題:図書室という静寂の中で
教室はいつもうるさい。教室というのは喧騒そのものを表していると、つくづく思う。
だから私は、図書室という静寂の場所に避難する。
図書室は教室と違って静寂そのものを表している。それに、教室とはまた違う発見があるのも面白い。
勉強をしている人、ただ読書をしている人、寝ている人、私と同じように喧騒から逃げてきた人……。
これらを私の妄想の中で勝手にストーリーを組み立てていく。
まず勉強をしている人は隣でただ読書している人の本の内容に興味があり、ただ読書している人にどんな本なのか聞く。それから聞かれたただ読書している人は勉強をしている人にどんな本かを教える。勉強をしている人は満足したようで、また勉強に戻る。そして寝ている人が目を覚まし、前方で距離の近い二人を見てニヤつく。そして私と同じように喧騒から逃げてきた人がそんな二人の様子を見て、また新たに二人のストーリーを勝手に組み立てていくーー。
静かな場所だからこそ、妄想に耽る事が出来るのだ。この妄想の時間は、とても短く感じる。
3限目が始まってしまう。次は移動教室だから急ぎめで。
こんな学校生活を、私はとても気に入っています。喧騒があるからこその静寂なのだと、実感するのです。
この学校生活はどこか不安定で、どこか寂しげで……。
明日もきっと、図書室に来て、妄想に耽るのだろう。
この、図書室という静寂の中で。
お題『静寂の中心で』
題:揺れる炎
ゼルダは一人、窓の外を眺める。
(今宵の月はとても綺麗……)
ゼルダは今日、中々寝付けないでいた。
その理由は、護衛の彼ーーリンクのせいだ。遺物調査をしている時も、ついつい隣に居る彼を見てしまう。昼間は彼のことばかり考えてしまい、挙げ句の果てには夢の中にまで出てくる。それほどまでに、ゼルダはリンクに恋い焦がれていた。
(この月を、リンクと一緒に観られたら……)
王国の王女としてはしたないとは思う。けれど、この気持ちは、もう誰にも止められないのだ。
窓の外で、月が神聖な光を落とし続ける。
ーーいっそのことあの月まで行けてしまえば、どれほど良いことか……。
ベッドの傍には、さっき灯した蝋燭と、読みかけの本。
明日もゼルダは早朝に泉で沐浴しなければならない。
寝なければならないのに、寝ようと思うのに、彼のことを思っては胸が苦しくなり、寝られなくなる。
彼のことを思えば思うほど胸が苦しくなるのは、リンクには他に好きな人がいるから。その好きな人ももう知っている。
ミファーのことが、リンクは好きなのだ。
ミファーを見るリンクの目は、何か愛おしいものを見るような目だった。それを初めて見た時は唇を噛み締めて、必死に泣くのを堪えていた。
ゼルダは悲しげに月を観る。
ベッドの傍の蝋燭は、ゼルダの想いを感じ取ったかのように揺れ、そして小さくなった。
皆さんお久しぶりです、彗星です。
実は私、新しい小説アプリをダウンロードしたんですよ!
そのアプリは、『カクヨム』というアプリです!
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もし「カクヨムあるよー」とか、「カクヨム持ってるし、ファンタジー好き!」って人は、私が投稿したときに是非見て頂きたいです!
今後とも、よろしくお願いいたします。
お題『moonlight』
題:少しずつ
遠くに聞こえる、誰かの足音。
コツ、コツ、コツ……と、何か硬いものが床にあたる音と一緒に、衣擦れの音も聞こえる。
(……こんな暗い時間に?)
外はもう真っ暗で、ただ月と星の光が瞬いているだけだ。こんな時間に城内を歩いているのはおかしい。
最初は見張りの可能性も考えたが、見張りは鎧だから衣擦れの音はしない。
ーーなら誰だ?
足音はどんどんこちらに近づいている。どうする?寝たフリをする?確認しに行く?
(……寝たフリをしよう)
これが一番無難だと思った。仮にその人が俺の部屋に入ってきたとしても、寝ていると分かれば出ていくだろう。
足音が徐々に近づいてきて……俺の部屋の前で止まった。
(え、嘘?)
おいおいマジかよ……と内心焦る。なんか不安になってきた。
コンコン、と扉をノックする音。その後の小さい声。
「……リンク、起きていますか?」
この声は……ゼルダ姫!?なんでこんな時間に!?
「ほ、星を……観に行きませんか」
星?なんで……ああ、そうか。今日は『中央ハイラル大彗星』の日だった。
……別に俺なんかを誘わなくても……いや、これはお誘いではなく、護衛の頼みでは?暗い時間で危ないし。
「すぐ行きます」
表情は見えないけど、なぜか扉の向こうが明るく感じた。
◊ ◊ ◊
「もう少しですね」
「そうですね」
いつも通りの短い会話。二人とも必要最低限のことしか話さないから、仕方ない。
夜空には幾つもの星が輝いている。これだけでも十分だと思えるほどに。
……瞬間、夜空に一筋の光が見えた。
来たのだ、中央ハイラル大彗星が。
美しい長い尾を引いて、大彗星が今、目の前を通り過ぎようとしている。
「リンク」
唐突に、ゼルダ姫が話しかけてきた。
「好きです」
「…………………は?」
失礼だとは思う。思うけれど、あまりにも唐突なゼルダ姫の言葉に思考が停止し、こぼれた言葉はこれだった。
好き……?今、ゼルダ姫は、俺に、『好き』と……?
理解し終わると、急激に体温が上がり、心拍数も上がる。
それと共に、嬉しさが、込み上げてきた。
遠かったものが今、近くに感じる。
お題『遠い足音』
題:束の間
暑かった9月ももう終わり。
今度は涼しい秋が訪れる。
朝は肌寒くなり、日の入りは早く、日が沈んだ後には寂しげに光る月が佇む。
少し寂しく感じるけれど、季節が変わる様子を見るのは実に楽しい。
空気が澄んで星がより輝かしく見えること、栗やさつまいもを堪能できること、運動会、修学旅行。
秋ならではの楽しみが増えるのは喜ばしいことです。
何より、秋になると彼が厚着になるので、その変化も嬉しい。
あと、紅葉狩りも楽しいのです。夏は目立たないもみじも、秋になれば人気者。写真映えするのも嬉しい。
あと2ヶ月の秋を思う存分、堪能しようと思います。
お題『秋の訪れ』
題:無
ーー貴方は、人生が色のない、モノクロだったらどうしますか?
✧ ✧ ✧
ようこそ『彩星』へ。ここは、貴方の人生を見る場所。
突然ですが、質問です。
貴方は、人生が色のない、モノクロだったらどうしますか?
人生が彩られていれば、それはそれは美しいものでしょう。反対に、人生が色のないモノクロであれば、何の価値もないものでしょう。
何でしょう?もしモノクロだったら?
それは自分で美しいものにしてください。時間は掛かるでしょうけど。
もう一つ質問ですか、どうぞどうぞ。ん、貴方はどうなの、ですって?
……どうでしょうね、分かりません。
美しく感じるときもあれば、何の価値もないように感じるときもあります。
でも、モノクロだからこんなことをやっているのでしょうか。まあ、私にはいくらでも時間があるので、関係のないことです。
……おっと、それ以上は言わないで。綺麗事は嫌いです。
そうですね、貴方の人生は……大丈夫、彩られた美しいものです。それではお帰りください。
ああ、ちなみにこの事は貴方の記憶から消えます。変わらず人生は彩られた美しいものですよ。
それでは、ご機嫌ようーー。
お題『モノクロ』