夢と現実の狭間で、私は選択を強いられている。
私の志望の大学を、多少無理してでも目指すか。
もう少し手が届きそうな大学にするのか。
お母さんは「自分で選びなさい」としか言ってくれないから、近日中に決めなくてはならない。
私は、自分のしたいことを目指すことにした。
現実なら、何時でも見れる。
夢はきっと、今しか追えない。
きっと後悔しない。
それがどんな結末でも、もう少し夢を見たい。
お別れの時の、いつもの言葉。
さよなら、って手を振って、君といつもの交差点で別れて別の帰路を辿る。
でも、さよなら、はなんだか素っ気ない。
私は、さよならより、またねと手を振りたい。
私も君も、お互い何かの遠慮でもしてたのかな。結局毎日、さよならを重ねてきた。
君が突然、遠くへ引っ越すことが決まった。
「まあ、メールもできるしさ」
と、いつもと同じ明るい笑顔の君。
君と一緒のいつもの交差点。きっともう、これが最後になるのだろう。
私は、青信号を1つ見送って、最後に伝えたいことを考えていた。何も浮かばないし、いつも通りさよならしよう、それが1番だと顔を上げると、君は私より先にこう言った。
「さよならは言わないで」
なら、何を最後に伝えようか。
「またね」
今まで言えなかった言葉を吐き出して、私も君も泣いてしまった。
きっとこれでよかった。
交差点で、もう1度「またね」と伝え合う日まで、私はずうっと君を待つから。
またね。
人は、常に何かの判断に追われている。
全てに白黒つけたがる。
光と闇の狭間で、私は今日も息をする。
何かをしたいという前向きさも、全てを終わらせようという決心も、私にはつけられない。
夜明けと夕方のように、明るいとも暗いとも取れない場所で、私は縛られている。
揺れる心は、夢を見て。
私の瞳は、現実を見据えて。
私の体ごと、時の中に流される。
こんなにも空は青いのに、私の春は青さを失ってしまう。
夜明けの訪れを喜ぶ鳥たちに、心底嫌気がさす。遠くの空が赤く染っていくけど、私はずうっと黒いまま。
あの日見た朝焼けの色は、あんなに美しく輝いていたのに、今はもう、こんなにも醜く私を嘲笑う。
細い月が白む空に浮かんでいる。あんなに明るい場所ならば、きっと月だって居心地悪いだろうに、何食わぬ顔でそこに漂う。
こんなに朝が嫌いなのに、この時に縋ってしまうのは、私の弱さの現れだ。
お願い、朝焼けよ、白さに溶けてしまわないで。
このときを終わらせないで、あの日の様に美しく、微笑みかけて。
私はいつからか、愛情が何かを忘れてしまった。
検索をかけてみると、相手に注ぐ愛の気持ち、異性を恋い慕う感情だと出てきた。それでも何だかぼんやりしていて、心に穴がぽっかり空いてしまったみたいだった。
唯一、あなたの顔だけ脳裏によぎった。あなたは誰にでも屈託のない笑顔で接していた。
今は何処で何をしているのか、私は全く知らない。それでもいつかもう一度、あなたに会えたら。
その時にはじめて、心から愛情を込めて
「大好き」
なんて、言えるのかな。