彗星

Open App
8/12/2025, 12:43:47 PM

題:愛の記憶

 ーー俺、ミファーのこと……好きなんだ。
 ーー……私も、好きだよ。
 あの時のことを忘れるはずがない。人生で一番ときめいて、幸せな時だったから。
 こんなに幸せに彩られた記憶を、私は知らなかった。
 赤の花火が上がる寸前に言った、あの言葉。リンクの顔が紅くなっていたのは花火のせいなのか、分からなかった。
 リンクとはあれ以来、たまに会っては外出をしている。所謂【デート】というものだ。
 リンクといると、心が弾む。楽しいのだろう。リンクといる時は何もかもが楽しい。どれも大切な時だ。
 今日もデートをするから、その待ち合わせに書いています。
「お待たせ、ミファー!何か書いてるの?」
「まあ、当たりっちゃ当たり」
「えー何それ?」
 適当に誤魔化して、出発しようと思います。
 それでは、また。
 行ってきます。

お題『真夏の記憶』

8/10/2025, 2:14:06 PM

題:ガラス

 “優しさ”ってさ、簡単だからこそ、“偽りの優しさ”があるんですよ。
 あの時もそうだった。
 幼い頃にママを亡くした私に優しくしてくれた子。
 例えば、背中をさすって慰めてくれたり、一緒に帰ってくれたり。
 でもその子が何か優しくしている時、いつも瞳の中は私を小馬鹿にした様な感じだった。
 そして後々分かったことなのですが、その子は憐れな私の様子を楽しんでいたようなのです。
 ーー許さない。
 そう思いました。多分あの子は、似たような子を見つける度に、同じようなことをするのでしょう。
 それ以来、私に優しく接する人達を警戒するようになりました。
 でも、唯一“本当の優しさ”を私にしてくれていた子がいました。
 ピーチさん。
 あの人は、優しくしてくれる時、いつも瞳は温かさを帯びているのです。
 本当の優しさはこれなのだと、直感しました。
 その方とは、今も仲良くしています。
 優しさなんて無くなれば良いと思っていた私を、温かくしてくれたのです。
 優しさはガラス、偽りの優しさは鋼。
 すぐ無くなる本当の優しさと、中々無くならない偽りの優しさ。
 でも、偽りの優しさを受けた後は必ず、本当の優しさをしてくれる人がいるのです。
 一人で悩まず、本当の優しさを貴方にしてくれる人に相談してみては、いかがでしょうか。

お題『やさしさなんて』

8/9/2025, 11:33:04 AM

題:美しき、風

 真夏の風は生ぬるい。全然気持ちよくない。
 いや、風量が足りないのか?とにかくぬるくて不快な気持ちになる。
「ちょっと待って、日傘忘れた!」
「お疲れ」
「ちょっと?」
 日傘忘れたんだ。これは確かにお疲れ。
「私の日傘小さいから二人は無理」
「え〜、デイジー、予備ないの?」
「無いわよ」
 なんか可哀想になってきた……。でも、かと言って俺も一つしか無いんだなぁ。
 涼しい風だったら良かったんだけど……。
「暑〜。日傘無しはキツイわよ〜」
「もしかしたら、リンクが貸してくれるかもよ?」
「え!それは恥ずかしいって!」
「え〜なんで〜?」
 小声でなんか相談し始めた?
「……」
 どうしよう、貸そうかな……。でもなぁ……。
 ……。
「良ければ使ってください」
「えっ」
「日傘を忘れたようなので」
「でも……」
「俺はダッシュで帰るので」
 ピーチさんに日傘を渡した後、俺はダッシュした。
 こうやってダッシュして風を感じるのも悪くないかも……。
 
 その後……。
「良かったわね、ピーチ!」
「ええ、良かった……良かったんだけど……」
「どうかしたの?」
「持ち手の部分にリンクの体温を感じて恥ずかしい……!」
「マジ??」
「マジ……!明日めっちゃ綺麗にして返そ!!」
(……ピーチさん、リンクさんに日傘借りたんだ……。追い付きそうならリンクさん入れてあげたかったな……)
 ロゼッタはピーチ達の会話を聞いて、心の中で風を感じて帰るリンクを思い浮かべていた。

お題『風を感じて』

8/7/2025, 12:00:29 PM

題:進むべき方向

 『心の羅針盤』。それは、一朝一夕で出来るものではない。日々の生活の中で、自分の心に耳を傾け、自分にとって本当に大切なものは何かを考え続けることで、少しずつ形作られていくもの。
 人生の進むべき方向を示す指針という、とても重要な羅針盤。
 何かに囚われることなく決められるとは、何とも便利な……。
 ……便利なのか……?
 少なくとも私は心の羅針盤を感じたことはない。感じる人は特別な人なんだろうなぁ。
 ま、私は特別じゃないってことでいいかな。心の羅針盤なんてどうでもいい。
 人生、心の羅針盤通りに行くとも限らないし。

お題『心の羅針盤』

8/6/2025, 9:29:50 AM

題:尊く

 海の泡って綺麗よね。儚くて。
 泡みたいに散れるのなら、泡になりたい。
 ママを失った人生に、意味なんてない。
 『だから泡になりたいの?』
 うん、そうだよ。でなかったらこんな事言わない。言うわけない。
 『星のように尊く生きなさいって言われたんじゃないの?』
 ……そうだけど、泡も充分尊いじゃない。儚いものほど尊いのよ。
 『残された貴方が、ママの分だけ幸せになるんじゃないの?』
 幸せになれるんならなりたいよ。幸せになれないから泡になりたいんだよ。
 幸せなんて泡みたいに消えちゃうんだ。
 なら、泡になる前に自分が泡になったらいいじゃない?

お題『泡になりたい』

Next