「届かない……」続き
届かなかった弟の願いに対する悔しさと虚無感でいっぱいで数日間は目の前のことが手につかなかった。どうしたらあの子猫を救えたのか、同じ過ちを繰り返さないために私はこれからどうしていくべきなのか、そもそも私にあの森を管理する権利なんてあるのか、何日も何日も考えた。自己嫌悪感に苛まれ自暴自棄になった日もあった。
そんなある日、気晴らしに別の世界へ出かけた時のことだった。向こうの世界は前日まで雨だったらしく道がぬかるんでいた。道を整備しながら進んでいると前方に人影が見えた。歳は私と同じくらいだろうか、泥だらけの靴に新しいバックを背負っていた。遠くから様子を伺ってみるとどうやら思うように先に進めず困っているようだった。気がつけば私は彼の後をつけていた。
〜続く〜
「君の背中を追って」
6/21/2025, 2:44:32 PM