トマトの旅
倉敷駅前にあるホームセンターで生まれたぼくは、ある春の日、野菜を育てた経験のないこの家のご主人の、不慣れだけど優しい手によって土の中に植えられた。
まだ見たことのない世界にドキドキしながら、あたたかな土のぬくもりを感じていたぼくは、やがて小さな芽を出し、空を見上げる。
毎日、太陽が「おはよう」と笑いかけてくれて、雨はやさしく背中を押してくれた。
ぼくは茎をのばし、葉をひろげ、ぐんぐん大きくなっていった。
たくさんの葉っぱが春笋(しゅんじゅん/たけのこ)のように次々と伸びたとき、この家の奥さんが、ぼくをたくましく育てようと、脇芽を丁寧に摘んでくれた。
ある日、小さなつぼみがつき、やがて黄色い花が咲いた。
花の奥に、小さな緑の実が現れた。「そう、そう、それがぼく。」
まだお米の一粒のように小さくて頼りない体だったけれど、毎日少しずつ色づきながら、太陽の熱を全身で浴び、ゆっくりと赤く染まっていった。
ぼくは知っていた。
この家の元気な子どものために育てられていることを。
だから、風にも雨にも負けず、一生けんめい大きくなったんだ。
そして今日、いよいよ旅の終わりがやってきた。
ぼくは収穫され、お弁当の一角にそっと座った。
ふわふわの卵焼きやジューシーなお肉に囲まれて、ぼくはとても誇らしかった。
息子くんがこのお弁当を開けたとき、ぼくの中にぎゅっと詰まった太陽や雨の記憶が、きっと彼の力になる。
彼は、ぼくに向かって両手を合わせ、「いただきます」とお辞儀をしてから、クラスメイトと一緒にパクパクと食べてくれた。
その瞬間、ぼくの旅は終わり、そして彼の元気な一日を支える新しい力へと生まれ変わったんだ。
これが、ぼくの旅。
土からお弁当箱へ、ずっとそばで見守ってきたぼくは、最後に「栄養」というかたちで、人間の健康を守り続けていく。
「半年おつかれさま、残り半年もがんばろう!」
という友人の声かけで、玉島の玉屋さんで開催された「夏至カレーイベント」に参加してきました
最初は、1〜2種類のカレーをお皿に盛って、みんなでワイワイ食べる感じかな?と思っていたら…
なんと!10種類のカレーがずらりと並ぶ、まるでカレーのビュッフェ
・たけのこキーマカレー
・きのこカレー
・牛すじカレー
・ダールタルカ(お豆のカレー)
・ローズマリーのチキンカレー などなど
甘口からスパイシーなものまで、味のバリエーションが豊かで、
どれも本当に美味しい!
サラダや旬のフルーツも添えられていて、目にも鮮やかでした
会場には約30名が集まり、知っている人同士はもちろん、初めましての方とも「どれが一番好き?」と自然に会話が始まるあたたかい雰囲気
カレーの力ってすごいですね!
普段聞かないような話題も飛び交って、なんだか心まで元気になれました
こういう地域のつながりって、いいなぁとしみじみ
スパイスの力で、今年後半も元気にいけそうです
【 雑記】家族と迎える春節の温もり
遠い記憶の中に、大晦日の夜の温かな光景がふと浮かんできます。胸には触れることのできない夢が広がり、その中には決して忘れられない色彩が描かれています。時がどんなに流れても、両親と笑い合い、食卓を囲んだあの夜の幸せなひとときは、夜空で一番輝く星のように、今も心の中で光り続けています。
いつもの中国の大晦日(除夕)は、家族4人で簡単な料理を作って過ごしますが、今年は珍しく兄たちも休みを取り、久しぶりにみんな揃ってこの特別な日を迎えることができました。
台所では、流水で野菜を洗うシャーという音、包丁がまな板を打つザクザクという音、そして強火の中華鍋に肉を入れた瞬間のバチバチという音が響きます。それに加えて、子どもたちの高音と低音が入り混じった賑やかな声。まるで即興の交響曲のように、我が家に温かく響き渡ります。
そんな光景を目にしながら、私は幼い頃の記憶を思い出します。両親が数日前から年夜飯(家族の食事会)の準備を始め、当日すべての手作り料理を並べるまでの忙しさ -あの頃の温もりと美味しさが、まるで映画のように思い浮かびます。
今は私が親の立場となり、中国の伝統文化を子どもたちに伝えようとしています。この特別な夜には、家族で水餃子を作りながら、春節の聯歓晩会(中国版の紅白歌合戦)を観るのが何よりの楽しみ。我が家に溢れる笑顔と幸せを感じるひとときです。
日本のお正月と中国の春節、両方の賑やかな雰囲気を味わいながら、新しい2025年も引き続き挑戦していきます。自分の能力をさらに磨き、多くの学生たちの役に立つこと!
皆さんも素敵な春節をお過ごしください。
雑記:
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日本銀行岡山支店の見学で娘が学んだこと
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今年の夏休み、娘と一緒に日本銀行岡山支店に見学に行ってきました。日本銀行は全国に32カ所あり、岡山支店はその15番目にあたります。大理石でできたとても立派な建物で、外観からもその威厳を感じました。
見学の最初に、新しいお札についての映画を見ました。映画では、偽造防止のためにどんな技術が使われているのかを詳しく学びました。日本のお札は、世界でもトップクラスの偽造防止技術が施されているそうです。
その後、岡山支店の中を見学しました。支店には「発行課」、「業務課」、「総務課」という3つの部署しかなく、思っていたよりもコンパクトでシンプルな構造でした。娘も、もっと多くの部署があると思っていたようで、少し驚いていました。
見学の最後には質問コーナーがありました。最近、娘は自分の好きなお菓子の量が減っていることや、ももの値段が去年よりも高くなっていることに気づいていて、「円の価値が下がっていると、これからの日本はどうなるの?」と質問しました。解説員の方から「円の価値が下がると、物の値段が上がることがある」と教えてもらい、娘は少しずつ理解しているようでした。
また、見学の中で、自分が人生で稼ぐことのできる合計金額をお札の紙で視覚化するという体験がありました。その大量のお札を目の前にしたとき、娘は「これが私の人生で稼げるお金なんだ」と感じ、肌でその重みを実感したようです。
今回の見学を通して、娘はお金についてもっと知りたいと思うようになったようです。まだ小学生ですが、お金の大切さや価値について少しずつ理解し始めていることが、私にとってもうれしいことでした。
数十年前、異国の地、日本に降り立った私は、まるで新たな世界に咲く一輪の花のようでした。何も知らない土地で、言葉も文化も異なる中、私は必死に根を張り、成長しようとしました。岡山県にある大学で学び、卒業後には母校で働くことになりました。以来、留学生課で17年間にわたり、留学生たちの気持ちを理解し、日本の文化、習慣、そして考え方を指導してきました。同時に子育てと仕事を両立させながら、毎日が忙しくも充実した日々で、時には枯れそうになることもありました。それでも、家族や周りの温かい笑顔に支えられ、一所懸命に歩んできたこの道はいつの間にか、子どもたちは大きくなり、私自身も青春の時を過ぎて、知命の年を迎えました。
家庭の経済状況をしっかり管理しなければならないという不安から、全く異なる分野であるFP3級の試験を受けることを決意しました。勉強を進めるうちに、より深い”知識への欲求”が溢れてきました。忙しい日々の中で毎日少しずつ学び続け、何度も自分の日本語力と専門知識の理解度の限界を感じた私は、まさか2級ファイナンシャルプランニング技能士の国家資格を取得することができるとは思いませんでした。合格証書が届いた時の喜びは、私に自信と勇気を与えてくれました。年齢はただの数字にすぎず、新しいことへの扉はいつでも開かれているのだと実感しました。
そして今年4月からはキャリアサポートセンターに異動し、ライフプランニング分野で学んだ知識を活かして学生の指導に取り組んでいます。日本人学生と留学生のサポートを通じて、自分の知識が少しでも人々の役に立つことに大きなやりがいを感じています。特に母校にいる私の後輩である留学生たちが、卒業後にスムーズに日本社会で活躍できるよう、17年間のキャリア経験とスキル、そして専門知識を活かして、現場の最前線で彼らが望む道に進めるようにキャリアプランと人生設計をサポートしていきたいと考えています。
このような轍を持つ私ですが、謙虚な心を忘れず、新たなチャレンジを楽しみにしています。これからも人生において挑戦と学び続け、自分の可能性を広げながら、人々の役に立つ存在でありたいという強い気持ちで家族と共に歩む未来を信じています。