【同情】
学校という社会集団の中には、とある過酷な環境で育った子供も存在する。
私はその子と友達だ。
仮にB子と名付けよう。
私とB子は2年の3学期くらいに仲良くなり、クラスメイト以上親友未満くらいだ。
たくさん、B子と話をした事がある。
私はリアルな話が好きだ。
呼んでる小説も、ホラー、実話、不倫、etc、、
リアリティある話が大好き。
だから、、B子のことも好きだ。
B子は中々複雑な家庭で育ったらしく、第一に母親と父親が離婚している。
そして父親の元で暮らしていたが、その父親も問題だった。
直接的な暴力はなかったものの、B子の財布からお金を無断で抜き取ったり、何もしないで全部B子に丸投げしたり。
私はその話をB子から聞いた時、ものすごく気分が高揚した。
それを求めていた。
その話のリアルさ、人の思考。
とても興味深く、普通の人生を歩んでいる私にとって大きな刺激だった。
私に同情という感情はなかった。
ただ存在してたのは、『楽しい』や、『こんなすごい話を聞いてしまった』などのまるで王道アニメを見た後の様な、そんな高揚感。
全く、『可哀想』や、『私がその立場だったら、、』などの感情は湧いてこなかった。
これは私がおかしいのだろうか。
誰でも、自分に関係がなければ『面白い』などという無責任な感情が湧いてくるのではなかろうか。
同情という言葉は、本当の善人が持っている。
表面上で『それは嫌だね、、』『えー、、大変だったね、、』などと言って、心の中では良い話を聞けた。この人と友達でよかった。
そんな気持ちが渦巻いている。
これからも私とB子は友達でいる。
リアルな話をこれからもB子から聞いて、私自身の高揚感を満たそうと思う。
同情は感じない。
だって、、私はクズだから。
これからも友達でいようね。B子。
【10年後の私から届いた手紙】
10年後の私へ。
貴方は今、何をしてますか?
憧れの職業には就けましたか?
好きな人と付き合っていますか?
今の私は何にも出来なくて、人より劣ってる事が目立ちます。
でも、負けないでください。
未来の私は強くなっています。なるに違いありません。
これからたくさんの事があります。
壁もあります。
だけど、大丈夫です。
だって、いつも何だかんだ言ってどうにかなってるじゃないですか。
今だって、どうにかなってるでしょ?
死ぬ事以外は擦り傷!
擦り傷にならない事もあるけれど、頑張ろう。
嗚呼、、あの頃の私は、なんてポジティブだったんだろう。
なんて無垢な子供だったんだろう。
『今は考えられないな。』
ガヤガヤとうるさい校庭。
懐かしの我が母校。
『えー!まじで私の文字汚い!』
『アハハッホントだー!』
昔より随分変わったみんな。
憎たらしいあの子も、昔は嫌いで嫌いで堪らなかったアイツも、ガラリと雰囲気が変わって誰か判別がつかなくなっている。
私の手元には、小学6年生の時頑張って下手な字で書いた少し黄ばんだ手紙。
ところどころ誤字や脱字が目立つが、冒頭で紹介した通りのポジティブ文面だ。
大人になってから気づくのは、子供の時にしか得られなかった何かがあったという事。
例えば、友達と一緒に帰る夕焼けの空と空気の感じとか。
今となってはもう戻れないくらいの青春。
この手紙からは、そんなものが感じられた。
『ふぅ、、もうちょっと、頑張ろうかな。』
ポケットに入れていた、縄を学校のゴミ箱に捨てた。
手紙は人の想いが込もるもの。
勇気と、励ましがこの手紙からひしひしと伝わってくる。
『、、、よしっ。』
新しい風が吹く学校の校庭。
私は青空に向かって歩いた。
【この場所で】
俺は人を殺した。
衝動的な怒りからだった。
だってアイツが悪い。
アイツが、アイツが俺の彼女と浮気してたから。
彼女も一緒に埋めてやった。
だって彼女に見られたから。
そして憎かった。
あんなやつと一緒に寝て可愛い声で喘いでる彼女が、途端に汚く見えて。
気がつけば、手と服をベットリと血で濡らして、ピクリとも動かない2人を見下ろしていた。
『、、え?おい、おい、、起きろよ、、』
彼女を揺すっても、ただ虚しく死後痙攣が起きるだけ。
『ど、、どうしたら、、、』
何処かで声がする。
"隠せ。隠すんだよ。"
『な、何言って、、警察に、いや、救急車、、』
"違う。隠せば何も起こらない。行方不明になるだけ。お前はただ、恋人と親友を亡くした孤独で可哀想な被害者。そうだろ?"
そうだよ。だいたい、アイツらが俺を裏切ったのがいけないんだ。
アイツらが悪いんだ。俺は悪くない。
"ああ。そうだ。お前は何も悪くない。いいか?遠くの山の林にそいつらを捨てに行くんだ。お前は隠すだけ。死体遺棄じゃない。隠すんだよ。"
『ああ、、わかった。』
これは誰かの声じゃない。俺自身の心の声だ。
俺は2人をブルーシートで包み、血痕を綺麗に特殊な薬剤を使って跡形もなく消し去った。
そこから車に乗り込み、親友がよく山登りで行っていたという竹林に2人を埋めた。
なかなかにハードな作業で、俺は顎に伝う汗の感覚を感じた。
『っふー、、ったく、大変な作業だった。』
親友と元カノが埋まっている部分を見下ろし、唾を吐いてやった。
『ゲス野郎どもが。』
そう吐き捨て、隠す作業は終わった。
そこから、俺は泣き真似と警察の事情聴取のための質疑応答の準備をした。
あくまで警察を怖がっている一般人の様に。
どんな質問をされても、思い出しながら答えられる様に。
万が一を考え、事情聴取のシュミレーションをしていたので、警察が家に来た時も落ち着いた一般人の対応ができた。
『やけに落ち着いていますね。聴取をされるのは日常的なのですか?』
『いえ、、実はものすごく緊張してます。警察の方を見ると、悪いことをしてなくても緊張するものなので、、』
『ははは、、そうなんですか。それで、、11月6日の午後7時ごろ、何処で何を?』
途端に今まで柔和な雰囲気の刑事の瞳孔が鋭くなった。
『はい、、実は、彼女に浮気をされていて、、その場面にちょうど遭遇したんです。それで俺、めちゃくちゃ腹が立って、2人を半裸のまま追い出しました。』
『殺したのではなくて?』
一瞬、心臓が跳ねた。
相変わらず刑事の瞳孔は鋭く、俺の心の中を見透かしている様だった。
"落ち着け。いいか?極めて冷静に、お前はやってない。
一般人だ。親友と彼女を失った可哀想な被害者だ。"
そうだ。落ち着け。
『な、何を言ってるんですか?俺が殺したと思ってるんですか?!』
心理学の本で読んだ。
殺人の疑いをかけられた時、犯人は笑い、無実の人は怒る。
殺人犯はこんな感じ。
『ははっ、殺すわけないじゃないですか。酷いな。』
無実の人はこんな感じ。
『殺すわけないだろ!!』
みたいな。
それで俺は怒るを選択した。
だって、、無実だから。
『すみません、、』
隣にいた相棒の刑事に小突かれて、刑事はしおらしく頭を下げた。
『いえ、、刑事さん、2人は俺のせいで行方不明になったんでしょうか、、?俺が怒って2人を半裸のまま追い出したから、、』
目に涙を滲ませ、顔を伏せ、鼻を啜る。
『そんなに気に病まないでください。2人は我々が責任を持って見つけ出します。』
刑事の同情した声が頭の上から降ってくる。
これで、、大丈夫。
『はい、、必ず、必ず2人を見つけてください、、』
"上出来だ。相棒。お前はよくやったよ。"
刑事2人は泣いている(泣き真似をしている)俺を残し、殺人現場であるこの場所を出て行った。
パタン、、
車の走り去る音を聞きながら、俺は大きく脱力した。
『ふ〜、、クックックッ、、バカな奴らだなぁ。まったく、、せっかくの殺人現場であるこの家に入り、何もせずに出て行くなんて、、ハハハハハッ俺は!この場所で!この場所で2人を殺したんだ!!アハハハハハハハハハッ!』
2人が血を流して倒れていた場所に寝転がり、床に染み付いている血の匂いを嗅ぐ。
"相棒。念には念をだ。死体を埋めた場所を見に行こう。"
そうだな。
5時間かけて、あの竹林に着いた。
埋めた場所を見つけ、少し掘り出してみる。
『ん、、?』
そこに2つ分の死体はなかった。
『は、、?もう、もう見つけられたのか?』
マズい、、冷や汗が吹き出した。
俺は周りを見回し、また土を見下ろした。
ふと、俺の真上に何かの影が降りている。
上を見上げれば、、
腐敗した2つの死体が、竹に打ち上げられて空高く昇っていた。
『、、、』
"焦ったな。さぁ、竹を切り倒してさっさと埋め直そう。"
ああ。そうしよう。
腐敗した死体をもう一度埋めるのは、至難の業だった。
『はぁ、、ったく、、死んでも迷惑かけんなよっ。』
そこらへんの竹を蹴る。
竹が振動で揺れ、葉がガサガサと俺の罪を隠す様に揺れる。
『ハハッ、、また来るよ。この場所に。』
俺はこの場所を一生忘れないだろう。
何てったって、俺の大事な親友と彼女がいるんだから。
【スマイル】
Smile Smile!
私は貴方の笑顔が好きだった。
流暢な英語でにこやかに笑う貴方は、いつも私の前を照らしてくれた。
貴方の好きなものは何でも知ってる。
レモン、虹、白い花。
雨が屋根を打ち付ける音、車が道を走る音。
貴方はとても感性豊かで、私に新しい刺激をくれた。
でも、貴方に悲劇が訪れた。
最初に目が見えなくなった。
そこからはいろんな器官が停止していった。
耳、痛み、声。
全てを失っても、貴方はまだにこやかに笑って私を病室へ招いてくれた。
『どうしてこんなに呑気そうなの?もうすぐ死んじゃうんだよ?!』
私がそう言っても、貴方は変わらずの笑み。
『だって、、死ぬんなら笑顔がいいでしょ?』
貴方は優しく私の頬を伝っている涙をそっと拭ってくれた。
『君が17歳になるまでは死なないよ。』
そんなことを言っていた貴方は、その4日後に帰らぬ人となってしまった。
急激に体調が悪くなり、心臓の機能が停止してしまったのだ。
私はもちろん悲しんだが、貴方の両親も悲しんでいた。
貴方は変わらずの笑みで、棺の中で眠っている。
私は貴方の唇にそっと口付けをして、冷たい頬に触れた。
『おやすみなさい。』
一瞬、彼の笑みが深まった気がした。
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第一志望合格しました!!!
だからなんやねんってなるけど!
【どこにも書けないこと】
みんなは本当の私を知っているだろうか。
もちろん、このアプリの中から得られる情報は少ない。
私はただの小説を書くのが好きな受験生。
今日は面白いテーマが転がり込んできたから、私の本性を此処に残そうと思う。
私は発展していない県の発展してない田舎町に生まれた。
親は父が保険の先生。
母は医療データ入力の仕事をしている。いわゆる事務員。
姉とは年子で、私は中3、姉は高1。妹とは2歳離れている中1。
いたって普通、、喧嘩が絶えない5人家族。
でも私は、妹や姉などの性格とは違い、少し変わっている。
きっかけは友達の発言からだった。
『〜ちゃんって、優しいよね。』
この一言により、私は自分が優しい人間だと自覚する様になった。
更に、私は自分優先で物事を考えるタイプだ。
何事にも自分を優先し、人が困っていてもそれより大事な事があるならばそちらを優先する。
まぁ、、おおまかに言えば偽善者。
優しい私、可愛い。
助けてる私、可愛い。偉い。
とことんクズだと思う。
人と付き合った時だって、茶化されるのが嫌いで、相手の気持ちなんて考えずにさっさと振った。
人と話してても、どれだけ仲がいい人でも、親友でも、心の中では悪態をついている。
でもそれは言わない。
言ったら私は1人になる。
それは私のためにはならない。
1人心の中では悪態を吐き、その人を見下す。
それが私の密かな趣味。
これが誰にも言えない事、どこにも書けないこと。
友人が誰かの悪口を言ってても、私は『ダメだよ〜そんなこと言っちゃ〜』と冗談混じりにやんわり注意する。
何故かって?
決まってるじゃない。
可哀想な子を助ける私に酔ってるから。
私は私が1番可愛い。
この話がウソかホントか、、信じるかは貴方次第。
これからも私の書く小説をよろしくお願いします。