『時を繋ぐ糸』
「あ...」
道着に着替えてる時にミサンガがちぎれた。
なんてタイミングだ...
ずっと身につけて劣化してしまったのか...
なんて考えていると仲間が背中を叩く。
「ちぎれたってことは願いが叶うってことじゃんか。
もう俺たち優勝間違いないな!」
少しデカい声で笑う。ほんといつもそうだ。
考えてる暇なんてあっという間に無くなる。
でも...そのおかげでここまで来れたのも事実だ。
「よし...頑張って優勝掴むぞー!」
このミサンガは俺たちが入部して初めての試合前に
全員が身につけたものだ。
これが最後の試合。あとは自分の力を出し尽くすだけだ。
弓と矢を持って会場へ向かった。
語り部シルヴァ
『落ち葉の道』
赤や橙の葉も散るようになってきた。
近くの公園も葉を失ったからかどこか寂しい景色になった。
ただ代わりに地面が鮮やかになって、
カラフルなカーペットが出来上がっていた。
1本進む度に少し足が沈んではパリッと砕ける音を
葉が音を立てる。
さっき寂しい景色といったが、
今日は秋晴れなこともあってか
空がより広く見える。
今日は過ごしやすい天気だ。
もう少し散歩をするのも悪くないかもしれない。
行き先は決めてないが...
公園内は落ち葉の道に従って進むのも悪くないかもしれない。
語り部シルヴァ
『君が隠した鍵』
「ただいま。」
いつもの癖で呟いてしまった。
ドアを閉めるとしんとした空気。
もう君はここにいないんだっけか。
ついさっきまで一緒にいたもんだからすごく違和感がある。
まあこんな気分になっていても仕方がないから
さっさと切り替えよう。
とりあえずコーヒーを飲むために電子ポッドに水を入れる。
...あれ。コーヒーはどこだっけか。
いつも君が調度良いタイミングで淹れてくれていたから
場所がわからない。
キッチンを漁っていると、鍵と手紙が置かれていた。
こんなところに...?
手紙には合鍵を返しておくのと
コーヒーの在処を教えてくれていた。
君はどこまで見据えていたんだろう。
コーヒーが完成して早速一口飲む。
...苦い。粉が多すぎたようだ。
語り部シルヴァ
『紅の記憶』
ここは京都の嵐山。
四季のどれでも楽しめる不思議な山。
秋は特に紅葉が魅力的で、
山の涼しい気候と紅葉で色付いた風景が
マイナスイオンを感じさせてくれる。
たまたまそこで一緒に見ることになった人と
歩くのにもうってつけだろう。
道に迷ってしまったところをお手伝いさせてもらっているが
気晴らしに竹林を抜け紅葉を二人で見ながら歩く。
相手も最初こそ不安気な表情を浮かべていたが
次第に紅葉に目を輝かせていた。
気分転換も上手く行き目的地に辿り着けそうになのを見て
別れの挨拶をしようとしたら後日お礼がしたいからと
連絡先を交換して欲しいと頼まれた。
これも何かの縁。そう思い交換した。
なんて昔話をすると君は紅葉のように顔を染める。
これから告白するのだが君の顔はさらに赤くなるのだろうか。
語り部シルヴァ
『夢の断片』
最近変な夢をよく見る。
モヤがひたすら何かをかき集めている。
手に取ってみても曖昧な存在なのか何かわからない。
そんな何かを何かが集めている。
「なあ、何してるんだ?」
問いかけても返事が無い。本当になんなんだ...
もう一度何かを手に取ってよく見る。
ガラスの欠片のようなそれは中で蠢く影がある。
これは...パンを焼いている人の影?
別の欠片を拾って見る。柔道をしている人の影...
誰かの将来の夢?
いや...この内容に覚えがある。
自分の...夢だ。
じゃあこのモヤはっ!?
肩らしき部分を掴むと存在がはっきりしてきた。
これは俺だ。
俺が今までに見た夢を形にしようとしていたんだ。
語り部シルヴァ