季節の変わり目、治まらない微熱。ここ一週間、なんとも言えない倦怠感と三十七度五分程の熱に悩まされている。学校には行こうとするものの、熱があるならダメだと親に止められてしまった。普段は丈夫な方で、こんなことめったに起きないので、病院に行くことにした。
病院では「季節の変わり目の風邪でしょう」と、一週間分の薬をもらって帰ったが、薬を飲んで眠っても全快しなかったので、いよいよ私には何故体調を崩したのか分からなくなった。。
ある日、親がこう言った。
「外の空気を吸ってみたら?」
それもそうだと思ったが、誰かに会うのが怖かったので、早朝に外に出ることにした。
あくる日。冷たい空気、青く広がる澄んだ空。なんだかどちらも、私の目にいつもより美しく映った。
微熱が冷めていくような、そんな風に吹かれて、自然と顔が綻んだ。
クラッカーが鳴り、紙吹雪が散る。バースデーケーキのキャンドルを思い切り吹き消す。
「お誕生日おめでとう!」
おもむろに言ってみた。はじめての一人で迎えた誕生日に耐えられず、一人で誕生日らしいことを全部やってみたけれど、やはり虚しいだけだった。
売り場で一番小さかったホールケーキを一欠片切り出して、お気に入りのお皿に乗せる。残りも明日、
食べてしまおう。
子供の頃は、誕生日は必ず祝ってもらっていた。両親、祖父母、そして友達。でも、大人になるにつれて、だんだん誕生日を祝えなくなっていた。大きくなるにつれて、したくないこと、できないことが増えていったから。
ふと、一件のLINEに気づく。両親からだ。
「お誕生日、おめでとう!最近調子はどう?年始だけでも、顔を出してね」
この時、私は誕生日に特別なことをしたかったんじゃなかったことに気がついた。ホールケーキより、みんなのお祝いの言葉やキャンドルの火を吹き消すより、大切な人からの一言が、大切なプレゼントだったんだ。
子猫みたいに無邪気な君。
鈴を転がすみたいによく笑い、甘え上手。それでいてとても気まぐれ。
だけど、君は時々不器用で、失敗をしてしまう。そこがまた可愛らしい。
でも、君は誰にでも甘えるから、私のこと本当に仲良くしたいと思ってるのか分からなくなる。
だけど、君が見せる屈託のない笑顔は、私を虜にする。
これが本当でないとしても、これに虜にされるなら、私はなんでも良くなってしまう。これが、守りたい、みたいな感情なのかな。
ずいぶんと昔から、私は貴方のことを、貴方より知
っていた気がしますね。
とにかく優しい貴方なら、これから辛く感じる事も
あるでしょう。でも自分に自信を持ってください。
なんど倒れても立ち直れる、芯も強いあなたなら、
たとえこの先大きな壁にぶつかっても、難なくそれ
を乗り越えられる。私はそう信じています。
お困りの時は、すぐにでも頼ってください。何時で
もお助けします。話を聞きます。貴方に出会えた事
うれしく思います。
まだ伝えたい事がありますが、もう最後にします。
また会いましょう。
不器用な私から、愛する貴方へ。
大切な貴方に伝えたい。
ひとつ、無理をしないこと。
ふたつ、しっかり眠って、日を浴びること。
みっつ、苦しい時には頼ること。
綺麗事だけで生きていけないのはわかっています。
貴方が本当に苦しい時、私には何も出来ないのかもしれない。
そんな時には全て忘れて、死んだように眠ること。
生きてさえいれば100点満点を取れるわけではありませんが、それの何処が悪いのか、私には分からない。
何処が遠くの地に住む、愛する貴方へ。
これが私の、精一杯の愛言葉。