霧に包まれた
ある国のある場所のどこか。
草原ということしかわからず、
前に進もうにも
どこから前に進んだかわからなくなる。
至る所に同じくらいの大きさの
水たまりがあって、
方向感覚を完全に奪ってくる。
広く解放感のあるここは
天気が最悪だと迷路になるのか。
持ち物全て無し。
大雨で走ってここを抜けようとした時に転んで
荷物は霧に消えた。
草で手を切ったんだろう。
血が出ていた。
霧が晴れるまでここで過ごさなくちゃならない。
もしかしたらここで死ぬかもしれない。
不安が私を飲み込んでいった。
どれくらい経っただろう。
体感では3時間半だが、
多分実際には10分程度。
体力を無駄に使わないために
ずっとしゃがみこんでいたのに、
目の前に庭園が現れた。
甘い匂い。
コアジサイかな。
庭園に入ると、
色んな花があった。
私は植物に詳しくないので
どれも知らなかったけど
珍しいのは確かだった。
絶望から救ってくれた希望の光。
私は自信と体力をなぜか取り戻した。
歩いていこう。
花の香りと共に。
庭園を抜け、
霧を抜け、
荷物を回収し、
元いた場所に戻るんだ。
"Good Midnight!"
3/16/2025, 3:46:01 PM