るに

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3/19/2025, 3:41:31 PM

ここどこ?
気づくと山の中にいた。
薄暗く日が傾いてる。
18時ぐらいだろうか。
不思議なことに
木はあるのに落ち葉がなく、
地面も土が見えず
緑の雑草だらけだった。
こんな山見たことない。
私の家の近くに山はあるけど
こんな感じじゃなかった。
もしかしたら人工の山かもしれない。
だとすると管理してる人がいるかもしれない。
そう思い、
少し歩くことに。
ねぇ、キミ迷子?
白髪の綺麗な少女に
後ろから声をかけられたのは
数分歩いた頃だった。
ボクさ、ここらじゃ見ない顔だなーって
キミのことそこから見てたんだよね。
そしたら宛もなく歩いてる感じがしてさ。
人の気配なんか無かったのに、
この少女はずっとそこに居たと言う。
案内してあげるよ。
少し迷ってから
私はお願いすることにした。
ここは白雲峠というらしい。
冬は雪が沢山降るが、
夏は涼しく過ごしやすいんだとか。
私のように迷子になる人は稀にいるらしく、
その度に案内してるんだと。
この山は降りにくいからね。
道が複雑なのかなーと思っていたら
少女はいきなりオオカミになり
岩を飛び降りていく。
確かに道という道じゃない。
というか、オオカミ?
なんでオオカミになったのか、
手を貸してもらい降りながら聞く。
言ってなかったっけ。
白雲峠はネブラスオオカミの
集落があるところだよ。
ボクもそこにいて、
迷子の人はオオカミの時に見つけるってこと。
なるほど。
だから人の気配なんか無かったところから
出てきたのか。
"Good Midnight!"
引っかかっていた部分が解けて
スッキリしたのか
猛烈な眠気が襲ってきた。
気がつくと21時で
家のベットで寝ていた。
夢だと思いたかったのに
なぜか現実としか思えなかった。

3/18/2025, 1:04:58 PM

大好き。
だって文句言わないんだもん。
どんなにもふもふしても
私の黒猫はどうでもいいって顔して
お腹を見せてくれる。
大好き。
だって雨が好きなんだもん。
窓際に座って
私と一緒に雨音をずっと聞いててくれる。
たまに一緒に寝たりもね。
大好き。
だって私が泣いてる時、
抱きついたら逃げずに居てくれるんだもん。
寂しい、不安、焦りが混ざった夜は
苦痛でしかなくて
ここにいるのも一苦労。
そしたら感情を整理しようとして
涙は自然に出てくる。
落ち着くのには
涙と暖かいものがいる。
黒猫はその暖かいものになってくれる。
こんな理由で、
あんな理由で、
私は私の黒猫が大好きだ。
"Good Midnight!"
そんな黒猫との思い出が詰まった
この家とは
もうさよならになるかもしれない。
2人でどこか遠い所で
また雨が見たくて。

3/17/2025, 3:07:03 PM

金魚。
金魚がたくさん泳いでた。
ライトが入った水槽で。
カラフルに光ってる水を
綺麗だなぁと思いながら
中の金魚を見てた。
昔金魚すくいをした時、
金魚の着物を着た、
狐に似た人が
私にぶつかって
袖が水についたり
すくう紙が破けたりして
がっかりしたけど、
狐に似た人は
あらぁ、すんません。
焼きそばの屋台に並んでてんけどね。
酔っ払いに押されてしもて。
ここは人が多くてかなわんわぁ。
と言っていた。
金魚なんかどうでもよくなるぐらい
綺麗な人だった。
ん、金魚すくいしてはったん?
私がぶつかってしもたから、
金魚すくえんくなってもうたなぁ。
ほんますんません。
お代渡しますわ。
つい見とれていた。
狐に似た人はお金を渡してくる。
あ、いえいえ。大丈夫ですよ。
別に金魚を取ろうとしてしてた訳じゃなくて、
暇つぶしにやってみただけなので。
そう言って私はお金を返した。
そぉ?と言って
焼きそばの列に並び直したその人は
金魚みたいに人と人の間を泳いでいった。
いつかまた会いたいな、って
ちょっと思ったり。
アートアクアリウムは
いつ来ても綺麗。
"Good Midnight!"
まあでも、
叶わぬ夢を見てるくらいなら
死んだ方がまだマシだとも
思ったり?

3/16/2025, 3:46:01 PM

霧に包まれた
ある国のある場所のどこか。
草原ということしかわからず、
前に進もうにも
どこから前に進んだかわからなくなる。
至る所に同じくらいの大きさの
水たまりがあって、
方向感覚を完全に奪ってくる。
広く解放感のあるここは
天気が最悪だと迷路になるのか。
持ち物全て無し。
大雨で走ってここを抜けようとした時に転んで
荷物は霧に消えた。
草で手を切ったんだろう。
血が出ていた。
霧が晴れるまでここで過ごさなくちゃならない。
もしかしたらここで死ぬかもしれない。
不安が私を飲み込んでいった。
どれくらい経っただろう。
体感では3時間半だが、
多分実際には10分程度。
体力を無駄に使わないために
ずっとしゃがみこんでいたのに、
目の前に庭園が現れた。
甘い匂い。
コアジサイかな。
庭園に入ると、
色んな花があった。
私は植物に詳しくないので
どれも知らなかったけど
珍しいのは確かだった。
絶望から救ってくれた希望の光。
私は自信と体力をなぜか取り戻した。
歩いていこう。
花の香りと共に。
庭園を抜け、
霧を抜け、
荷物を回収し、
元いた場所に戻るんだ。
"Good Midnight!"

3/15/2025, 12:54:40 PM

誰かに必要としてもらえるだけで
よかったのに。
誰も必要としてくれないし、
こっちを見てくれないから、
いつの間にか見えなくなっちゃった!
いやぁ、透明人間ってやつ?
女風呂でも覗きに行こうかな。
私女だけど。
どうやら姿は見えずとも
声は聞こえるらしい。
車に轢かれそうになった時に、
うわっと声を出したら
周りの人がきょろきょろしてた。
それを利用して
人で遊ぶことにした!
真夜中。
誰でもいいから声をかける。
ねえ。
ちょっと。
そしたら大体の人は後ろに向かって
あなたは誰なの、とかなんとか言う。
面白そうな人は着いていくべし。
この第一声で決めて。
数日もしたら向こうから声をかけられる。
ねえ。
誰かに私のことを認めてもらった、
ここにいるってわかってもらえたと思って
嬉しくて返事する。
はぁい。
そしたらその人はびっくりした目で
こっちを見てくる。
しまった。
姿が見えてる。
太陽の光を跳ね返さなかった肉体のことは
腕についたトランシーバーが
姿が現われていると教えてくれた。
キラリと光っていたのだ。
太陽の光を跳ね返して。
最初の頃は逃げ出していた。
けど最近はここでにこにこしながら
もう片方だと思われるトランシーバーを
差し出したら
もっと面白いと思い、
そうしている。
しかし姿が見えた時の
心のざわめきは
消えるはずもなく。
慣れないものだなぁ。
ご老中や占い師には
多分この類の人間を見たことがあるし
知っているんだろう。
目の前を通りかかると
必ず目が合うし、こっちに会釈までしてくる。
"Good Midnight!"
誰にも相手されないというのは悲しいけど、
姿が見えていた時にはできなかったこと、
そう、
見知らぬ人で遊ぶことができて
私は今の生活がすこぶる気に入っている。

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