ずっとこのまま
少しどんよりとした空の下。
山の斜面を駆け回る。
素足で芝生を踏み締める。
片足を引き摺りながら。
逃げる。
逃げる。
走る。
無我夢中で走り続けた。
あたりは暗くなってもうどこにいるかもわからない。
けどあいつらはまだ後ろにいる。
ずっと、獲物の体力が尽きるのを伺っている。
こんな最後は嫌だ。
嫌だ。
死にたくない。
誇り高き我が一族。
確かに、いろんな生き物を食べてきた。
だが、食物連鎖だ。
同胞は狩られた。
もういない。
だから人間は嫌いなんだ。
あの頃みたいに、群れで食事を囲み、和気藹々としたあの日々をなんど願ったか。
ずっとこのまま平和に生きれれば何もいらないと、
何度も、何度も願った。
世界は残酷だ。
そんな孤独な日本狼の遠吠えが野山に響いた。
スノー
朝起きて、窓の外を眺めると一面雪景色だった。
私の住む東京都では珍しい雪。
皆雪に興奮して寒さも忘れてはしゃいでいる。
みんなかわいい。
無邪気で、肌が綺麗で、目が大きくて。
全部全部、私にないものを持ってる。
羨ましい、妬ましい、憎い。
だから、私は1人寂しくスノーで顔を加工して生きている。
整形がなんだ、加工がなんだ、可愛くなろうと努力してる私が1番可愛い。
きらめく街並み
聖なる夜、クリスマス。
街はカップルで溢れていておれは1人寂しくケーキを売り捌く。
正直くそ気に食わないが、バイトが何人もデートで休み。
ほんとうに気色悪い。
俺だって、約束がなかったわけではない。
ただ、彼女が風邪をひいただけだ。
ほんとに、捨てられたとかでばない。
「あの、ショートケーキひとつください」
ん?なんか聞き覚えがある声
もしかして、最悪だ。
ほんとにこんな漫画みたいな出来事があるのか。
こんなに街はイルミネーションできれいなのに、人間は薄汚れている。
呆然とした彼女の前で俺は呆れていた。
もー、どうでもいいや。
おれは1人飛び出していく。
このイルミネーションで飾られたきらめく街に。
冬の足音
朝の寒さで目が覚めた。
窓の外に目をやると、一面雪景色。
これは雪かきが大変だ、など呑気なことを考えていたら時計は6:30を指していた。
寝坊だ。
急いで化粧品やら必需品を鞄に詰め込んで駅へ走る。
目の前でドアが閉まった。
あー、もう遅刻確定じゃん。
少し高いがタクシーに乗った。
皆勤賞を逃すよりよっぽどマシだ。
タクシーの中で化粧やらなにやらを済ませる。
学校前に着いた。
だが思いの外早く着きすぎたから学校の周りを徘徊していると、まだだれにも踏まれてない空き地があった。
周りを見渡してから雪を踏み締めた。
あぁ、冬が来たなー。
雪を踏み締めながら校舎へ向かった。
みかん
学校で太陽みたいに明るい彼女はみかん色のランドセルを背負っていた。
けど、太陽みたいな君はたまにいつもの笑顔が作り物みたいに瞳にモヤがかかっていて、冷たく冷めきった顔だった。
いつの日か、君のみかん色のランドセルは赤く染まり太陽は沈んだ。
横断歩道で、地べたに転がる君を見て見守ることしか出来なかった。
そして、太陽に照らされていた皆の表情は暗く、曇っていた。
あぁ、また、太陽が登りますように。
本物の太陽になってしまった君へ、いつの日か皆に笑顔を。
もう一度、彼女の笑顔が、太陽のように明るい笑顔を見たい。