風に身をまかせたら、足元が軽く感じた。
自転車を漕ぐ私の足は疲れを感じていたが、追い風が私の背中を押すようにふいてくれるのが嬉しくて漕ぐのを止めなかった。
次の日、朝から強い風がふいていた。しかも、向かい風だった。
私が、その朝最初に吐き出した言葉はいつもの私なら絶対に言わないようにと気をつけているものだった。
向かい風かよ、ふざけんな。
お終い
明日世界が終わるのなら、好きなアニメをみたい。
3次元に終わりが来るのなら、思考の最後は2次元で終わりにしたい。
だって、推しのいる頭で死ねるなら寧ろ幸せな気がする。
実際は、もっと焦るのかもしれないけど私は意外と諦めが早いからきっとアニメ見て時間が過ぎてそのまま世界滅亡コースって決まってる。
だから、皆最後は好きなもの食べたり飲んだり観たりして終わろうね。
明日世界が終わっても、忘れないくらいに。
お終い
君と出逢って、何も変わりませんでした。
君がいくら私を愛そうと、私は貴方を愛しません。
君がいくら楽しげに会話に相槌を求めても、私は嘘で貴方を騙します。
貴方が、私に逢いたいと望んでも私は逢いたいとは思いません。
なぜなら、私が貴方に興味が無いからです。
貴方が私の善意を好意と勘違いしたからです。
だから、せめてもの情けで貴方にこの言葉を送ります。
嘘でも愛してあげられなくて、ごめんなさい。
お終い
耳を澄ますと、時計の針の音が聞こえてくる。
あれって意識しなくても聞こえてくるのよね。
だから、耳を澄ますとって表現は当てはまらない気がしたのでもう一度耳を澄ました。
今度は、1階のリビングでつけっぱなしにされているテレビの音声が聞こえた。
残念ながら、何を喋り伝えているのかは聞き取れない。
私の家には、雑音が溢れかえっていて自然の音は聞こえない。
ああ、でも耳を塞ぐと聞こえる音があるのを思い出した。
耳を押さえつけるように塞いで音に耳を傾けると、血管がドクンと脈立てる。
貴方の好きな音色はなあに?
お終い
私は、自分が生きている道を作るのではなく完成してから通りたい。
未来は見えない、誰にも分からない。だから、そんなものにいつまでも気を向けすぎるなと言われるのではないかとビクビク怯えてる。
でも、完成している道路は違う。自分の思い描いた道はもう既に作り終えて変化はない。これは、既に過去だから。
私は、未来に怯えている。まだできていない道を君達は車で通るか?
よっぽどの馬鹿でもない限り、未完成の道路を通るやつは居ない。そもそも、現実なら規制線が引かれるから通ろうにも通れない。
ルールを破ることに躊躇のない馬鹿野郎なんかは、気にしないだろうがな。
「幸せに」
温かい夢を見ている、過去は冷たいから。
私は夢を見ているのでは無い。
現実を夢で置き換えているだけ、未来だけが怖いのだ。
過去は乗り越えられない、進むしかない。
私は過去に囚われているのだろうか。現実を夢見て歩き続けてる。
未来を夢見ることはできないけど、ゆっくりと歩みを進める。
道が未完成な道は行かない、完成されている道をただゆっくりと歩く。
決して足場を踏み外さないように。
過去は冷え、現実は生ぬるく、未来は乾いてないコンクリート、幸せになるには何処に行けばいい。
お終い