『凍てつく星空』
部活に集中しすぎて太陽は
とうのとうに沈んでしまったようだ。
日中の熱もみんな忘れたようで寒い風が耳を凍らせる。
指先もヒリヒリと刺す痛みが伴い
ブレザーのポケットに手を突っ込む。
空は雲ひとつなくて綺麗な星空が広がる。
晴れてる日の方が寒く感じるのはなぜだろう。
なにか暖かいものが欲しい。
そろそろ手袋買うのもいいかもしれない。
近くのコンビニでホットレモンを買って必死に握りしめる。
さっきまで冷たかった指先が今度は火傷しそうだ。
寒かったり熱かったり...
指先が荒れてしまうのも無理は無いな。
温まった口から吐く息は白くなり、
それを見てるのが楽しくなってどんどん息を吐く。
酸欠で息を吸えば今度は冷たい空気が
肺いっぱいに溜まって寒空と一体化してしまいそうだ。
さっさと家に帰ってお風呂に入りたい...
凍るように冷えた足はどんどんペースをあげて
家へと向かった。
語り部シルヴァ
『君と紡ぐ物語』
ふと目が覚めた。
君が隣で眠っている。
ずっと君が隣にいてくれたらと思ってた。
それが叶うなんて思ってもなかった。
昨日から君と一緒に住むことができた。
これから二人でどんな生活になっていくんだろう。
ご飯を食べてお昼寝して、
変な話だけど喧嘩も楽しみだ。
そうやって死ぬまで君と一緒に生きて...
誰かに自慢できるような人生になればいいな。
君の頭を優しく撫でて、布団をかけ直して
もう一度眠りにつこう。
君の温もりが心地よくて、
すぐに眠りにつけそうだ。
語り部シルヴァ
『失われた響き』
荒廃した街を歩く。
辺りは既に火災が収まり瓦礫と灰まみれ。
地震に嵐に大火事。
各地で唐突に起きた天変地異。
ここは本当に自分の住んでいた国かと思うほど
暴動も起きている。
警察や自衛隊は道という道が無いせいで対応が遅れている。
食べ物や飲み物を探してここを彷徨いているが
いつ襲われてもおかしくない。
けれどそのリスクを抱えてまでも探さないと
誰かに取られて明日を生きることが難しくなってしまう。
少し歩くと雲の隙間から差し込む太陽の光に当てられた
グランドピアノがぽつんと立っていた。
引かれるように椅子に座り鍵盤を押す。
中が壊れているのか綺麗な音は出ない。
右のペダルを踏みながら鍵盤を押しても響かない。
演奏してみる。所々悲しくて沈黙に掻き消されるような音。
けれど街のように荒れた心が和らぐ気がする。
...どうか、どうか少しでも早く復興されますように。
語り部シルヴァ
『霜降る朝』
今日の朝はやけに冷える。
コーヒーを飲もうとしたが昨日飲んだ分で
無くなってしまったのを思い出した。
幸い近くに自販機があった。少し厚着をして...よし。
外は冷凍庫に放り込まれたように寒い。
手がかじかみ服がひんやりしている。
さっさと自販機へ...
道の端っこに生えている雑草が凍っているように
霜がかかっている。
なるほど、そりゃ寒いわけだ。
ボタンを押すとガタンとどデカい音で
コーヒーが吐き出される。
あったかい。寒すぎて痛くなった指先が
じんわりと温められていく。
我慢できずに蓋を開けて飲む。
焼けるような熱さなはずなのにごくごく飲めそうだ。
寒い空間の中で暖が取れる幸福感は今でしか味わえない。
...ふぅ。温まった口から吐き出される息は真っ白で
青くなってきた空に消えていった。
語り部シルヴァ
『心の深呼吸』
会場は冬の朝のようにしんとしているのに、
そんな中僕含めた選手の闘志が静かに燃え上がっている。
この時期には半袖は寒いな...
なんて思っていたがこんな闘志に燃やされる訳にはいかない。
逆に燃やしてやる。それくらいで行かないと負けてしまう。
もうすぐ僕たちの番だ。
一定のリズムでゆっくり深呼吸して...
この呼吸のペースをずっと続けよう。
「次のチームの方!準備をお願いします!」
呼ばれた。ついに僕たちの番だ。
僕たちならきっといつものモチベを出せる。
呼吸のリズムを保ちながら
弓と矢を構えて射場へと歩き始めた。
語り部シルヴァ