霜川菜月

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9/15/2025, 10:56:00 AM

センチメンタル・ジャーニー


北国に昇る眩しい朝日に目を覚ます。

香るはずのない
記憶の中のコーヒーのにおい。

雪だるまが溶けるように
涙が止まらなくなった。

君を忘れるためにあの街を出たのに
ここではまだ、溶かしてしまうのね。

さらに北へ旅立とう。

このままじゃ君のこと
まだ忘れられない。

9/14/2025, 12:13:48 PM

君と見上げる月


駅のロータリーで君を乗せると、
やけに明るい車内に気がついた。

「今夜も...月が綺麗ですね」

ハッと僕の顔を見る君。
そして僕と同じように君も月を見る。

「しんでもいいわ」
「しんだらいけない」

食い気味に言った僕に、
豆鉄砲をくらったような顔の君が
あまりに可愛くて笑ってしまった。

ちょっとふてくされる君の右手を握る。
照れながら握り返してくれる君。

「少しドライブして帰ろうか」

月の光に照らされて、
アクセルを踏めばどこまでも行けそうな気がした。

9/13/2025, 11:58:21 AM

空白


薄紫の空っぽの部屋を、一瞬だけ振り返る。

ここにはもう何もない。

なけなしの貯金と着替えを詰め込んだリュックを背負って玄関を出る。

ポケットにスマホ。
胸には君の笑顔。

手がかりは「空白の7年間」
必ず見つけ出す、君に何があったのかを。

9/12/2025, 3:05:35 PM

台風が過ぎ去って


君と電話で些細な喧嘩。

激しく窓を叩いていた雨風も落ち着いて、
俺の気持ちも落ち着いてきた。

まだ怒ってるかな...

「あ...もしもし?
さっきはごめん、今何してる?」

台風一過の秋晴れの空は、
どこまでも青く澄み渡り、優しかった。

9/11/2025, 2:41:39 PM

ひとりきり


ひとりきりになりたい俺と、
ふたりで出かけたい君。

休日になると攻防戦が繰り広げられたこの部屋で、
今俺はひとりきり。

笑っている写真の中の君が、とても恋しい。

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