落ち葉の道を
サクッ、サクッと
歩いていく。
地面が見えないほど
積もってしまった落ち葉。
綺麗に紅葉したまま落ちた葉、
枯れてしまってもう茶色い葉。
たくさんの種類の葉が
たくさん落ちて道になっている。
歩いても歩いても
そのふかふかさはなくならず、
包容力は抜群のままだった。
時々吹く強い風が
落ち葉をどこかへやってしまうけれど
それでも道は無くならなかった。
ずーっと真っ直ぐ
奥の方まで続く落ち葉の道。
世界に果てがあるとするならば
きっとこの落ち葉の道の先にあると
私は思う。
最近は紅葉もイチョウも
よく見かけるようになった。
金木犀の香りが
まだどこかに取り憑いたように香る季節。
午後6時にはもう真っ暗。
"Good Midnight!"
果てまで続いてそうな
落ち葉の道も夜には勝てず
暗闇に溶けていた。
心に鎖を巻き付けて
鍵をかけてしまった君。
鍵しかその心を開けられないのに
鍵を隠してしまった君。
君が隠した鍵を
取り出して開けてあげるのが
私たちの仕事。
心の内側を覗いて
鍵をどこへやったのか
見る必要がある。
だから短時間で寄り添ってあげれる
人間性が必要。
特殊な訓練を受けた私たちは
その人間性を持っている。
簡単に心の中に入って、
鍵を見つけて開けてしまう。
人の心を粘土のようにいじってしまう。
それが怖くて
私も私に鍵をかけたくなる。
でも無理だった。
私たちは鍵をかけれないように
訓練されていた。
もう嫌だ嫌だ嫌だ。
人の心の内側なんか見たくない。
鍵なんか拾いたくない。
私に鍵をかけてしまいたい。
"Good Midnight!"
決していい真夜中とは言えない
腐ったクソッタレの真夜中。
私は私の心を扱えないまま
人の心を扱っていく。
苦しかった。
ずっと自分にも
友達にも
気持ちに嘘をついていて。
頼っていながら
どこか私のことも
私の友達のことも
信用していなかった。
話して楽になりたい、
どうにかなってほしいと思ってた。
口を噤む度に
寂しさだけが私を飲み込んだ。
勇気なんか度胸なんか
持ち合わせてなかった。
いつか失敗した時は
私のために沢山泣いてあげようと思ってた。
友達を信頼するというのは
まだ少し難しかったけれど。
"Good Midnight!"
突き放した時間は、
手放した時間は、
もう戻らない。
それでも今から私を変えることはできる。
秋の紅の記憶。
紅葉が真っ赤に染まり
山が綺麗に着替えた。
所々にイチョウの木もあって
目が痛くならない。
風が程よく吹き、
落ち葉がカラカラと地面を転がる。
そんな中食べるみたらし団子は
最高に美味い。
私は食欲の秋を満喫していた。
茶団子、三色団子、おはぎ。
秋ってのは紅葉も綺麗だし
いくら食べても
食欲の秋で通せるのが強い。
"Good Midnight!"
そんな紅にそまった記憶は
冬の風で飛ばされ
雪が積もって見えなくなった。
いつかは忘れてしまう夢。
現実ではない何処かなのに
妙にリアルで不思議。
夢の断片は覚えているのに
全ては覚えていない。
こんな所が実際にあったらいいなぁ、
こんなことができたらいいなぁ、
そんな願望だけが増えていく。
覚めたくない夢は
いつの時代にも存在する。
例えば小野小町が書いた詩。
恋しい人を思いながら寝たから
夢に出てきたのかなぁ。
夢だとわかっていたら
覚めないでいたのになぁ。
そんな詩。
ありえないことが
有り得ることに変わる、
天地がひっくり返るのが夢。
そこにずっと居たいと思ってしまうのは
仕方がないことなんだって。
"Good Midnight!"
午後3時。
もう夢に溺れてしまいそうな
深夜のひと時。