るに

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雨が降る夜は寝付きが悪い。
夜更かしをしたくなるから、
君を道ずれにするんだ。
黒くてしなやかな君は
眠そうにあくびしながら
私の下手っぴな手作りの栞を眺める。
コーヒーもエナジードリンクも
飲めないから
こんな世界が大嫌い。
夜更かししにくくて
早起きしにくい。
眠いけど寝れない。
寝たくないけど眠たい。
気がついたら朝で
君が一生懸命起こしてくれる。
みゃーっと鳴いて
放課後ポストに
手紙を出してみたらどうかと
私に訴えてくる。
海色の切手を貼って
出すだけで
住所や宛名が書いていなくても
ポストの上にとまっているカモメが
必ず届けてくれる。
けど私は手紙を出す人なんか居ないから
関係ないんだよって
頬杖をつきながら君に説明する。
悩みを書いて出すだけでもいいんだよ。
学校から開放された放課後みたいに
自由なポストだからね。
いつの間にか放課後ポストのカモメが
窓の縁に止まっていた。
私はちょっと考えてから
それでもいいならと書き始めた。
今まで思ってきたことなんか書いたら
規模がデカすぎるから
昨日思ったちっぽけな考えを
全部箇条書きにして
手紙として出した。
"Good Midnight!"
次の日届いた手紙。
黒猫のワタシより。
毎日を好かないキミへ。
と、書いてあった。
私は考えてることを書いただけで
君のことなんか1つも書いてないし、
そもそも君に手紙を渡したことなんか
ないのに、
こんな私のために
どうもありがとう。
不器用な私と
器用で無口な黒猫の君の
すれ違う瞳。
瞳孔はまん丸と縦なが。

5/4/2025, 4:16:15 PM