『優しさだけで、きっと』
「んじゃ、またなー」
適当な礼で済ませてそそくさとどっか行くチンピラ。
ついさっき車を当て逃げしようとしたところを捕まえ、
処理を終えたところだ。
「いやあ、それにしても災難でしたね。お疲れ様でした。」
チンピラの車が消えたのを確認して
帽子のつばをつまみつつ被害者に声をかける。
「いえ、警官さんがパトロールしてくれて助かりました。
ありがとうございます。」
深く頭を下げてお礼をしてもらったので
仕事ですのでと答えた。
「なんというか...仏みたいな方ですね。
私が駆けつけた時も全然困った顔してませんでしたし...」
そう言われると思っていたのか被害者はすっと言葉を返す。
「ええ、あんな時こそ優しくない人が後々後悔するので。」
この人は優しい。それ故に強い。
そんな直感が頭を過ぎったからか、尊敬します。
と言葉が漏れた。
語り部シルヴァ
5/2/2026, 12:51:11 PM