るに

Open App
6/24/2025, 3:36:20 PM

空はこんなにも綺麗なのに
なんで私は
空を飛べないんだろう。
なんでここにいるんだろう。
やりたくないことやって
無理やり
早寝早起きをして
報われるわけでもないのに
ヘトヘトになるまで
頑張って。
半年に1回は来るだろう。
叫び声と泣き声が入り交じった
ヒステリックのような悲鳴が。
自分から発せられていて
しかも
泣きじゃくっているときた。
疲れてきたら止まる。
自分を制することもできないのか、と
毎回呆れる。
どんなに泣き叫んでも
日々の疲れが
癒えるわけじゃないから
無くなるわけじゃないから
もっと苦しい。
水を忘れた魚みたいに
呼吸が浅くなる。
"Good Midnight!"
今日も言うんだ。
報われたらいいなぁって。
今日もいい日だったって。

6/23/2025, 2:55:32 PM

子供の頃の夢は何でしたか?
子供の夢なんか
叶いっこないから捨てろって
昔誰かに言われた気がして
その時捨てたんです。
だから覚えていません。
…そうですか。
趣味はありますか?
絵を描くことが趣味だったんです。
「だった」と言いますと?
昔誰かに何回か絵を見せたんです。
そしたら気持ち悪いだの
ポーズがおかしいだの
否定を沢山されまして、
挙げ句の果てには
画材なんかに金を使うなと
言われてしまいまして、
その時から描いてません。
多分4年くらい前だと思います。
…そうですか。
あなたの強みは何かありますか?
そうですね、
考えなくてもわかってしまいます。
無いです。
…そうですか。
あの、助けてくれる人はいますか?
私どうしても1人でいたいので
基本友人は作らないようにしてます。
そうじゃなくて、困ってる時に
手を差し伸べてくれる人のことです。
いますか?
…いないかもですね。
そうですか。
採用です。
ようこそ。
"Good Midnight!"
世界中の本が集まる
本管理局。
面接内容は人によって変わり、
独特の雰囲気を漂わせる
ここに合った人だけを採用しているんだとか。
今日もまた1人、
本には興味が無さそうなのに
ここへ来た人が
世界から救われていった。

6/22/2025, 3:36:53 PM

嫌なことがあった時、
私の頭の中には
私を送り出そうとする私がいる。
どこにも行かないで。
このまま溺れよう?
沈もう?
世界とお別れしようよ。
対して私は
私を引き止める。
大丈夫。
今だけだ。
今だけ、今だけ。
この地面に足さえついていれば
何とかなる。
何とでもなる。
いつもはギリギリのところで
引き止める私が勝つんだけど、
今日はちょっぴり送り出す私が優勢。
だってずっと負けっぱなしで
黙っておくような私じゃないから。
幸せな周りの人を見て
妬みだけで生きてるような
私だから。
引き止める私も少し身構えてた。
けどここまでとは。
何があったかというと、
何も無かった。
ただ身を投げることしか
頭になかった。
身を投げるために朝ごはんを食べて
身を投げるために身支度をして
身を投げるために家の鍵を閉める。
ザザーンっと波の音が下から聞こえる。
ただの崖。
当たったら痛いかもだけど
今までに比べたらなんとか耐えれそ。
送り出す私は引き止める私を錯覚させ
今人生を終わらせようとしていた。
"Good Midnight!"
あっ、でもでも、
まだ回転寿司で20皿食べたことないし、
行き当たりばったりで綺麗な所に
電車で行くってのもやってないし、
雨の日に水たまりに飛び込んでないし、
お風呂で本を読んだことないし…。
まだダメだな。
まだ溺れられないな。
結局最後は
どちらの私もやめてしまう。
だから今ここにいる訳で。

6/21/2025, 4:10:03 PM

暗闇の中、
どこから出るのかわからず
私は迷っていた。
けど、
暗闇に紛れていた君が
背中の小さな黒猫の君が
黄色の目をぱちくりと瞬かせた時
私はその小さな背中に
頼るしかないと思った。
不貞腐れた顔をした君は
まあ、ついてこいと言うかのように
少し先へ歩き振り向いた。
歩幅も合わせてくれて
ついて行きやすかった。
君の背中を追って
暗闇を抜けていく。
でも今度は純白の中。
君は黒くて見つけやすかったけど
私は純白の服、純白の髪、
純白の肌、と
純白に身が包まれていた。
私は君を見て目をぱちくりと瞬く。
あっ、さっきと逆か。
私は君の真似をして
まあ、ついてこいと言うかのように
少し先へ歩き振り向いた。
さっきと同じ歩幅で
君はスタスタとついてきてくれる。
私は出口を知らない。
それでも大丈夫だろうか。
君はついて来るべきじゃなかったと
私を置いて
出口を探しに行くだろうか。
しかし意外にも
出口はすぐそこにあって
早くに見つかった。
"Good Midnight!"
暗闇と純白のツートンの中。
君と私はそれぞれ
暗闇側と純白側にいた。
2人とも目をぱちくりと瞬き、
まあ、ついてこいと言うかのように
少し先へ歩き振り向いた。
どちらの顔も
自分は案内出来ると言わんばかりの
ニヤリとした顔だった。

6/20/2025, 4:15:11 PM

好き、嫌い、
嫌い、好き。
中々終わらない花占い。
フラワーガールと言われるくらい
私は花を持っている。
いつも持ち歩いてるし、
家にストックが何輪もある。
何故かと言うと
私は何事も決めなきゃいけないとなったら
花占いで決めるのだ。
今日の朝ごはんはパンかご飯か、
持っていく花は暖色か寒色か、
一人で過ごすか友達と遊ぶか。
他にも色々なことを花に託す。
物心ついた時から
優柔不断で遅いとよく言われた。
そのせいか、
自分で何か決める、ということが
私にとって苦行となってしまった。
もちろん花代は馬鹿にならない。
それでも
私は花が無ければ
1日1日を過ごせない。
そんな私は今日、
1番占いたくない、
決めたくなかったことを
花で決めようと思って始めた。
それは花占いが好きか嫌いか。
ただの物事を決める道具だから
好きも嫌いも無いと思うけど、
もう辞めたいと
普通になりたいと感じたから。
どんな結果になっても
風で流せるように
たんぽぽの綿毛を使った。
好き、嫌い、好き、嫌い。
最後に残ったのは
嫌い、の綿毛。
"Good Midnight!"
私は嫌いの綿毛を風で飛ばし、
残った茎を
近くの橋から落とした。
そして私に出せる
最大声量で
好きー!と叫んだ。
川に流されていく茎を眺め、
梅雨曇りの空を睨んだ。

Next