君は可愛い私の黒猫。
青いリボンがよく似合ってた。
でも君はよく
夜中に窓を開けて
逃げ出してたよね。
私毎回心配してるんだから。
君を探して
港で船に乗せてもらったり、
オオカミの少女に白雲峠で
一緒に聞き回ってもらったりしたよ。
いつも遠いところに行ってて
誰かの花畑の傍で寝てたり、
迷子列車の駅にいたりしたよね。
マイペースで自由で気ままで、
ジト目の絵に描いたような君は
いつだったか、
自力で帰ってきてる時があった。
嬉しかったよ。
だからその時は
一緒に遠いところまで行った。
私は君を探すために遠いところに行くよりも
君と遠いところに行った方が
すごく楽しかったよ。
"Good Midnight!"
ね、君は次どこに行きたい?
私は満月が見えるところに行きたいな。
じゃあ明日は家にいてよね。
一緒に遠いところに行って
満月を見ようよ。
透き通った透明なりんご。
毒があるけど
泣きそうになるほど
優しい毒。
そうやって
ゆっくりじっくり育てた心を
最後にりんごはがぶっと食べる。
そして木を生やし
また透明なりんごが生まれる。
みんな知らない間にひと口かじってて
みんな知らない間に心を食われ死んでいく。
ある時はパンに入っていた。
またある時は飲み水に混じっていた。
農作物にもりんごの成分が入って
一時期世界中でりんごが採れた。
何も食べられるものがなくなって
人類はここで終わりかと思われた。
しかし
毒が効かない、
心を持たない者とされる人が現れた。
それはフクロウに似た人と
狐に似た人。
私らちゃんと心持っとるし、
人間なのやけどねぇ。おかしいわぁ。
と、狐に似た人は言っていたが、
フクロウに似た人は無口のようで
本当に心を持っていないように見えた。
世界中の透明なりんごを2人に食べてもらい、
農作物は蘇り、
水は綺麗になった。
学者が少し解剖させて欲しいなんて
無茶苦茶なことを2人に言っていたが、
もちろん丁重にお断りしていた。
"Good Midnight!"
何十年か経つと
2人がりんごを食べ世界を救ったことを知る人は
もう1人もいなくなっていた。
ある所に
大切な鈴を
誰にも見せずに
隠している少女がいました。
その行動が気にかかった先生は
なぜ鈴がお気に入りなことを
他の子に言わないのか尋ねました。
すると少女は
だってこれが大切な物言うて見せたら
いいなぁ思た子が盗ってきたり、
交換持ちかけられたり
するかもしれへんやろ?
だから大切な物は
見せずに閉まって誰にも言わへん。
でも先生、
なんで鈴がお気に入りってわかったん?
と言いました。
確かにプリンを食べられたなどは事故ですが、
泥棒猫なんて言葉がある以上、
少女の警戒と防御はいいものです。
しかし先生は困ります。
少女には疑うことを知らず
ピュアにでも育って欲しいと思っていたからです。
それはここの教育方針でもありました。
疑心暗鬼で溢れかえる世の中に
少しでも使える人間を。ということです。
なのに疑心暗鬼の鏡のような少女には
別の先生も頭を抱えます。
そこで
お偉いさんと先生は
少女を育てないことにしました。
教育を放棄したのです。
"Good Midnight!"
この話はこれで終わり、
また初まる。
それは少女の話。
フクロウに似た人に拾われ、育てられ、
鈴が今でも大切な少女の。
きらきら光る
お空の星よ。
細々とした声で歌うきらきら星は
真夜中には最高に染みた。
弱虫でも心は捨てるもんか。って
どこかで聞いた言葉。
きらきら星に似合ってる気がする。
流れ星は
誰かが捨てちゃった心だったりして?
宇宙から流れてくるものは
不思議な物ばかりだなぁ。
人が死ぬことでいなくなるんじゃなくて
もう少し違うことで死ぬことと一緒の意味で
いなくなる世界の話の本。
鳥とかも絶滅してて見れない本。
鳥と神を間違える人がいる本。
私はその本が大好き。
きらきら星と同じくらい。
心をまだ捨てないでいてあげようかなって
諦めないであげようかなって
そう思っちゃうんだ。
この2つを見たり聞いてると。
"Good Midnight!"
寒くて凍えそうな日でも
暑くて溶けそうな日でも
どうかまだ私は
絶滅しないでいて。
人生とは階段のようなものである。
そう誰かから聞いた日から
私は階段を上ってるんだと思うようにした。
座ってみたり、
1段飛ばしで上ってみたり、
時々足が引っかかって転けて
3段くらい落ちたけど
他はなんとも。
って。
そんな困ったことは滅多に起きず、
平凡に暮らしてますよって言いたかった。
本当は後悔ばかり積み重なっていった。
階段を上る度に降りたくなって
下を見ちゃう理由、
わかってたんだ。
でも目を逸らしていたかった。
そしたら少しは
自分を好きになれる気がしたから。
流星群を見たのは数年ぶりだった。
前もお願いごとをした。
願いが1つ叶うならば
草原で花を育てて
秘密の花園を作って
少し遠くに家を1件…。
楽園みたいな所での生活を望んだ。
ゆっくりな流れ星たちだったから
3回唱えることができた。
"Good Midnight!"
いつか叶う日を夢見て
また階段を上ろうかと思ったけど
星任せだと
星も荷が重くて流れられないだろうし、
私も少しは頑張ろうかと。