語り部シルヴァ

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5/3/2026, 11:44:14 AM

『2人だけの秘密』

レインコートが雨粒を弾く音、ぬかるんだ土を踏む感覚。
冷たいはずの空気が動悸のせいか暑く感じる。
深く掘った穴に土を埋めていく。
べちゃ、べちゃと土を被る音が徐々に小さくなっていく。

ドラマでよく見た光景をリアルで
見ることになるとは思わなかった。

君は無言で土をかける。
何を思っているんだろうと考えながら
一緒に手を動かす。

元通りになった地面を見てようやく君が「よし」と吐いた。
「じゃ、これは墓場だけ持っていこうね。」

雨が激しくなってきたのに君の声が鮮明に聞こえた気がした。

語り部シルヴァ

5/2/2026, 12:51:11 PM

『優しさだけで、きっと』


「んじゃ、またなー」
適当な礼で済ませてそそくさとどっか行くチンピラ。
ついさっき車を当て逃げしようとしたところを捕まえ、
処理を終えたところだ。

「いやあ、それにしても災難でしたね。お疲れ様でした。」
チンピラの車が消えたのを確認して
帽子のつばをつまみつつ被害者に声をかける。

「いえ、警官さんがパトロールしてくれて助かりました。
ありがとうございます。」
深く頭を下げてお礼をしてもらったので
仕事ですのでと答えた。

「なんというか...仏みたいな方ですね。
私が駆けつけた時も全然困った顔してませんでしたし...」
そう言われると思っていたのか被害者はすっと言葉を返す。

「ええ、あんな時こそ優しくない人が後々後悔するので。」
この人は優しい。それ故に強い。
そんな直感が頭を過ぎったからか、尊敬します。
と言葉が漏れた。

語り部シルヴァ

5/1/2026, 10:43:48 AM

『カラフル』

「よし、上出来。」
冷蔵庫から取り出した生チョコは綺麗に仕上がった。
ゴールデンウィーク初日、暇を持て余すと感じた俺は
とりあえずお菓子を作ることにした。

今まで作ったことのないお菓子で、
我ながら上手くいったようだ。

型から取り出して味見する。
とろりとした味とチョコスプレーの食感が絶妙だ。

ついでにコーヒーも淹れて生チョコを楽しむ。
同じ味なのに色が違うと少し風味が変わる気がするのは、
自分の気分が変わっているからだろう。

語り部シルヴァ

4/30/2026, 10:56:16 AM

『楽園』

夜の怪しい灯りに照らされ、
街は夜の顔へと化粧を変える。
少しでも油断すれば意識が飛ぶような酒の味と
タバコの匂い。
そして両手に咲き始めた花。

明日から仕事も休みでぱーーっとできる。
最高だ。これを楽園と呼ばずになんて呼ぶか。

目の前に注がれた酒を持って花と乾杯する。
冷たい酒が喉を焼く。

あぁ、幸せだ。

語り部シルヴァ

4/29/2026, 11:39:41 AM

『風に乗って』


最近まで感じていた春の温かさが嘘のように吹き飛ばされ
肌寒さを感じるほど気温が下がっている。
奥にまで片付けてしまった上着を引っ張り出し
お気に入りのマグカップにお湯を注ぐ。

これだけ寒暖差があれば風邪をひくのも無理はない。
それは曇り空で怪しい風が吹いている。

ぺトリコールの香りが風の運ばれる。
雨は降っていないが...そろそろ来るかもしれないな。

外に干していた洗濯物を部屋に干し直していると、
雨粒が屋根に弾ける音が聞こえてきた。

語り部シルヴァ

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