るに

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7/12/2025, 5:49:47 PM

風鈴の音が
部屋いっぱいに広がって
あ〜、夏だなぁとか
考えてる間に寝てて
夜に起きる。
何にもしなかった休日は
手放すのが少し惜しくて
なんとも言えない気持ちになる。
今日やりたかったことが
片手じゃ数えられないくらい
あったのになーって。
金魚が描かれた風鈴は
夜になっても鳴りっぱなし。
窓から生ぬるい風が
春風みたいに入ってくるからね。
涼しいとは言えない
じめっとした空気。
あー、また私は
晩御飯も食べずにアイスを食べてる。
"Good Midnight!"
まあ、自分に甘く都合よく
見ないふりをしてあげようと
目を瞑り風を感じながら
残りのアイスを食べた。

7/11/2025, 5:39:14 PM

真夜中の午前2時。
いつもと変わらない日で
いつもと同じ夜だった。
外は曇っていて
星なんか見えなくて
車の走る音と、
私の流す音楽しか聞こえなかった。
ほとんどの家では灯りが消えてて
窓から見える景色だけが
今の世界だとしたら
今だけ世界に私だけな気がした。
寒いくらいの冷房の風で
私の髪は頬を撫でなびく。
誰も知らない私の世界。
この部屋だけに広がる世界。
大好きな本を読んで浸っていた。
海の浅瀬にいる気分だった。
足首が浸るだけで
息がしやすくて
私の居場所って感じがするの。
こんな世界も場所も
簡単に作れるものじゃない。
だから大事にしたい。
手放さないように
私がそっと包み込んで、
私も包み込んでもらいたい。
全身が浸って
涙で息苦しくなるのは
ほどほどでいい。
だから私は、
人生ほどほどに。っていう言葉も
この世界と場所くらい大事にしてる。
"Good Midnight!"
私の家からかなり歩いた所に
高速道路の入口がある。
休日に何回か車で通るけど
家とは、こことは違う
別の世界への未知なる道っぽくて
なんだか安らぐ。
だから落ち着かない日は、
ただ心だけ、逃避行するだけ。

7/10/2025, 3:17:19 PM

夢見る少女は
いつか絶対冒険者になる!と
小さな手で弓を引き
杖で回復し
ふたつの剣を振っていた。
そして少女の夢は
成長しても変わることはなかった。
誰かが言っていた。
物語の主人公は強いって。
でも少女は非力で弱かった。
なーんてことはなく、
とても強かった。
少し大きくなった手で弓を引き、
大きな水晶が付いた杖で回復し、
二刀流で短剣を振っていた。
そう、少女は冒険者になった。
人助けをしたり、
好きな道を歩いたりして
素敵な日々と冒険生活を送っていた。
たまたま通りかかった峠で
怪物に襲われて瀕死の人を見かけた。
少女は力強く怪物の前に出て
一撃で倒してしまった。
助けてもらった人は
少女にお礼を言い、
何かお礼の品をあげたいと
色々提案をしたけど
少女は全部断って颯爽と立ち去ろうとした。
助けてもらった人は慌てて引き止め、
せめてお名前だけでも!と言った。
少女は少し考えて笑って言った。
名乗る程の者ではありません。
"Good Midnight!"
私だけの力で人を助けて
気の向くまま冒険する。
私は世界一かっこいい冒険者。
名乗る程の者ではありませんって
やっぱりクールじゃない?

7/9/2025, 4:16:04 PM

ただ沈んでいた。
だるま浮きみたいな体勢なのに
浮かずに沈んでた。
息が吸えずに
空気が体内に少ないからって
なんか理解はしてる。
不思議と水は冷たくなくて、
けど深海に近い暗さで。
こういう時
どこにでもある本なら
何も考えずに溺れてく、とかいう
表現を使うんだろうけど
実際は暇だから結構色々考える。
何より空気が無いから沈んでるのに
私が死んでないのが不思議。
あと水圧がかからないのも。
うーん、私沈む前何してたっけ?
そんなことを考えてた時、
ピーッという低い鳴き声が聞こえた。
いや、キューッ?
クゥーッかな?
とにかくそれはクジラの鳴き声だって
すぐわかったわけ。
だって真横にクジラがいたから。
身体もひれもすごく大きくて
目は私1人分ぐらいの大きさ。
どうせ死ぬならクジラに乗ってみたい!
とかいう私の最後の思いは
クジラの泳いだ時の流れで
流されていきそうだった。
お願い、届いて……。
なんとかしがみついたのは尾ひれ。
当たり前だけど
泳ぐのに使うから
ブンブン振り回されて大変だった。
"Good Midnight!"
あ、私このままクジラと暮らします。
地上は見たくないものばかりだから。
辛いことばかりだから。
どこかへ行って消えてしまいたいって
思っちゃうから。

7/8/2025, 11:20:32 AM

あの日の景色を思い出す。
なんて名前かすら
分からない虫が鳴いてて
暑くて太陽が出てた。
外国のようなところで
お城の見える丘。
日本離れした街並みは
中世ヨーロッパ風で
ここが日本じゃないって
よく思い知らされたものだ。
私は何故かここにいて
何故かこの世界に惹かれた。
魔法が存在していて
討伐などでお金が稼げて
旅人が山ほどいる世界。
私は1から魔法を学び、
風の魔法を習得した。
風は便利だった。
下から吹かせれば飛べるし、
音速を超える風を作れば
攻撃もできるし。
そして私は旅に出た。
前の日本では
夢を見ることしかできなかった旅。
家を持たずに毎日どこかしらへ向かう。
前は家があったし、
どこかホテルで毎日泊まることができるほど
金銭的な余裕がなかったから、
広く低い鳥かごを出た気分で
私は討伐依頼を受けつつ
どこかへ進んだ。
服はいかにも魔法使いっぽい服で
杖も長く地面につくか、つかないかぐらいの
私好みの格好にした。
私自身を好きなように
求めていた格好にできるなんて
夢みたいでとても嬉しかった。
"Good Midnight!"
それなのに
あれが本当の夢だったなんて!
私が学ぶことを
自主的に行ったこと自体、
なんかおかしいなと思ってたけど!
今でもあの世界にまた行きたいと思う
あの日みたいな暑い太陽の出ている日。

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