語り部シルヴァ

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『君を照らす月』

帰る時間は変わっていないのに日がどっぷりと沈んでしまった。
寒くなると日が沈むのも早くなって少し寂しい気もする。
惹かれるように自販機でココアを買って手を温める。
いい加減手袋を買おうか悩んでいるといつもの公園を通りかかろうとしていた。
せっかく買ったココアを暖を取るだけだと味気がないと思い
公園のベンチで飲むことにした。

雲で陰って空が見えない真っ暗な公園。
ひんやりと冷えたベンチだけどココアを飲んで
随分と体が温まった。
さっきまで寒かった外も今じゃ涼しいと思える。

そろそろ帰ろう。立ち上がろうとした時、
雲が晴れ月が公園を僅かに照らす。
静かで寂しさは変わらないけど、どこかホッとした。
すると手にふわっと何かが触れる。

視界に目をやると黒猫らしき何かが擦り寄ってきていた。
月のおかげで君を見つけれた。
だがぼんやりと照らすものだから全体像がはっきりとしない。

ただわかることは僕の膝の上に座っている事だ。
...帰れない。風邪をひいたら君のせいにするからね。
そう思いながら撫でるとゴロゴロと音がした。

語り部シルヴァ

11/16/2025, 10:16:28 AM