嫌なことがあった時、
私の頭の中には
私を送り出そうとする私がいる。
どこにも行かないで。
このまま溺れよう?
沈もう?
世界とお別れしようよ。
対して私は
私を引き止める。
大丈夫。
今だけだ。
今だけ、今だけ。
この地面に足さえついていれば
何とかなる。
何とでもなる。
いつもはギリギリのところで
引き止める私が勝つんだけど、
今日はちょっぴり送り出す私が優勢。
だってずっと負けっぱなしで
黙っておくような私じゃないから。
幸せな周りの人を見て
妬みだけで生きてるような
私だから。
引き止める私も少し身構えてた。
けどここまでとは。
何があったかというと、
何も無かった。
ただ身を投げることしか
頭になかった。
身を投げるために朝ごはんを食べて
身を投げるために身支度をして
身を投げるために家の鍵を閉める。
ザザーンっと波の音が下から聞こえる。
ただの崖。
当たったら痛いかもだけど
今までに比べたらなんとか耐えれそ。
送り出す私は引き止める私を錯覚させ
今人生を終わらせようとしていた。
"Good Midnight!"
あっ、でもでも、
まだ回転寿司で20皿食べたことないし、
行き当たりばったりで綺麗な所に
電車で行くってのもやってないし、
雨の日に水たまりに飛び込んでないし、
お風呂で本を読んだことないし…。
まだダメだな。
まだ溺れられないな。
結局最後は
どちらの私もやめてしまう。
だから今ここにいる訳で。
6/22/2025, 3:36:53 PM