兎の耳がひょこっと出ている少女は
懐中時計を見ながら
そろそろかな。
と言った。
中世ヨーロッパの街中を歩く
その少女には
もう兎の耳は見当たらない。
とりとめもない話が聞こえる中、
少女が急に空中を歩き出すものだから
みな口を開けて上を見ていた。
少女がカチッと懐中時計を押すと
石化したように
街中の人の動きが止まった。
するとツタにまみれた
古びた木のドアが目の前に現れた。
少女は迷う様子もなくその中に入っていった。
少女はまた兎の耳を出し、
今度はふわふわでまん丸のしっぽも出した。
少女は獣人だった。
ようこそ。
お待ちしておりました。
ネッシーのような者が
少女に言った。
ここは伝説と言われる生物の
最後の生息場所。
大昔、
人間に絶滅させられそうになった時
頭に棒付き飴の様な物がついた少女、
面倒くさがりの天才が
ここを作って逃がしてくれたのだ。
しかし人間は逃げた者たちを必ず撃とうと
伝説の生物として
後世に残していった。
だが後世の人間は
伝説の生物は神聖な者として
重宝する考えをしていた。
おかげでここは平和なまま。
ネッシーに乗って川を渡った少女は
家族に会いに行った。
久しぶりの帰還に
少女の家族は喜んだ。
"Good Midnight!"
みなここが
ずっと平和で幸せに暮らせることを願っている。
12/17/2024, 12:56:07 PM