるしかないよね

12/17/2025, 2:52:13 AM

君が見た夢

君は叶えられたのだろうか
愛する人と暮らす家庭に白いストライプのレースのカーテンがなびく、日の当たる午後の静かな時間をコーヒー片手にぼんやりと幸せな気持ちで見ていられる生活を

「ただ、それだけでいい」とうつ向いて言った君に
「未だ無理なんだよ…」それを繰り返して言った5年目の翌日
テーブルに「分かりました ありがとう 楽しかったよ」それだけ書いて君は消えた

以前から親が結婚にうるさいとは聞いていた
僕は両親も消えたあの日から
家庭とはただぼんやりとした暮らしだった
食べていければいいじゃん
一緒に居られるなら他に何が必要なの
実の子供だって置き去りにされるのに
法律に何の意味があるの
そんな思考の持ち主の僕には
君の夢はそのぼんやりした中の
違う世界の様に聞いていたんだ

僕は親を恨んでいる
幸せになってやるもんかと
心の奥でいつも言っている
死んでも良かった僕は
生きていて悪かったねという気持ちなんだ

僕は君の居ない生活もいつもと変わらず仕事へ行き、飯を食い、寝て、又仕事へ行く
生きていられるだけでいいんだと僕は思ってしまう
夢なんてない

でもね…自分でもびっくりしたんだ
君を失ってから
家族連れをみると…僕は泣いていたんだ
感情なんて無いのに涙だけ出るんだ
親が自分を捨てて以来の温かな涙だった
そうか…涙って温かいんだな
感情の伴わない涙にはこんな感想しかない

君はあの家庭の様に
夢を叶えて欲しい
未だ未だ…僕は過去を乗り越えてられないのだろう

8/16/2025, 3:19:22 AM

踊らされているみたいで嫌なんだ

8/14/2025, 7:32:48 PM

【君が見た景色】
君は怯えていた
「私……死んでしまうの…どうしよう…
あんな物を見てしまって…」と泣きながらおびえている
「何を……、見たの」僕は何度も美紗に尋ねた。
この夏休みを利用して美紗は祖母の家に遊びに行き、帰ってからはそう言って
ただ…ただ泣いている
「話してみてよ、何とかするよ」僕はダイニングテーブルの椅子に座り自分の肩を抱いている手に、そっと手を重ねた 
美紗は僕の重ねた手に頬を押し当てて 
「拓真……死にたくないよ」と言った 
少し落ち着いた美紗はポツリポツリ話してくれた 
祖母の田舎の言伝えでは、狐の嫁入りの幻を見た時に、花嫁の顔を絶対見ては行けないと
「見たら……死ぬと」
「そんな幻なんて、疲れている時に見たりするもので自分か作り出しているんだよ」と
僕は優しく美紗の顔の近くで、そして力強く言った
美紗は首を振る「見たの…幻でも何でもそんな事いいの…見てしまったの
そして、いつものついていない私はその狐の嫁入りの花嫁の顔を見てしまった」と
「花嫁は私を睨んで牙を向いたの」怒りで顔が歪んでいたと言う
僕は幻であってもその話は怖くてゴクリと生唾を飲んだ
「僕も…僕も見に行くよ」
「えっ?……」
「僕もその幻の狐の嫁入りの花嫁に会って
美紗が顔を見た事を、謝ってくるよ」
「どうやって?…」
「美紗のお祖母ちゃんに相談しよう」
「ダメよ!お祖母ちゃん倒れてしまうわ」
「それなら美紗が狐の嫁入りを見たっていう場所まで連れて行ってよ……僕だって見えるさ…それしか方法が見つからないんだよ!」
力を込めて言いながらも僕は恐怖で気が遠くなりそうだった……僕も…その時は死んでしまうのかな?

美紗と僕は美紗のお祖母ちゃんの田舎へ行き
セミの鳴く神社の近くの通りを歩いていた
林に面した辺りからジメッとした空気が土の匂いと共に重く漂っていた
「ここで見たんだね……その幻を」
美紗はコクンと首だけで返事をした
「ここで待とう」
その時、小さな笛の音がした
美紗は「あっ……」と息を飲んだ
僕と美紗は此処へ来る前に
僕の先祖の眠るお寺のご住職に相談して
御札を貰ってきた
それを貼ると花の嫁入りの狐達には見えない
だけど声だけは伝わると
美紗と僕に手渡してくれた
僕と美紗は慌てて御札を額に貼った
そして頭を下げていた
音が次第に大きくなる
僕の心臓は死んでしまうくらい高鳴っていた
僕は大きな声で「花嫁さんの顔を見てしまって
ごめんなさい!」と詫びた
行列は止まり、僕は恐怖でしにそうだった
どうせ死ぬなら美紗を死なせたくない
もう一度「ごめんなさい!」と謝ると
「謝りに来ましたか……そんな子は初めてだ」と柔らかな男狐の声が話しかけてきた
僕は生唾を飲んだ
「この前の女の子の友達ですか?」
僕は「はい」と返事をした
「そうですか……今、この瞬間
君たちは異世界に来ています
狐の嫁入りの花嫁の顔を見ては行けないと言う言い伝えは私達も知っています
人間は私達を恐れる余り、そんな話をしていますが…例えたまたま見てしまっても
静かにやり過ごしてくれさえすれば良いのです」
「狐の嫁入りを祝う心で居てください」と言い
離れようとした
僕は「と、と、友達の命は……」と言うと
「死んだりなんかしませんよ……牙を向いて威嚇した事は、叱っておきました」と聞くと
風が突然吹き
僕たちの御札が額から剥がれ落ちた
僕たちの姿は狐達に見えているはずだ……
僕と美紗は暫くぶるぶる震えながら頭を下げていた
そしてもう一度今度は爽やかな風が吹いて
僕と美紗の下げた顔に1輪ずつたおやかな牡丹の花が見えた
僕と美紗は顔を上げた
狐の行列は遠く小さくそして消えて行った

8/13/2025, 11:04:29 AM

【言葉にならないもの】
溢れる出る相手への想いほど【言葉にならないもの】だろうと思う
だってそれは途切れ途切れの言葉になってしまうから
ジグソーパズルの様に溢れ出て散らばった言葉を繋ぎ合わせているうちに……
アナタは行ってしまう
笑顔の可愛いちゃんと言葉になるあの子の元へ
こんなに想っているんだよ
こんなにアナタだけ目で追ってしまうんだよ
焦る気持ちがまたジグソーパズルを崩してしまう
言葉にならないから
アナタの背中に寄り添った
『行かないで……』心は叫んでる
こんな大事な時でさえどうして言えないの
このワイシャツにアイロンをかけたのは私
「ワイン買ってきたの」やっと出た言葉だった


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