題:何を持っていく
「――無人島に行くとすれば、何を持ってく?」
「何ですか、急に」
「ほら~よくあるあれよ、知らないの??もしも無人島に一つ持っていけるなら何を持っていく?の違うバージョン」
「ほえ~」
「ほえ~ってなによ」
ピーチさんといつものように雑談をしていると、唐突にそんなことを言ってきました。
まあ、彼女はいつも次にやることが予測不可能ですからね。
「うーん、まずは絶対に星杖は持っていきますね」
「そういうチートアイテムは無し」
「なぜ??」
「ロゼッタ限定だから」
「あー……。じゃあ、食料、日用品、マッチ、ナイフ、ライト……」
「めちゃくちゃ現実的だな!あと防災グッズみたいになってるから!もう少し夢を持とうよ!!」
「じゃあ星杖……」
「それは無しっ!!」
じゃあ何ならいいんですか?だいたい何だよ夢を持てって(苛立ち)。
てか現実的で当たり前でしょ(星杖持たせろ)。食料無しで生きろと言うのかお前は(脅迫)!!
「……ナンデモイイヤ」
「諦めんなよ」
諦めるよそりゃ。縛り多いし。諦めるよ。
「ピーチさんは何持っていくんですか?」
「マリオ♡」
「英雄に頼らない」
彼氏に頼るなら私はバトラーに頼るっ!!
「ロゼッタはチコ連れてかないの?」
「連れていきますが……」
当たり前でしょう。さすがにバトラー一人だけではチコ達の面倒を見きれませんし……。
あと寂しいでしょうし(自分とチコが)。
(本当はピーチさんと行きたいな……)
ピーチさんって結構頼りになりますし……。あとキノピオさんがいるので料理もしてくれるし。
ある意味チートキャラ……?
「ロゼッタも持っていきたいなぁ」
「え、私?」
「うん私。マリオとロゼッタが居たら怖いもの無し!絶対楽しいわよ!」
「……そうかもしれませんね」
私も持っていきたいなんて……。すごく嬉しい……!
ちゃんと友達認識してくれてたんだ……!
「ロゼッタも持っていっていい?」
「もちろんです!」
「なんか力んでない?」
「い、いえ別に……」
「嘘つけ〜ほんとは嬉しんでしょ〜おらおら〜」
「ちょっちょっと、止めてくださいよ!」
私は無人島にピーチさんを持っていきたいですよ。
お題『無人島に行くならば』
題:愛はいつも温かく
ついにこの日が来た……!
「キャ~!(小声)」
今日はリンクさんと初デートの日。
ようやく紅葉してきたので、紅葉狩りに行かないかと誘ってみたら……。
『ん、全然良いですよ。ロゼッタさんと紅葉狩りに行けるなんて光栄です』
だって~!!
「キャ~!(やはり小声)」
思い出しただけでドキドキが止まらない〜!!
いいえ、落ち着くのよロゼッタ。こういう時こそ冷静でいないと……。
『ロゼッタさんと紅葉狩りに行けるなんて光栄です』……キャ~!!!
(全っ然落ち着けない〜!)
全身が熱くて、顔が紅潮してるのが自分でも分かるくらいドキドキしてる〜!
……あ、リンクさんが来た時のために温かい飲み物を買っておくというのは……!?天才かよ自分。
てことで、早速近くの店に入ってコーヒーを二人分買う。
冷めないように、魔法をかけておこう。……冷めてたら美味しくないじゃん?
序盤から印象を良くしておくのよっ!!……って、ピーチさんに手厚く言われてるし。
私がリンクさんに恋をしているということは、ピーチさんにしか打ち明けてない。だって恋愛のエキスパートだし……。信頼できるかなって……。
そんなことより……秋風寒っ!
肌に針刺してくるみたいで痛いな……。
……え、好きになった理由?
ええっとぉ……。
……最初は無口無表情で必要最低限のことしか話さなかったけど、次第に打ち解けていって今みたいな素敵な笑顔とか気遣いとか、そういうところに段々と……。
「お待たせしました、ロゼッタさん」
「!…リンクさん……」
何その秋服めちゃくちゃ似合ってるんですけど!?待って恋愛素人にいきなりそれはヤバいってっ!!パニックになってるから!!
「……どうされたんですか?」
「はっ。……いえ、何でもありません。寒いでしょう、コーヒーです」
「わぁ、ありがとうございます。…すみません、気を遣わせてしまって」
「いえいえ、せっかくの紅葉狩りですので……」
「ふふっ、では行きましょうか」
微笑むとこ可愛よ。破壊力えげつないわ。
そうして紅葉狩り開始。冷静を保っていられるかどうか……。
「ロゼッタさん、渓流と紅葉が良い感じですごく綺麗ですね!」
「そうですね。とても」
貴方が。
(〜他の人物(モブ)の視点〜)
「あのカップル最強にお似合いじゃん」
「それな!」
「彼氏超絶イケメンだし、彼女も超絶美人だし!うちの彼氏と交換してほしいくらいだよ〜」
「あの彼女めっちゃ可愛くね?」
「可愛いの域超えて美人じゃん。清楚系?って感じ」
「てか彼氏もめっちゃイケメンじゃん。羨まし〜」(モブの視点終了)
秋風がどんなに寒くても、リンクさんへの愛は冷めない自信がある。
だって、リンクさんが最初で最後の恋人だから。離れ離れになっても、私はリンクさんを諦めない。
愛はいつも温かく在るべきと、ピーチさんが言ってたし。
〜初デート終了後〜
「で、どうだった?どこまでいけた?告白した?返事は?OK?NO?プランは完璧に……」
「そんなに質問攻めしないでください!ゆっくりお願いします!」
帰ってくるなり質問攻めしてくるピーチさんを手で制して、緊張しながら答える(なんか知らんけど緊張してる)。
「……告白は、しました」
「ほうほう、それで?」
「……」
答える代わりに右手の親指を立てて見せた。
「……っ!……貴方、ついに……やった、のね……?」
無言で首を縦に振る。
「よっしゃああぁぁっっっ!!!!今日はパーティーを開くわよ!!早速デイジー達を呼んでくるわ!!」
「え、ええっ!?ちょっと待ってくださいよ〜!」
その後、デイジー達によって盛大に祝われたロゼッタ。
秋風が、窓を叩いた。
『秋風🍂』
題:手が触れて
(今日は何か良いことが起こる予感……!)
私は朝起きて、そう感じた。
✧ ✧ ✧
今日はマリオカートの大会が行われる日。私は鍛錬を怠ることなくしてきた。
勝てるはず。
そう思いながら会場へと向かう。
「あ、ロゼッタ!」
「ピーチさん」
「大会、楽しみましょうね!」
「はい」
会場に着くと、ピーチさんが挨拶をしてくれた。
初めてマリオカートに加わってからぼっち気味だった私に一番最初に話しかけてくれたのが、ピーチさん。それからずっと仲良くしてる。
「お、リンク!」
「!ピーチさん、おはようございます!ロゼッタさんも」
「お、おはようございます……」
そして、自分で言うのもあれなのですがーー私はリンクさんのことが好き。だから、話しかけられるとドキッとしてしまう。
ピーチさんが肘で私を小突いて、小声で話し掛けてきた。
「ね、ね、大好きな彼が来たわよ?」
「恥ずかしいのでやめてください……」
「?どうされたんですか?ロゼッタさん、若干顔が赤く見えるのですが……」
「あ、いいえ、何でもありません!うん、何でも……」
「そう、ですか……。何かあれば俺に言ってください」
「はい……」
ドキドキする〜!!前までは何の苦もなく喋れてたのに……。好きな人と話すって難易度高い……!
またピーチさんがニヤニヤしながら小突いてくるし!私必死なんですよ!
『間もなく大会が始まります。選手は速やかに持ち場についてください。繰り返します……』
タイミングばっちり(?)!私はこの今にも爆発してしまいそうな状況から解放される……!
✧ ✧ ✧
「3、2、1、START!」
スタートダッシュを決めていきなり1位に躍り出る。
そんな私の後ろにいるのが……リンクさんだ。
(めっっっちゃ恥ずい!!でも何か嬉しい!!)
心の中でパニックになっている私だけど、このまま1位を維持するために走行する。
て、嘘!リンクさんキノコ使ったんだが!?
(隣いる〜!)
きっと後ろのピーチさんはニヤニヤしてそれはそれは気持ちの悪い顔をしているんだろう。安易に想像できる。
(ヤバ、ぶつかりそう……)
ハンドルを左にして遠ざかろうとする直前……。
リンクさんの手が、私の手に触れた。
(………え、今手触れた?嘘?ヤバいパニックになりそう)
既にパニックになっている中、リンクさんの方を見ると……。
こっちを見て柔らかく微笑んでたっ!!
(破壊力っ!!)
リンクさんの柔らかな微笑みに気を取られて減速してしまった。
リンクさんと順位が変わり、私が2位になる。
今までに体験したことのない気持ちがなだれ込んできた。
(マジで良いことあった……)
大会終了後、部屋に戻った私は、触れた手をずっと触っていた。
お題『予感』
題:優しい歌
貴方が紡ぐ、優しい歌。
私はそれが好き。
貴方の優しさが、その歌に込められているようで、なぜか安心してしまうの。
貴方らしい、静かな、優しい。
ほら、今日もその歌が聴こえてきた。
いつまでも聴いていられる。
「ロゼッター、何してるのー?」
呼ばれちゃったな。
もう行かないと。
少し躊躇いながら立ち上がって、ピーチさんの元に行く。
後ろでまだ聴こえる優しい歌。
どうして皆さんこの歌を聴かないのでしょう。
それが疑問でなりません。
心地良い、耳障りの良いこの歌を。
……まるで、誰かを想って歌っているような。
それは、どんな人かしら。
貴方と仲の良かった人かしら。
それとも、密かに恋心を抱いていたのかしら。
ーー私だったらいいな。
いつもそんなことを考えてしまう。
貴方のものでいたいと、思ってしまうから。
その歌の相手が私であることを、願ってしまうの。
少しでも、希望を持ってしまうの。
……そんな事ないと、分かっていても。
いつか貴方のものになりたいと。
思ってしまうのよ。
皆さんこんにちは、彗星です。
私の好きな曲は宝鐘マリンの『幽霊船戦』と、DECO*27の『モニタリング』、Mrs.greenappleの『soranji』です!
題:紅茶ができるまで
サラサラ……。
砂時計の砂が落ちる音がする。紅茶を作っているためだ。
アプリコットの豊かな香りがほのかに香ってくる。
砂時計の砂は半分ほど。あと1分半といったところか。
(ピーチさん、紅茶は初めて作るって言ってたけど、淹れ方上手いなぁ)
ピーチさんはシェフがいるから料理は自分でやらないから、紅茶も淹れたことが無いみたい。
……私の好みも分かってるし。
……残り1分。
鼻唄唄い始めた。何の唄だろう?
……残り30秒。
相変わらず砂時計は砂を落とし続ける。
(それにしてもまあ、ずいぶんと楽しそうに淹れるなあ……)
紅茶淹れるぐらいではそんなに楽しめないと思うんだけど……。これが、価値観の違いなのかな。
それとも、人に紅茶を淹れたことがないからかな。
……また今度、淹れてもらおうかな。ピーチさんが良いなら。
「出来たわよー!」
「はーい」
砂時計は砂を落としきっており、もうサラサラという音は聞こえない。
紅茶を一口啜る。
「どう?」
「んー……GOOD」
「やった!」
アプリコット本来の爽やかな酸味とほのかな甘みが絶妙にマッチしていてとても美味しい。桃に似た甘酸っぱさ。
美味しいので、もう一口頂く。
「……また今度、淹れてくださいませんか?」
「……いいの?」
「……」
私は紅茶を啜りながら頷く。
ピーチさんの顔が、パッと明るくなった。
この決断は、紅茶ができるまでに決めたこと。
砂時計の音を聞いたら、なんだか紅茶を飲みたくなってしまったんですもの。
お題『砂時計の音』