『記憶のランタン』
魔法で作り出したランタンに火が灯る。
ランタンが照らす光に包まれたと思ったら
懐かしい空間にいた。
ここは...学校かな。クラスメイトがいて、君がいて...
君...そうだ。君は...
「ありがとうございます。
おかげで妻のことを思い出せました。」
「どういたしまして。」
ランタンはそのまま空へと昇っていきふわっと消えた。
たまたま見つけた魔導書は
記憶のランタンを創造する魔法だった。
特にしたいことも無い私は
ランタンを使って人助けをしようと決めた。
また依頼が来た。
ランタンを灯して...
薄暗い山奥。人一人分のサイズの麻袋が土に...
あれ...これって...
「いやーどこ埋めたか覚えてなかったから助かった。
...ところで今の見たよな?」
気づいた時には棍棒を振りかぶったお客さんが
視界いっぱいに入った。
語り部シルヴァ
『冬へ』
外に出ると吐息が白く見える。
日が出ているのに冷え込むような気温。
そういえばもう11月も後半に入っていた。
今年も秋が早く終わった気がする...
そう考えるともう冬がやってきた。
それは今年の終わりが近づいているということだ。
少し寂しくなる...
...どうせ来年が始まれば今年の抱負が〜とか考えてるか。
なんて思うと気が少し楽になる。
待ち合わせまで充分間に合いそうだ。
冬の寒さを味わいながら行こう。
進んでいると頭に少しひんやりとした感覚があった。
雪だ。あまり見ない地域だからすごく珍しい雪が降ってきた。
これ以上は冬を味わうと芯まで冷えてしまうな。
ポケットに手を突っ込んで肩を竦めて早足に進み出した。
語り部シルヴァ
『君を照らす月』
帰る時間は変わっていないのに日がどっぷりと沈んでしまった。
寒くなると日が沈むのも早くなって少し寂しい気もする。
惹かれるように自販機でココアを買って手を温める。
いい加減手袋を買おうか悩んでいるといつもの公園を通りかかろうとしていた。
せっかく買ったココアを暖を取るだけだと味気がないと思い
公園のベンチで飲むことにした。
雲で陰って空が見えない真っ暗な公園。
ひんやりと冷えたベンチだけどココアを飲んで
随分と体が温まった。
さっきまで寒かった外も今じゃ涼しいと思える。
そろそろ帰ろう。立ち上がろうとした時、
雲が晴れ月が公園を僅かに照らす。
静かで寂しさは変わらないけど、どこかホッとした。
すると手にふわっと何かが触れる。
視界に目をやると黒猫らしき何かが擦り寄ってきていた。
月のおかげで君を見つけれた。
だがぼんやりと照らすものだから全体像がはっきりとしない。
ただわかることは僕の膝の上に座っている事だ。
...帰れない。風邪をひいたら君のせいにするからね。
そう思いながら撫でるとゴロゴロと音がした。
語り部シルヴァ
『木漏れ日の跡』
散歩で公園に来た。
道中に木の屋根でできた道を通る。
秋風に吹かれて揺れる葉の隙間から木漏れ日が差し込む。
茶色や黄色、緑の葉が木漏れ日に照らされ道が輝く。
少し足を止める。
自然の香りに涼しい秋風と木漏れ日で輝く道。
歩けば乾いた音で割れる枯葉...
五感が自然に包まれて心が洗われるようだった。
木漏れ日の跡に立つとスポットライトに
当てられたような気分にもなる。
今この瞬間、私は主人公になった気がした。
語り部シルヴァ
『ささやかな約束』
「...おはよ。」
「おはよ!」
朝目が覚めたらいつも幼馴染が
ベッドに寝てる俺を見つめている。
晴れの日も雨の日も土日も...
「あのな...わざわざ毎日来なくてもいいんだぞ?」
「別に〜?無理してないよ。」
このやりとりもほぼ毎日。ほんとに飽きないな...
「じゃ、玄関で待ってるからね。」
そう言って俺の部屋から出ていった。
「もしかして...いや、まさかな。」
階段を降りていくとおばさんが声をかけてくれた。
「あ、いつもありがとね。朝ごはんは...食べてきたかな?」
「はい、いつもお気遣いありがとうございます。」
「こちらこそだよ〜!...あの子は約束忘れてると思うけど...
それでもやってくれるなんて本当ありがとう。」
昔交わした約束。
ねぼすけな君が困っていたから
僕が起こすよと言うと喜んでくれた。
そんな君の寝顔を見れるんだ。毎日来たくなるさ。
語り部シルヴァ