るに

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5/7/2025, 2:43:07 PM

ただ何をするにも
気力がまるで湧かなかっただけ。
頭が痛くて顔が火照っていた。
熱があるのかと思って
測ってみても36.6。
関節が痛いから
これから熱が出るのかなーと
今日は何もしないでいた。
そう思ってたけど違った。
気力が湧かなかっただけで
自分が動かなかっただけで、
何も出来ずにいたんだ。
苦しかった。
水を忘れた魚みたいに。
悲しかった。
自分を否定された時みたいに。
ただの風邪じゃないな、と思った頃には
真っ白な靄がかかった
ボールのようなものが
口から出てきた。
ひんやりと冷たくて
滑らかで触り心地がいい。
スクイーズのように柔らかいけど、
ちょっと落としただけで
パリーンっと窓が割れたような
耳の奥を突き刺す音がした。
分かるわけないと思いつつ
ネットで調べてみた。
意外とその真っ白なボールのことは
沢山でてきた。
どうやら真っ白なボールは
雲というようで
割れ切って全部の靄が飛んでいったら
その靄は空に浮かぶあの白い雲になるらしい。
雲はモヤモヤが溜まった時にできるもの、
というのも分かった。
そして割り切るとモヤモヤは
スッキリ消えてるんだとか。
じゃあ空にある雲には
どこかの誰かさんの
モヤモヤが集まってできてるんだと
わかっただけで
頭痛が少し和らいだ気がした。
高い所から落とせば割れるようだけど、
私はなんだかあの音を
もう聞きたくないと思った。
だから調べもせずに飲み込んでみた。
すーっとモヤモヤは
私の中に戻っていった。
今は要らなくて消したいものでも
いつか共存できる日が来るかもしれない。
そんな遠い未来を夢見て…?というか
ただ割れる音を聞きたくなかっただけで!
"Good Midnight!"
モヤモヤを受け止められて
一緒にいられる日が来る時。
その時は多分、
うざいくらい
綺麗な木漏れ日が見えるだろう。

5/6/2025, 3:00:29 PM

他人に関心がない主人公が出てくる
少し飽きる小説。
なんでかわからないけど
主人公を羨ましく思った。
ここは至る所が愛で溢れてる。
別にリア充爆発!とまではいかないけど、
私はどうしてか恋愛というものが怖い。
気持ち悪いと思うのか
吐き気が絶えない。
幸い私は可愛いわけでも
特別愛想がいいわけでもないので、
告白してくる人も
ナンパしてくる人もいない。
無性にモテたいと友達はよく呟く。
私にはどうしても理解し難い
よくわからないことだった。
目を逸らし続けても
必ず入ってくる、
恋愛、恋人、付き合う、浮気、
結婚、離婚、愛してる。
そこら中から飛んでくる
頭の痛い言葉。
もういっそ友達なんか作らなければって、
思っても寂しくて作っちゃって
だから小説の主人公が羨ましいのかも。
友達なんかいてもいなくても
どっちでもいい。
適当にぼちぼち出来てたらそれでいい。
居場所なんか堂々としてたら
なんか出来る。
無愛想な笑顔すら
羨ましいと思えた。
"Good Midnight!"
そんな少しの安らぎもつかの間。
友達に誘われて行ったショッピングモールで
私はうずくまった。
耳を塞ぐわけはラブソング。
涙目になりながら
本の中に行きたいって
何回も願って。

5/5/2025, 6:02:49 PM

手紙を開くと
眠くなりそうな長文が出てきた。
毎年最低でも12通は届く
亡き従兄弟からの手紙。
最初届いた時はすごく驚いた。
つい昨日火葬した従兄弟から
なんか手紙書けたとかいう
ふざけた文から始まって
私宛に手紙が届いたから。
何度も目を擦って
差出人と宛名を見た。
もう埋もれてるから
内容はそんなに覚えてないけど
確かこんなのだった気がする。
やっほー。
突然ごめんね。
昨日火葬してもらったばっかりなのに
私、なんか手紙書けたわ。
いやー、別に未練あったわけでも
地縛霊とかなんとかになったわけでもないのよ。
ただ白い部屋に行ったら
紙とペンがあって
手紙が出せたってだけで。
もちろん白い部屋は出入りできるよ?
閉じ込められてないから
そこら辺は安心してね。
でさ、3年前に死んじゃった愛犬いたじゃん?
あの子5歳の時の姿で
元気に走り回ってたよ。
だから、
こっちは楽し…?くはやってないけど、
まあぼちぼちって感じだから
母さんと父さんによろしく。
昔から結構放り投げる性格で
説明するのが苦手な従兄弟は
多分大丈夫だという事を
伝えたかったのだろう。
あえて大丈夫という言葉を使わずに。
"Good Midnight!"
半年の余命宣告をされ
私は半年よりも
2、3週間だけ長く生きた。
その間従兄弟から毎日手紙が届き
毎日延命を手伝うと言ってくれた。

5/4/2025, 4:16:15 PM

雨が降る夜は寝付きが悪い。
夜更かしをしたくなるから、
君を道ずれにするんだ。
黒くてしなやかな君は
眠そうにあくびしながら
私の下手っぴな手作りの栞を眺める。
コーヒーもエナジードリンクも
飲めないから
こんな世界が大嫌い。
夜更かししにくくて
早起きしにくい。
眠いけど寝れない。
寝たくないけど眠たい。
気がついたら朝で
君が一生懸命起こしてくれる。
みゃーっと鳴いて
放課後ポストに
手紙を出してみたらどうかと
私に訴えてくる。
海色の切手を貼って
出すだけで
住所や宛名が書いていなくても
ポストの上にとまっているカモメが
必ず届けてくれる。
けど私は手紙を出す人なんか居ないから
関係ないんだよって
頬杖をつきながら君に説明する。
悩みを書いて出すだけでもいいんだよ。
学校から開放された放課後みたいに
自由なポストだからね。
いつの間にか放課後ポストのカモメが
窓の縁に止まっていた。
私はちょっと考えてから
それでもいいならと書き始めた。
今まで思ってきたことなんか書いたら
規模がデカすぎるから
昨日思ったちっぽけな考えを
全部箇条書きにして
手紙として出した。
"Good Midnight!"
次の日届いた手紙。
黒猫のワタシより。
毎日を好かないキミへ。
と、書いてあった。
私は考えてることを書いただけで
君のことなんか1つも書いてないし、
そもそも君に手紙を渡したことなんか
ないのに、
こんな私のために
どうもありがとう。
不器用な私と
器用で無口な黒猫の君の
すれ違う瞳。
瞳孔はまん丸と縦なが。

5/3/2025, 11:12:28 PM

霞んだ空が広がる日。
私はなんとなく音楽を聴いていた。
起きるのも億劫で
寝っ転がりながら。
本を読むのも、
字を書くのも人より遅い私は
早くしようと思えば思うほど
他のことが疎かになった。
雨上がりのある日、
気分転換に水族館に行った。
そこで気がついたんだ。
この水槽にいる魚もペンギンも
クラゲも、
この中が全てで
なんで生きてるかすら分からずに
生きてるんだって。
その全てを常に誰かに見られて
どこかの誰かが金を払って来る。
知らない方が幸せってこのことかなって。
少し楽になって帰った。
"Good Midnight!"
そんなことも忘れた頃の日
空は青い青い水色で、
死にたくて、泣きたくて、
死にたかった日だった。

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