私のすぐ乾いた髪を
羊毛みたいにふわふわだと言っていた君に
そっと伝えたいこと。
本当は君のことが大嫌いだった。
私の仲のいい友達が君と仲良くしてたから
私も真似してただけ。
友達なんてちっとも思ってなかった。
でもさ、
そんなこと直接言えないからさ、
いつかこうやって
絶対傷つけてやろうと思って
じっと待ってた。
それなのに君ときたら
ずっとニコニコでまとわりついてきて
けど、
私の好きな花を
平気で踏み潰すのは変わらなくて。
雨が降ってきた時、
折りたたみ傘を差そうとしたら
傘を忘れた君が
入れて欲しいと言って
追いかけ回してきたのは
本当に気持ち悪かったよ。
そのせいで髪はびしょびしょになって
そよ風で乾いた髪を
羊毛みたいにふわふわなんて言って
機嫌も好感度も
治るわけないのにさ。
"Good Midnight!"
本当の本当はね
怒られたことないのに
君の怒る顔が頭から離れないんだ。
怖くて怖くて
嫌いってことにしたら
なんだこいつってなって
避けてくれたりしないかなって。
毎晩思うんだ。
君を嫌いになって
君の顔を思い出せないようになりたいって。
いつかここにあるはずの
未来の記憶。
それは本当にそうなるのか
曖昧で確定していない物事。
白い紙をハサミで切っていただけなのに
紙で指が切れるかもしれない。
はらりと落ちてきた髪の毛が紙に重なって
髪が切れてしまうかもしれない。
ただ何もないかもしれない。
無限大にある可能性。
絶対その中のどれかに当てはまるから
私の目には
占いは当てずっぽうか、
グループ分けされた人の中で
当てはまる人、似た人のことを言うか、
そのどちらかに見える。
今この瞬間は持ってないが
あと何秒、何時間、何年かしたらできる記憶。
未来の記憶。
わからないから面白いなんて
言うつもりはないけど
少なくともわかっていたら
面白くはない。
時に感情。
少しの揺らぎで
その後の未来の記憶を
大きく変えてしまう感情。
葬式で大笑いしてたら
白い目で見られるような感じ。
コントロールをしなきゃいけないもの。
抑えなきゃいけないもの。
抑えなきゃダメなもの。
宗教か何かのように
毎日口ずさんでいて
忘れたくても忘れられないこの事。
心臓がドクドク言っても鳴り止まない。
多分あの頃見ていた未来は
暗くて冷たくて
震えが止まらないものだった。
"Good Midnight!"
ねてもさめても
えぐれるような痛みは消えなかったが、
こうして未来の記憶は手に入れて
ここにいる訳だから
2年先も4年先も
いまと変わりませんように。
るーるに縛られた世界で
よなよなそう思うのだった。
夜に湧く感情なんか
どうせネガティブなモノばっかりなんだから
いちいち構ってないで
さっさと寝てしまいたいと私は思う。
でもココロは正直だ。
絶望混じりの莫大な不安、ストレス
押しつぶされそうな感情が
真っ白い鳥となって
一気に吹き出す時間。
そんな鳥たちは私をついばんで
夢へ飛ばしてくる。
いらないモノと
抱えきれない感情は
ココに置いていって、
ただ平和な夢の中で
好きなモノを好きと言って暮らす。
"Good Midnight!"
私の夜は
つまらなくて
退屈で
嫌なモノで埋め尽くされてていい。
夢が無事ならそれで。
星ってのは
いくつか集めると願いが叶う。
食べることもできて
どの星も味が違う。
私が好きなのは
あの紫と青と黄色が混ざったような星。
甘酸っぱくて
ちょっと辛くて
でも安心する味。
甘党だけど安心するためなら
この星を何個でも食べる。
味にこだわらなくても
感覚にこだわればそれだけで。
そんな味より感覚派の私は
まだ一度も星に願いを叶えてもらったことがない。
叶うはずがないから。
私の願いは無いから。
じゃあ食べるしかないよねって話。
星の味は誰よりも詳しくなった。
色で大体の味はわかるようになった。
それでも少し寂しいのは
周りの人たちが次々と
願いを叶えてもらっているのに、
私だけ置いてけぼりで
暗い洞窟の中に閉じ込められてるみたいだから。
ある時旅人に会った。
自由で広い世界を見てきた少女だった。
星を沢山集めているが
願いを叶えてもらわず、
食べもせずに
ただ貯めていた。
私の話を聞くと
紫と青と黄色が混ざったような星を渡して
耳元でこう囁いた。
願いがないなら、それを叶えてもらえばいい、と。
夜、試して見た。
願いが欲しいです。と
星に願って
星に酔って
澄んだ夜空の星は
どれも紫と青と黄色が混ざったような色をしていた。
"Good Midnight!"
私はよく優しいと言われる。
だから優しいフリをする。
本当は冷たくて嫌な人間なのに、
優しい人を無意識に傷つけてしまうのに。
自分の中のなにかは
ずっと隠してることを言ってくる。
あんなやつ、どうでもいいだろ。
悩みとか聞いてんなよ、こいつの事嫌いだろ。
笑ってんなよ気持ち悪い。
耳を塞いでも鳴り止まない。
ヘッドホンをつけて
現実を遮断、遮断、遮断。
流れてくる音は
飽きない4月みたいで
心が少し温かくなる気がした。
この冷たさをどうにか温めたくて
たどり着いたヘッドホン。
命の次に大事なもの。
そのヘッドホンを無くしたことがあった。
普段優しいフリをしてるからか、
探してくれる人は沢山居た。
でもその中に
優しさは入ってなかったと思う。
本気で探してくれたのは、
見つけてくれたのは、
君だった。
にゃあと少し鳴いてから
私にヘッドホンを渡してくれて。
ある日
大雨で川が氾濫して
家が流されちゃって
どこに行けばいいかわからなかったんだ。
でも君は私の服を噛んで引っ張って
安全そうな草原まで連れてきてくれた。
君も怖かったはずなのに
本当の優しいを持ってる君の背中は
頼もしくて、ついつい持たれちゃって
星屑が散りばめられた夜空を見て
こう言ったんだ。
"Good Midnight!"