るに

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12/19/2024, 4:09:24 PM

スノードームにある
白い粉みたいな。
なんて言うんだろう。
雪みたいで
寒くて冷たくて
でも綺麗で、
大切にしたいって思う。
ああ、
寂しさ
それを言いたかった。
ぐちゃぐちゃに
適当に塗った絵の具が
全部計算されてたみたいに
綺麗な絵に変わっていく姿。
それは私にはできないことだった。
魔法みたいに
絵を綺麗に魅せることなんか。
想像は固くて
広い考えが思い浮かばない。
だからずっと
練習してた。
どう言えばいいのか、
どう想像すれば
硬い頭を破って
白い鳩が飛び散って
世界を超えていけるのか。
歩いて、歩いて
走って
立ち止まって
下を見て
空を見て
また歩き出して。
何か足りない私でも
それが私なんだって
言えるように。
でも
ねえ、私もう歩きたくない。
しゃがんで
歩こうとして
でも足が動かなくて
下を見て
もうここしかないのかもって
縋り付いた地面は冷たくて
寂しさみたいだった。
私には目の前にいる人が
なんで泣いてるのかわからないし、
理由を聞こうとしたら
周りにとめられる。
「やらない善よりやる偽善」なんて
私いつまで
偽善擬きなんだろうって。
善にも偽善にも入れなくて
中途半端で
でも足を引き止めてあげたくて。
どう言えばいいんだろう。
また絵の具の色を間違えたらどうしよう。
"Good Midnight!"
不安だらけの中で
1つでもいいから
想像で世界を変えて
アンテナみたいに
飲み込むんじゃなくて
テレパシーみたいに
言葉が無くてもいいから
もう一度
絵の具を塗り直そうと。

12/18/2024, 3:43:00 PM

冬眠の季節。
犬も猫も私も
コタツで丸くなっていた。
猫は私の手に噛み付いて
すぐにぺろぺろ舐める。
ただ自然が好きって言えばいいのに
花鳥風月が好きってわざわざ言う人を見た気分。
犬も犬で
私の真隣にピッタリくっついてきて暑い。
コタツの中なのに
なんでくっついてくるんだ…。
ため息をついて
テレビのリモコンに手を伸ばした。
1番最初に流れてきたのは
嫌なニュース。
みんながみんな同じ気持ちなんてことは
ないんだよなぁって
改めて思った。
他人事みたいに聞こえちゃうかもしれないけど、
これは私なりに理解しようとしてるつもり。
つもりってだけで
届かなきゃ意味無いんだけどね。
見る気が失せたので
テレビを切ると
コタツがより一層暖かくなった気がした。
電気の量って
わかりやすい時あるよね。
犬と猫は
流石に暑くなったのか
タイルの床で寝そべっている。
呑気な奴らだなぁ。
私はまだやる事が残ってる。
もう眠いのに
できるわけないから、
面倒事を全て明日の自分に託す!
"Good Midnight!"
終わり良ければ全て良し。
そんな私と冬は一緒に
どこまでも飛んでいけそうな
冷たい風をふーっと吹かせた。

12/17/2024, 12:56:07 PM

兎の耳がひょこっと出ている少女は
懐中時計を見ながら
そろそろかな。
と言った。
中世ヨーロッパの街中を歩く
その少女には
もう兎の耳は見当たらない。
とりとめもない話が聞こえる中、
少女が急に空中を歩き出すものだから
みな口を開けて上を見ていた。
少女がカチッと懐中時計を押すと
石化したように
街中の人の動きが止まった。
するとツタにまみれた
古びた木のドアが目の前に現れた。
少女は迷う様子もなくその中に入っていった。
少女はまた兎の耳を出し、
今度はふわふわでまん丸のしっぽも出した。
少女は獣人だった。
ようこそ。
お待ちしておりました。
ネッシーのような者が
少女に言った。
ここは伝説と言われる生物の
最後の生息場所。
大昔、
人間に絶滅させられそうになった時
頭に棒付き飴の様な物がついた少女、
面倒くさがりの天才が
ここを作って逃がしてくれたのだ。
しかし人間は逃げた者たちを必ず撃とうと
伝説の生物として
後世に残していった。
だが後世の人間は
伝説の生物は神聖な者として
重宝する考えをしていた。
おかげでここは平和なまま。
ネッシーに乗って川を渡った少女は
家族に会いに行った。
久しぶりの帰還に
少女の家族は喜んだ。
"Good Midnight!"
みなここが
ずっと平和で幸せに暮らせることを願っている。

12/16/2024, 1:10:39 PM

異世界行きたいなぁ。
そんな考えが浮かぶとすぐに
私は妄想行きの電車に乗る。
ノイシュヴァンシュタイン城みたいな
お城で仕える使用人か、
お城の周辺に暮らすモブになりたいと
心から願ってる。
現実はシャバいから。
少し上から目線のような感じがするが
異世界転生でもしたら
さっき言った通り、
下の人間になろうと思ってるんだし
打首されるのはごめんだから控えるけど
今なら許されるからね。
久しぶりに着た
如何にもモブAっぽいワンピースは
私のお気に入り。
着すぎて1度破れたことがあって、
それからもう1着買って
たまに着るようにしている。
首から足首までストンと
ストレートなこのワンピースを
腰辺りでベルトを付けると
ものすごく平民っぽい。
最近風邪が流行ってるらしく
今日は珍しく着込んだ。
風が強かったのでね。
家を出てからも
妄想の世界は止まらない。
こんなに寒い外も
妄想の中では暖かい。
"Good Midnight!"
私はそんな妄想の世界が
たまらなく好きなのだ。

12/15/2024, 2:39:14 PM

白雲峠で
白髪の少女は上を見上げ
ただ雪を待つ。
そんなに待っても、
バスは来ませんよ。
糸目の少年が言った。
ふと横を見ると
錆びたバス停がある。
バスを待ってると思われたのか、
少年は少女にどこに行きたいのか尋ねた。
ボク、知らせに行こうと思っていたんだ。
ちょうどいい。
近くの村へ案内してくれないかな?
少年は頷き
少女を連れて行った。
村についてすぐ
少女は村長に会わせろと言った。
今それどころじゃない、
村人が1人オオカミに食われたんだ。
すぐ近くにいた人がそう言った直後、
村長は村の中心の台に立ち、
直ちに影響はないようです。
オオカミではなくクマが出たんでしょう。
ここら辺にオオカミなんていませんからね。
村人たちは歓声をあげた。
だが少女は
甘いね、偉い人。
すぐに取り押さえられた。
まさかの少年も。
この村では村長に軽口を叩くと
牢屋に入れられるらしい。
大人しくしてたら3日で出られるそうですよ。
少年は少し呆れた声で呟いた。
すると少女は息を思いっきり吸い込み
オオカミがくるよー。
と叫んだ。
見張りの村人は嘲笑した。
嘘つけ、さっき村長も言ってただろ。
ここら辺にオオカミなんかいないし
もっと違うやつが食ったって。
こう言われることはわかっていた。
しかし隣を見ると
ねぇ、ボクが白髪なの
皆笑うのに
なんでキミは今泣いてるの?
キョトンとした顔で少年の方を見る少女。
3秒経ってようやく少年は
自分の目から溢れる涙に気がついた。
わ。なんでだろう。
その少年の声に被るように
少女はまた叫んだ。
オオカミがくるよー。
食べられちゃうぞー。
羊もボクもキミも村も。
今度は嘲笑する声は聞こえず、
空間が切り取られたように
少し離れたところが無くなっていた。
あーあ。
言わんこっちゃない。
少女は既に鉄の首輪を破壊して自由になっていた。
少年もすぐ少女に助けてもらい、
外で辺りを見渡した。
遠くの方で白く大きなオオカミが
走り去っていくのを見て
本当に食べたんだと
少年は驚いた。
少女が振り返った頃には
少年は急にどこかに行ってしまった。
これだから無自覚系ネブラスオオカミは。
少女は少年の後を追った。
ネブラスオオカミには
いくつか種類がある。
1000mの巨体のやつもいれば、
小柄だが化けれるやつ、
無意識に仲間を呼ぶやつもいる。
ネブラスオオカミの7割は凶暴。
2割は自我はあるが無自覚。
1割は自我があり、
オオカミであることを自覚している。
無自覚のやつは
自分が人間や他の動物だと信じてる。
その中には仲間を呼ぶやつが紛れていて
他の動物を巻き込むので
ちゃんと教えて
1割に入れなければならない。
"Good Midnight!"
こんな馬鹿げた哀れなオオカミなど
いなくなった方がマシだとボクは思うけど
偉い人は甘いからね。
共存できる道をずっと作ろうとしてるんだ。
少女は綺麗な白い毛をなびかせながら
雪の上を走り
少年に追いつこうとした。

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