本は不思議な存在だ
本屋に寄るといつも気になった本を手に取り、タイトルやあらすじを見ては戻しを繰り返す
読んだことのある小説や昔から並んでいる小説の表紙や貼ってあるポップ広告を見るたびに
この本続編出たんだ
この本映画になったんだ
と心の中でつぶやく
そんなこんなで本選びにはいつも時間がかかる
ようやっと選んだ本はその日のうちに読み切ってしまうこともある
逆に読み切るのに1ヶ月かかったこともある
しかし不思議といつも読む本はどれも読んで良かったと思える
ジャンルは問わない
ページをめくるたびにふわっとしたあの紙の匂いにも心地良さを覚える
そしてまた本屋に行きたくなる
この本の不思議な魅力のついて僕はこう思う
きっと僕が本を選んでいるんじゃない
本が僕を選んでいるのだと
本は人を選ぶ
人はそれに運命を感じる
だから読んで出会えてよかったって思える
きっと僕はいつも探しているのだ
本との出会いを
忘れられない1冊を
時にはその出会いを友人に自慢することもあるだろう
そうして1人、また1人ページをめくる
大好きな1冊を探して
「ページをめくる」
ここにある
大丈夫…大丈夫…
僕の願いはちゃんとここにある
深呼吸して一息つく
もうすぐ幕が上がる
スポットライトを浴びる
お客さんはどれくらいいるのかな
なーんて
そんなことどうだっていい
始まってしまえば夢中になってしまうのだから
さあ、そろそろだ
一世一代の大勝負の始まりだ
「ここにある」
人には自分専用の仮面がある
その仮面は1枚とは限らない
色や形も人それぞれである
人はそれを巧みにつけては外し社会に紛れ込む
1度つけたからには簡単には外れないようにつけ続ける者もいるだろう
私はこの仮面を何枚、何十枚、何百枚と持っている
決して決して素顔は見せないように慎重につけては外しを繰り返す
だってそのほうがずっと楽だもの
自分のことを理解してくれる人なんてそうそういない
仮面をつけてさえいれば大丈夫
私に危害が及ぶことはない
だから私は今日も仮面をつける
何枚も予備を備えて
でも時々気づいてしまうのだ
知られることに
見せることに
そして怖がっていることに
でももしいつか私の仮面を自分自身の手で外せる人に出会えたならその時は
素足のまま駆け出してみたいな
「素足のままで」
ある1冊の小説に出会った。
その本は言葉のあやが巧みに表現されており、あっという間に読み手を書き手の世界へ吸い込んでしまうように思えた。小説自体、久しぶりに読んだせいか言葉遣いや表現に感動と懐かしさを感じた。人は言葉という名の「波」を日々取捨選択している。自分に都合の良い「波」に乗り、不都合なものはすぐ見送ってしまう。そうして気づかないうちにどこまでも流されてしまう。私自身もこれまで幾度となく流されてきた。「波」はいつも風のように流れてきて、そのまま無意識のうちに流されてしまいそうになるから鬱陶しい。しかし噂は噂でしかない。自ら行動を起こし確かめてみなければそればただの「波」なのだ。
だからここに戻りたいと思った
書く習慣をつけたいと思った
もう一歩だけ、軌跡を残したいと思った
今これを読む誰かが「波」に攫われてしまわないように
「もう一歩だけ、」
今これを書いている私自身も既に「波」に飲まれているのかもしれませんね
〜君の背中を追って続き〜
どうやら道が荒れていて先に進みづらく困っているらしい。彼はなんとか足の踏み場を考え進もうとしているようだったが、困っているのは誰が見ても一目瞭然だった。
これ以上は流石に見ていられず助けることにした。連日の雨で道はかなり荒れているようだったのでうちに代々伝わるアレを使うことにした。やり方はもう何度も使用しているため簡単だった。いつものように羽根を広げそこから光を飛ばす。荒れた地はあっという間に整備されていった。一面に広がる緑、無意識に歩き出してしまいそうなくらい整備された道、どこからか聞こえる小川の音、小鳥たちの音色、平穏という言葉がふさわしかった。
「よし、こんなもんかな」
一仕事を終え、天使のように羽根をぱっと広げてみた。そよ風と小鳥の鳴き声が心地よかった。その時、さっきまで困っていた彼から声をかけられた。必死に呼び止めようとする彼はあまりの急な出来事に戸惑っているようだった。私はさっきまで後をつけていたと言うわけにもいかず、隠すことにした。
「おや、こんなところでどうしたの?もしかして、迷ったとか?」
まだ状況が飲み込めていない様子だったが、時間とともに少しずつ落ち着きを取り戻しているようだった。彼は最初、黙っていたが私を凝視するようになった。どうやら背中の羽根が気になるらしく、私の質問を忘れ羽根について聞いてきた。唐突な返しにそう来たか、と思ったが彼の真剣な眼差しに応えることにした。
彼と手を繋いで羽根を広げて宙に浮かんだ。私にとってはなんてことないことだが、彼は私の一つ一つの動作に目を輝かせていた。その姿はまるでジブリ映画に出てくる男の子みたいだった。あまりに反応が新鮮であったため照れてしまいそうになった。
これが彼との出会いである
君との旅のはじまりの日だ
君と旅立つ日だ
私は一生忘れない
この出会いがなければ私は救われなかったのだから
「君と飛び立つ」
「はじめまして」の彼女視点です。