ずっとこのまま
少しどんよりとした空の下。
山の斜面を駆け回る。
素足で芝生を踏み締める。
片足を引き摺りながら。
逃げる。
逃げる。
走る。
無我夢中で走り続けた。
あたりは暗くなってもうどこにいるかもわからない。
けどあいつらはまだ後ろにいる。
ずっと、獲物の体力が尽きるのを伺っている。
こんな最後は嫌だ。
嫌だ。
死にたくない。
誇り高き我が一族。
確かに、いろんな生き物を食べてきた。
だが、食物連鎖だ。
同胞は狩られた。
もういない。
だから人間は嫌いなんだ。
あの頃みたいに、群れで食事を囲み、和気藹々としたあの日々をなんど願ったか。
ずっとこのまま平和に生きれれば何もいらないと、
何度も、何度も願った。
世界は残酷だ。
そんな孤独な日本狼の遠吠えが野山に響いた。
1/12/2026, 1:13:42 PM