「澄んだ」 水や空気などに濁りが無くなり透き通った状態
僕は煙草を吸う時の日課がある
黒のBIGライターで火を付ける事 上に向かって呼出煙を吐く事
そしてこの公園で吸う事 この3ヶ条だ
この公園は好きだった先輩との想い出で溢れている
警察に隠れて話明かした想い出 初めて紫煙を被った想い出
一緒に涙を流し血を流した想い出
通話をした時は大体どっちかがその公園に居たっけ、
そして君が他の人との死を選んだ日君は最後もその公園に居たね
どうしてあの時僕は駆けつけなかったのだろう
その後悔がずっと僕を追いかけるよ
そんな僕にとって君を唯一感じれる方法が煙草だった
吸ってる時ぐらいは君が隣に来てくれるんじゃないかって
淡い期待を抱ける
それでも君の紫煙に抱かれる感覚はやっぱり君じゃないと感じれない
そんな虚しさを感じていつも1本が終わる
僕は昨日夢を見た あの公園で君と話す夢
「~さん初め可愛かったね お友達になって下さいなんて
久しぶりに言われたよ」
「友達の定義が分からなくて、言えて始めてなれるかなって」
「そういう純粋な所いつ迄も変らないで居て欲しいな」
「先輩が傍に居てくれたら僕はいつ迄も純粋で居られるよ」
「~さんは煙草吸っちゃだめだよ 好きな人の為にとかも」
「吸う予定無いけど、それ先輩が言いますか笑」
「確かに、だけど人の影響で吸うとずっとその人に呪われるよ」
「好きな人に呪われるならそんな人生も悪くないけど」
「そういう所 僕が~さんの好きな所」
「先輩は何がきっかけで吸い出したの?」
「笑、自殺行為だよ」
僕がまだ澄んだ瞳で居れた頃の記憶
最後の一言をきっかけに2年前僕は煙草を吸い出した
自殺行為なんて微笑む君の顔を思い出して今日も独り生きる事を決めた
君の呪いと生きる事を決めたんだ
__澄んだ瞳。
2024年7月31日
約束の時間から約1時間後彼女からの連絡が来た
「煙草吸ったらそっちに行くね」
これが僕等の日常だ それでも今日の僕は気持ちが違う
何故なら彼女とはじめてお祭りに行くからだ
飾られた道路に暗闇を彩る提灯 遠くから聞こえる和太鼓に
花火よりメインと言いたくなる程の屋台の行列
僕がそんな人混みに態々行く理由は彼女の一言がきっかけだった
「今年は好きな人と花火とか見に行ってみたいかも」
彼女はそれをどう言う意図で僕に言ったかは分からない
でも必然と今しか無い事を感じ取った
「なら、今年は一緒に行ってみる?」
僕達は付き合って居ない そんな僕が君にこれを言う事は
許されるのだろうか
少しの沈黙の後彼女は
「仕方ないから妥協してあげる」
これすら愛おしかった事を昨日のように覚えている
そんな約束を1時間遅刻した彼女
こんな言い方をしているが特に気にしては居ない
この心拍数がばれないかの方が心配だった
音楽を聴いて落ち着いてた僕の肩にとんとんと振動が走った
目を開けるとそこには黒を貴重に白と青で彩られた
浴衣を着た君が居た
「久し振りに会うから 可愛い僕で会いたくて」
そんな照れた顔で可愛い事を言わないでよ
「かわいい、本当に可愛いよ 僕の為に着てくれたの?」
「自意識過剰って言いたいけど今日は認めてあげる」
そんな先輩が愛おしくて仕方なくて僕は強く抱き締めた
「夏なんて一瞬で終わるから全力で楽しもうね」
その言葉の意味が更新される事はこの夏が最後だった
そこから2年僕は毎年1人で手持ち花火をする
ぱちぱちと綺麗に弾ける線香花火も最後は静かに落ちてしまう
もう少し、もう少し、そんなことを願えど叶う事は無い
「美化しなくても僕から見える先輩はこれぐらい綺麗で儚い者だった」
だから僕はあの日以降の夏1人で手持ち花火をする事を決めている
__お祭り。
2024年7月29日
2024年5月10日
大好きだった彼女を失ってもう2回目の晩春 気付けばもう三回忌だ
五月病を言い訳に泣く夜が増えるこの季節
僕は初めて彼女が飛び降りたパーキングに向かった
そこには彼女達の煙草と花束が置かれていた
彼女に会うから1番可愛い僕で行ったのにそんなのは直ぐ崩れてしまった
後悔や正直な気持ちを全て君に打ち明けた
゙一緒に幸せになろうって約束した君を僕は救えなかった
それなのに今後幸せと思う瞬間を僕だけが味わってしまう事
罪悪感が大き過ぎて死にたくなるよ゙
゙だけどねそれでも僕は今世への未練が捨てきれないんだよ
絶対に一緒の場所に逝くから、約束するから
先輩に褒めて貰えるぐらい大人になって迎えに行くから
だからもう少しだけ頑張ってみても良い?゙
泣きながらこんな事を空間へ話す僕は第三者からすれば
きっと、頭のおかしな人間だったと思う
でもその瞬間、神様が、君が舞い降りて言ってくれたんだよ
「幸せになって良いんだよ、ちゃんと待ってるから泣かないで」
僕がそう言って欲しいと願った妄想でしか無いかもしれない
それでも君が言ってくれたと信じて僕はあの日から
もう少し頑張ろうを毎日更新しているよ
神様がもしこの世に居なくてもきっと僕は
君さえ居てくれれば幸せなんだと確信した日だった
__神様が舞い降りてきて、こう言った。
2024年7月28日
君は誰の為にそんなに頑張っているの?
何の為にそんなに無理をしているの?
「行ってきます」「行ってらっしゃい」「ただいま」「おかえり」
そんな会話を毎日繰り返した僕達
大丈夫かなしんどくないかなそんな事は思えるけど
何も出来ない中学生の僕、そんな僕に唯一出来たのは
心配の声をかける事だった
でも今なら思うよ そんな声にもう無理です、限界だよなんて言えない
僕が気付いてあげるべきだった
君が血を流し涙を流し深夜徘徊が増え市販薬でのOD
そんな事が増えた時にはもう手遅れで、どの言葉をかけても
間に合わなかった
きっと君は自分の為に頑張っていたんだよね
家族 自分へのコンプレックス 過去へのトラウマ 生きる事の恐怖
それと戦って生きる為に頑張っていたんだね
人に頼る事は何より難しくて独りで苦しむ選択肢を取る方が
楽で普通で日常だった僕等にそれ以外の頑張り方は分からない
それでも一緒に居て可笑しいぐらい泣いて
疲れたね解決してないけど、って笑ってた方がずっと楽で
きっと生きる選択肢に相応しくてそれが出来たら幸せだったのに
お互いがお互いの為だけに頑張れたならもう少し生きれたのかな
誰かの為に、君の為に、僕のエゴでももっと頑張りたかったよ
__誰かのためになるならば。
2024年7月27日
君を見つけたあの瞬間僕は君に囚われた
人目を気にする人が多いこの世界で個性を貫く君が
僕にとって憧れに変わる迄そう時間はかからなかった
憧れから友情になり一方的な愛情に変わった冬
彼女からの着信画面 きっと1秒も掛からず取っただろう
電話越しに泣きながら生きる事への苦しさを語る君
そんな君を僕は放ってはおけなくて夜中の3時直ぐに家を飛び出したね
ぐちゃぐちゃな君を見て僕はどうしても愛おしさを隠せなかった
自分を貫く強さ故の人生への葛藤
いつも綺麗な君が小さな悩みに血を流して悩むその時間
僕が傍に居たいと思ったよ
僕の為に笑って欲しい 僕の為に泣いて欲しい
君が不幸を感じなければいけないのなら僕の為に僕と不幸になって欲しい
僕と2人で感傷に浸って生きていこうよ
醜い愛情だけど僕と狭い籠の中に篭って生きていこうよ
__鳥かご。
2024年7月25日