黄桜

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10/13/2023, 10:14:48 AM

子供は大人より賢いのだと感じる瞬間があった。大人になるにつれ、子供の時のような素直さが減ったように感じた。体は、身長が伸びれば体重が増える。それと同じように肉体的にも精神的にも大人にならなければいけなかった。
けれど、私は肉体面は順調に成長したが精神的成長に支障をきたす事柄が起きた。その日から大人と同じような振る舞いをしなくてはいけなくなった。このおかげで、私は周りから精神的には安定しているかのように見られるようになった。そんな訳ないだろうと大声で助けを乞う事が許されるなら、私は涙でぐちゃぐちゃな顔を表に出す事ができただろう。
けれど、私は今日も仮面を被っている。仮面の下にある子供の面を針金で皮膚と仮面を縫い付けている。この痛みが無くなるのは、いつになるのだろうか。もしかしたら、なんて期待は打ち砕かれる前に捨てているというのに、何が私を痛めつけるのだろうか。

子供のように、助けを乞う事が出来る強さを。

お終い

10/12/2023, 10:19:03 AM

放課後であろうと、ここの教室には何も無い。黒板をチョークで汚す教師も、甘酸っぱい恋愛を頭に妄想をする男女も、何より私の邪魔をする奴もいない。
つまり、私ひとりしかいない空間なのである。よく、放課後と言えば好きな人に告白するのに打って付けだとか言うロマンチストもいるが、正直自分のお気に入りの時間と場所を喰われるのはストレスが溜まる。
私は、ただでさえ人の気配のない映画館で過去の自分の映像を見ていた。昔の自分に共感し、挙句の果てにかつてのストレスまでこちらに共鳴して頭が痛い。
だが、この映像が止まる事は無い。なぜなら、これは映画なのだ。現実と同じで夢の中だろうと自分の意思で止められるほど融通は利かないのだ。そして、何より私自身がそれを許しはしないからだ。

放課後は終わらない。

お終い

秘話

カーテンの話とリンクしています。

10/11/2023, 11:57:49 AM

カーテンの向こう側には、何があるのだろうか。私の夢は決まってカーテンの向こう側で、映画のように上映される。
けれど、その夢を見るのは私だけであって他には誰もいない。そのため、何をしたところで現実のように誰かに舌打ちされてたり、蔑んだ目で見られることなんてのは100パーセント有り得ない事なのだ。
それなのに、私は現実と同じ映画を観るように静かにカーテンが開かれるのを待っている。カーテンが開かれた時に、始まるのは間違いなく喜劇では無いだろう。
なぜなら、私自身がそんなつまらない物を望んではいないからだ。

カーテンは、間もなく開かれる。

お終い

10/10/2023, 10:37:55 AM

涙の理由、そんなの分かりはしない。だって、何度思い浮かべても私の脳裏に刻まれているのは、いつだって笑っている君で、決まってそこには私がいる。
けれど、目の前の君は全て嘘だったなんて減らず口を叩きやがる。うるさい、その口を閉ざして今すぐ私の目の前からも、私の脳裏からも姿を消してしまえ。
そうしなければ、私は涙に理由を与えられない。

目の前の存在は、最後に私へ涙をプレゼントした。

お終い

10/9/2023, 10:39:54 AM

子供の頃は、全てのものが想像力によって補われていた。スーパーの天井には人が居て、そこで会議をしてるのかもしれないだとか、本当は学校の先生は国のエージェントで私達を監視しているのだとか、今となれば笑い話になりそうな事ばかり考えていたのだなと思うと、目を丸くしてしまいそうな程に疑問な世界で、あの時は生きていたのだなと改めて実感する。

あの頃の私は、心踊るをココロオドルと頭では考えていたのかもしれない。

お終い

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