shiro

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〜続き〜

私には病気で亡くした弟がいた。弟は自然が大好きで幼い頃はいつも外で植物や動物たちと戯れていた。その姿は愛おしく自慢の弟だった。だが弟が10歳になる頃、不治の病にかかってしまった。医師にそう長くは生きられないと告げられた。それでも弟は辛い顔ひとつせず私が話しかけてもこれまで通り明るく振る舞った。弟が亡くなる少し前、自分の最期を悟ったのかこう告げられた。

「お姉ちゃん、僕この世界が好き。外に出るとね、みんな僕のことを歓迎してくれるんだ。僕それが嬉しくてだから僕からのお願い。僕の宝物を守って。みんながあの森で元気に暮らしてくれるといいなー。」

私は溢れ出しそうな涙をぐっと堪えて弟と約束した。1週間後、弟は家族全員に囲まれて安らかに息を引き取った。それからというもの私は毎日、毎日懸命に勉強した。そして2年が経ち遂に魔法士の資格を得た。弟との約束を果たすために。


あの時約束した
なのに…なのに…
私…また守れなかった
私はお姉ちゃん失格ね

〜続く〜

「届かない……」

5/8/2025, 10:30:52 AM